第8回コラム 口腔癌個別検診会議に出席しました。

今夜は診療後、口腔癌個別検診会議(仮称)に参加してきました。会場は東京歯科大学市川総合病院で、いつものように診療後、駆け足で電車に乗り、本八幡駅からタクシーを飛ばして、20時の時間ギリギリに到着しました。

口腔癌個別検診会議(仮称)は発足したばかりの委員会で、まだ正式名称も決まっていません。メンバーは、市川総合病院臨床検査科や歯科口腔外科の先生方、
液状細胞診システムを提供するオリンパス社の担当者、大手臨床検査ラボの三菱化学メディエンス(旧・三菱BCL)の担当者、そして市川市歯科医師会内から
選ばれた10人から構成されています。

主な目的は、新しい口腔癌・口腔粘膜疾患の検査方法である「液状細胞診システム」を、歯科診療所レベルで導入できるように、大学病院・企業・デリバリーシ
ステム・各診療所間の連携システムの構築や、診療所における検査レベルの向上等にあります。まだ国内でも例を見ない画期的なプロジェクトということで、こ
れからこの委員会で培われたシステムが、今後の口腔癌・口腔粘膜疾患の個別検診のモデルになっていくとの事です。

過去のコラムでも歯周病細菌検査システムのプロジェクトの話を書きましたが、私のような者が市川市歯科医師会の会員であることで、さらに口腔癌・口腔粘膜
疾患個別検診のプロジェクトにも参加させていただいている幸せに感謝しています。私は、本当に一開業医の立場だけでは、なかなか参加できない貴重なプロ
ジェクトに参加させていただいているのです。選んでいただいた先生方には、心から感謝します。

さて、今、このコラムを読んでいらっしゃる当院の患者様、または市民の方のために少しばかり解説をしたいと思います。 口の中の粘膜や顎の骨にも”がん”が出来ることをご存知でしょうか?

過去に口腔癌で命を落とされた著名人の方もいらしたためか、今でこそ舌癌、歯肉癌、口腔底癌等の病名も、社会に認識されてきた感があります。しかし、まだまだ胃癌、肺ガンなどの体の癌と比較すると、社会の認知度は低いというのが実情のような気がします。

では、それは口腔癌が、他のがんに比べてかなり珍しい病気だから、これまであまり世間に知られずに来たのでしょうか? 答えはノーです。口腔癌は、決して他の癌と比べて珍しい病気ではないのです。  ここにある地区での貴重なデータがあります。これは口腔癌・口腔粘膜疾患の集団検診のデータですが、およそ1800人の受診者の中から2名の口腔癌が発見されています。発見率は0.11%です。1000人の中から1名以上の口腔癌の方が発見されているのです。市川市でも毎年秋に「口腔癌・口腔粘膜疾患検診」を行っていますが、そのデータも、ほぼこのデータと同様の値を示しています。

この数字を他の癌の集団検診での発見率と比較してみますと、胃癌が、0.10%、大腸癌0.16%、子宮頸癌0.06%、乳癌0.10%です。どうでしょうか?口腔癌が他のがんと比較して、決して珍しい病気ではないことが、お解かりいただけると思います。


口腔癌も他のがんと同様に、見つかれば外科的な摘出が一般的な治療になります。そのため早期に発見できればできるほど、手術後の後遺障害も小さくてすみますし、治癒率も向上します。それでは、どうしたら口腔癌を早期に発見できるのでしょうか?

それにはやはり、自覚症状が無くても定期的に歯科医院を受診したり、地区の歯科医師会などが主催する「口腔癌・口腔粘膜疾患検診」等に、積極的に参加するなどの方法が、一番確実な方法だと思います。

是非、信頼できるかかりつけの歯科医院を持たれて、むし歯・歯周病の予防やクリーニングの(PMTC)ためだけではなく、お口の定期検診を欠かされないことをお勧めします。

前述の「液状細胞診システム」というのは、前者の歯科医院での個人で受診する場合の検査方法なのですが、それについては、いずれ詳しくお話したいと思います。

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ビバ・デンタル 代表  関本浩貴