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コラム

第15回コラム 技工士学校講義

 
2007年9月20日(木)

 今日は、午前中休診にさせていただき、筑波大学附属聾学校歯科技工科の講義に行ってきました。患者様たちには、ご迷惑をお掛けして済みませんでした。
 私は年に1回、この学校の教壇に立っています。
 なぜかというと、この学校は筑波大学附属という名前でありながら、つくば市ではなく市川市にあるため、地元の市川市歯科医師会に「臨床特論」という講義枠を委託しているからです。筑波大学の前身は東京養育大学ですから、その時代から、この学校は市川市にあるのだと思います。
 この「臨床特論」は、開業医の話を聞くことによって、卒業後に係わることになる歯科診療現場の雰囲気を、学生の時から感じ取ってもらうための授業だといえます。市川市歯科医師会からは、会員の中から約20名を講師として学校側に推薦しており、そのメンバーが輪番制で教壇に立っています。
 8年ほど前から私もこの講師陣に加えて頂き、年に1回、講義を持たせていただいています。学校側や学生達がどのように思っているか解りませんが、私の方では、結構、この機会を楽しみにしています。学生達から届く感想文を見る限り、意外にポジティブな評価を受けているように思うのですが。もちろん送られてくる感想文は、外部講師に遠慮した、大甘の評価なのかもしれません。
 とは言え、当方としては、学生達の興味を引くような内容の講義にしたいと思っていますので、年毎に趣向を変えて、時には実習を交えたりしながら、講義内容を作ってきました。
 先程言いましたように、この学校は聾学校で、聴覚障害者の子供たちが在学している学校です。学生の一部には、僅かな聴力を持った子供もいますが、ほとんどの学生は耳が聞こえません。出来る限りビジュアルに訴えるように、スライドや動画、又は体験できるような実習付きの授業にしたりと、様々な工夫をしないと学生達には退屈なものになってしまいます。
 以前、教務主任の先生からうかがった話では、聴覚障害者が歯科技工士の免許を獲得するためには、一般の人がそれを達成するのとは比較にならない程の努力が必要なのだそうです。そのために通常、歯科技工士を養成するのに必要な2年間のプログラムも3年間に延長されています。学生達は主に視覚からの情報を頼りに、歯科技工士になるためのカリキュラムを、履修していかなければなりません。映像や画像、教科書やマニュアル、そしてなんと言ってもこの学校の教師陣が駆使する手話によって。
 我々、歯科医師会から出向する講師達の講義も、学校側の先生方が手話で通訳してくれます。今年からは、なんと大きな液晶画面モニターが導入され、リアルタイムに私共の講義内容をパソコンを通じて打ち込み、画面に文字として表示するというサポートまでしていただけるようになりました。その液晶画面は、今年、歯科技工士学術大会の会場のひとつとしてこの学校が使用されたことにより、ようやく国から予算がついて購入できたとの事でした。歯科技工科の先生方、手話とパソコンで私の拙い講義を通訳していただき、本当に有難うございました。
 この学校には、本当に全国から学生達が集まってきます。親元を離れて、北は北海道、南は福岡県などから入学してくるそうです。というのも現在、国内で聴覚障害者のための歯科技工士学校は、北海道と大阪、そしてこの市川市国府台にある筑波大学付属校の3校なのですが、北海道と大阪は数年後の閉鎖が決まり今年度は新入生を取らなかったためだそうです。まもなく国内唯一の学校になってしまいます。
 そのような話を学校の先生からお聞きして、現在の歯科界、さらには歯科技工士たちのおかれている現状を省みて、とても寂しい思いになりました。

 
筑波大学附属聾学校
 
筑波大学附属聾学校
 

 以前、私は、ここの授業で自分がライフワークにしている生理咬合学をテーマに講義をしてきました。噛み合わせが持っている機能には、従来知られている咀嚼という機能のほかにも、体勢を保持するための機能やストレスを発散する機能などがあること、また、これらは噛み合わせ治療をすることにより、術前の診査のデータが術後のそれと比較すると大幅に改善されていること等、臨床例などを通じて、講義してきました。さらには、顎の位置が改善するということを学生達に体感してもらうために、顎を動かしている筋肉をリラクゼーションさせるための「あごのクセ取り体操」や「カムカムチューブ体操」などを、実践してもらったりしていました。そのような内容を毎年少しずつ趣向を変えて、レクチャーしてきました。
 そして、昨年はガラッとテーマを変えて、「むし歯リスクテスト」を実際に自分達で実施してもらい、自分のむし歯リスクを把握した上でのむし歯予防プログラムを考えてもらいました。
 これは、数年前からビバ歯科・矯正小児歯科とビバ・ファミリー歯科で実践している予防管理型歯科医療が、かなり定着してきたため、その成果を少しでも学生達に還元したいと考えたからでした。アンケートによると、これは結構、学生達には受けたようでした。
 そして今年は、原点に立ち返り、歯科技工士の卵達ですから、間違いなく歯科技工に興味があるに違いないと思い、様々な歯科補綴物の症例写真をメインテーマに講義してきました。
 すなわち、セラミックスやハイブリッドセラミックスの詰め物や被せ物、バネの無い義歯、マグネット義歯、コーヌスクローネ義歯、1歯のインプラントから、多数歯のインプラントの例までと、様々なケースを提示してきました。
 ビバ歯科やビバ・ファミリー歯科では、様々なケース経験しているので、そのことが今回とても役に立ちました。
 少し時間が余ったので、10年ぐらい前から導入している歯周内科治療の考え方も、披露して終わりにしました。
  今回のレクチャーが、学生達にどのように写ったかは、いずれ届くアンケート待ちというところでしょうか。

 そして私は、毎年、同じように「学校の先生になっても面白かったかな?」と感じながら、学校を後にしました。

講義の様子 講義の様子


ビバ・デンタル 代表  関本浩貴
歯医者さんのコラム
 
   

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