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スポーツをやるあなたへ~歯のコンディションはどうですか?

こんにちは!

船橋市東船橋にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

 

東京都内では4度目の緊急事態宣言の真っ只中ではありますが、ついに7月23日夜“東京オリンピック”の開会式が行われましたね。当日はビバ歯科もお休みのため、ブログの主である私も「いまかいまか」とテレビの前で開会式がはじまるのを待っていました。

 

選手の入場行進では日本文化を象徴する「ドラゴンクエスト」、「ファイナルファンタジー」、「モンスターハンター」などゲームの音楽のオーケストラ演奏が流れ、ゲーム好きの私としては大興奮。他にも漫画の吹き出しをモチーフにしたプラカードや歌手のMISIAさんによる君が代の独唱、テニスプレイヤーの大阪なおみさんによる聖火最終点火などとても楽しい時間を過ごせました。中でも感動的だったのが会場上空に1800台のドローンが舞って地球を描いた演出です。新型コロナウイルスの感染や関係者の相次ぐ辞退など色々と不安もある中での開幕でしたが、選手たちが怪我なく力を発揮できることを願っている今日この頃です。

 

さて、オリンピックが始まったこともありますので、本日のブログでは“アスリートと歯の関係”についてお話したいと思います。

 

 

アスリートと聞くと日頃から鍛えていることから、『健康の鑑だよね』と思いませんか?

もちろん実際に、食事や睡眠など健康面では人一倍気を付けている方がほとんどかと思います。しかしながら、アスリートのお口の中はむし歯や歯周炎になりやすい、というのをご存じでしょうか?

・『え?本気(マジ)で?』と思ったあなた

・スポーツに打ち込んでいるあなた

・部活やクラブチームでがんばるあなた&保護者さま

 

 

ぜひこのブログをご一読ください!

ブログを読み終わったあとにはお口の中がムズムズしてきて、すぐに対策を打ちたくなりますよ!

 

~アスリートがむし歯になりやすいってホント?~

ホントです。でも、一般の方よりも健康を気遣うアスリートがなぜ?と思いますよね。

ここではまず、『むし歯ができるまでのお口の中の変化』についてお話し、その後でその『原因』を記していきます。

 

【むし歯ができるまでのお口の中の変化】

①むし歯菌が“酸”をつくる

お口の中に潜むむし歯菌(ミュータンス菌)が食べカスに含まれる“糖質”をエサにして酸をつくる。

 

②歯垢の中が酸性に傾く

歯の表面や歯と歯ぐきの境目、歯と歯の間に付着している白いネバネバを見たことはありませんか?あのネバネバが歯垢(プラーク)と呼ばれるものです。水に溶けにくいためうがい程度では落ちず、歯ブラシをしなければ綺麗に落とすことができないやっかいものです。この歯垢は本来中性ですが、むし歯菌がつくった“酸”により酸性に傾きます。

 

③歯の表面の“脱灰”が進行する

むし歯菌によって作られた“酸”によって、歯のエナメル質から成分(リンやカルシウム)が溶け出すことを“脱灰”といいます。この脱灰が進行するとやがて歯に穴があいてむし歯になるのです。ただし、穴があく前のむし歯いわゆる「初期むし歯」に限っては唾液の働きや毎日のケアで修復することができます。それが次の④です。

 

④歯垢の中が中性に戻る

唾液の働きにより、むし歯菌の作り出した酸が中和され洗い流され、歯垢の中がもとの中性に近い状態に戻ります。これを唾液の緩衝作用と呼びます。更に唾液の再石灰化作用の働きにより歯の表面から溶け出したリンやカルシウムが再び歯に戻されます。これによりむし歯ができることを予防しているのです。

 

いかがでしょうか。むし歯と聞くと恐ろしい病気にも思えますが、何も食事後すぐに歯に穴があくわけではありません。むしろむし歯にならないような仕組み(唾液の働き)が人体にはあるのです。しかしながら、私たち自身がその仕組みを崩しているがゆえにむし歯のリスクを高めています。ここからはそのむし歯リスクを高めている原因を見ていきましょう。

 

【むし歯の原因】

◆原因その1:スポーツドリンクの摂取

スポーツをするときには大量の汗をかくため、水分補給は必須ですよね。特にこの時期は真夏日、猛暑日が続き脱水症状を防ぐためには水分摂取は欠かせません。そしていわゆるスポーツドリンクは水分以外に、ミネラル、エネルギーなどを効率よく補給できる飲み物として必要不可欠な存在です。しかしながらこのスポーツドリンクにはエネルギー補給のために多くの“糖分”が含まれています。この糖分がお口の中に潜むむし歯菌のエサになるのです。

