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嗚呼、かんちがい~歯を抜くタイミング

こんにちは!船橋市東船橋にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

 

日々、お子様から大人の方まで幅広い年齢層の患者様とお話しておりますと、“都市伝説”のような歯のお話を耳にすることがあります。そこで、患者様が勘違いしがちな“お口の中&歯のお話“について『嗚呼、かんちがい』と称し、不定期にブログでご案内しております。

過去の投稿は以下からご覧ください。

第1弾:『歯のお引越し』

第2弾:『歯の土台』

 

さて今日は記念すべき第3弾、こちらです!(ジャジャジャジャーン♪)

 

👻『痛い歯はいつだって抜ける(いや、そんなことはない)』

 

反語的に書いたので分かりにくいかもしれませんが、要は「歯が痛いからといって、いつでも抜けるわけではない」ということです。こんなことを歯科医院のブログで書いてしまうと、痛みを我慢されている患者さんからは

「やぶ医者か~~~!!」

とお叱りを受けてしまうかもしれませんが、まったくもってそんなことはないのです。むしろ、“いつでもどこでも歯を抜ける”といった歯医者さんの方が少ないはずです。

 

なぜなのか?

何事にもタイミングって重要ですよね。

例えば、彼氏・彼女にプロポーズをするとしたらいつでもどこでもいいわけではありません。きっと、花束を用意したり、夜景のきれいなレストランを予約したり事前の準備をおこなうはずです。それと同じで、抜歯(歯を抜くこと)にも適切なタイミングがあるのです。そしてこのタイミングを間違えてしまうと、むしろ治療が長期化してしまうこともあります。

そこで本日は患者さんが歯科の名医を見分ける参考になればと、抜歯のタイミングについてお話したいと思います。

ねぇ歯医者さん。こんなに痛いのに何で抜いてくれないの?

歯が痛くて痛くて仕方なく、やっとの思いで歯医者さんまでたどり着き、やっとお名前が呼ばれ診察台へ。

そこで

 

あなた:「あ~~~!やっと、この痛みから解放されるわ」

 

と思ったのも束の間

 

歯医者さん:「あ~、この歯ですね。ただ、これはまだキュウセイキですから今すぐには抜けないですね。」

 

と言われ、

 

あなた「え!?(心の中)キュウセイキ?なにそれ?いいから早く抜いて楽にしてよ!」

 

なんてやりとりをしたことはないでしょうか?

もしこんなご経験があったとしたら、あなたの出会った歯医者さんはとても素敵なドクターです。なぜならその歯医者さんはあなたの治療が最短で終わるように、そしてあなたの歯の将来をおもっての診断だからです。

 

 

ではここからは、なぜすぐに歯を抜くことができないのか具体的に書いていきますね。

 

病気による症状のタイミングには大きくわけて2つあります。

1.急性期…症状が急激に現れる時期で病気になり始めの時期。

2.寛解期…一時的に症状や兆候が軽くなり、症状がおさまっている時期。こちらは完治もしくは治癒のように完全に病気が治ったわけではありませんので、寛解の段階では病変の再発の可能性があります。

 

結論から申し上げますと、急性期には抜歯ができず、寛解期に入ったときに抜歯を行うのが基本です。

急性期には歯の痛みが強くこの時期は炎症が盛んです。そして炎症が盛んだということはバクテリアが沢山いるため、この時期に抜歯をしてしまうと傷口から菌が感染し歯槽骨炎の原因になります。歯槽骨炎になると歯肉の腫れ、痛み、出血そして発熱などといった症状がでてきます。さらに歯槽骨炎は細菌の感染力が強いときや患部の抵抗力が弱くなっている時には歯槽骨にとどまらず顎の骨全体にまで影響がでてきます。この骨にまで症状が広がった状態が骨髄炎です。これは骨の感染症で、抗菌剤の投与でも治癒ができなかった場合には、外科的治療として硬化した骨や腐った骨の除去をすることまであり長期治療が必要になることもあるのです。

これらのことから、急性期(痛みがひどい時期)には抜歯をせず、一旦バクテリアの勢いを薬で抑えてあげる必要があるのです。その後、寛解期(バクテリアの繁殖を抑えた時期)に抜歯をしていきます。

 

その他以下のような症状のある患者さんも一旦見送るケースがありま

す。

・妊娠中

どうしても抜歯が必要である場合には、妊娠5~7ヶ月の安定期に行います

・月経中

精神的にも不安定になる時期です。また、生理中は経血をスムーズに排出するために血が固まりにくくなっています。時間をかけて止血すれば問題ないですが、出来れば時期をずらすことをおすすめします。

・基礎疾患のある方

心臓病、高血圧、糖尿病、肝臓病、腎臓病などの基礎疾患