更に、スポーツドリンクには“酸”が含まれています。この酸も歯に悪さをする一因です。詳しくは後述しますね。

 

◆原因その2:ドライマウス

いわゆるお口の中の乾燥です。

みなさん、50メートル走をした後を思い出してみてください。全力疾走のあとは「はぁ、はぁ(*´Д`)」

と口で呼吸をしますよね。激しい運動をするアスリートも同様で運動中は口呼吸が多くなります。すると、お口の中が乾き、唾液の働きが鈍ります。唾液には口の中の粘膜の乾燥を防ぐ“粘膜の保護作用”やむし歯菌がつくった酸で溶かされた歯のエナメル質をもとに戻す“再石灰化作用”という働きがあります。口呼吸によりお口の中が乾燥するとこれらの働きが鈍り、むし歯のリスクが高くなってしまうのです。

 

◆原因その3:栄養補給という名のダラダラ間食

激しいトレーニングに打ち込めば打ち込むほど、エネルギー補給が必要になりますよね。その際、糖分の含まれた飲食物を間食として繰り返し、かつ歯みがきをしないまま過ごすのでむし歯の原因になるのです。先ほどお口の中の変化①~④でご説明した通り、歯垢の中は1日の中で酸性になったり中性になったりを繰り返しています。本来であれば唾液の働きや歯みがきをすることで中性の状態に戻すのですが、間食をダラダラと繰り返すことで歯垢内が常に酸性となり脱灰が進行、すなわちむし歯になってしまうのです。

とは言え、トレーニング中はお腹も空きます。そして歯みがきをする時間が確保しづらいですよね。そのようなときにはせめて「水」や「お茶」など糖分の含まれていない飲料と一緒にたべるように心がけましょう。またノンシュガーのガムを噛み唾液の分泌を促すことも効果的です。

 

◆原因その4:後回しにしがちなお口のケア

日々のトレーニングの忙しさから歯科医院での定期検診を疎かにしがちです。そうすることでお口の中のSOSに気が付くのが遅れ、むし歯が進行してしまうということもあります。

 

 

~アスリートって歯が溶けやすいってホント?~

ホントです。先ほどむし歯の原因その1でスポーツドリンクのお話をしましたよね。このスポーツドリンクには糖分の他に、酸が多く含まれています。歯がこの酸に触れると化学反応を起こして溶けるのです。

運動の際に蓄積される乳酸の分解を助け疲労回復を促すクエン酸はアスリートにとっての強い味方ではありますが、歯科の観点からみると歯の健康にとってはリスクが多い飲み物と言わざるを得ません。特に市販のスポーツドリンクはph3.5前後のものが多くこれらは果物のミカンと同じくらいの数値です。phは0から14まであり、中性はph7、7より大きいとアルカリ性、小さいと酸性ですからスポーツドリンクの酸性の強さは明白です。そして先述したとおり、運動中はドライマウスで唾液の働きが鈍り、かつ繰り返し酸性の強いスポーツドリンクを飲み続けるためお口の中が酸性に傾いたままになり歯が溶けやすい環境が整ってしまうのです。その他、疲労回復のための柑橘類の摂取も要注意です。

ちなみにこの酸により歯が溶かされてしまう病気のことを酸蝕症といいます。以前のブログでもご紹介しておりますのでぜひこちらもご覧ください。対策としては、スポーツドリンクを飲んだ際にお水も一緒に飲むこと、フッ素を含んだ歯磨き剤を使うことなどを意識すると良いでしょう。なお、この酸蝕症ですが歯の表面が白くなったり、歯の先端がギザギザになったりして違和感を覚え気が付く患者さんも多くいますが、知らず知らずのうちに進行している場合もあります。「むし歯のような痛みがあるけど他の医院では“知覚過敏”と言われた」という方、それはもしかすると酸蝕症が原因かもしれません。一度信頼できる歯科医院での診察をおすすめします。

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身体や心のコンディションを整えるのと同様に一流アスリートにとって「歯の健康維持」はとても大切です。実際にアスリートの健康管理を歯科医学的見地から調べる新しい分野の学問、すなわちスポーツ歯学という研究があることからも言わずもがなですね。オリンピックではアスリートの演技の素晴らしさや身体能力に心奪われがちですが、世界中のトップアスリートたちの口元に注目してみるのも面白いかもしれません。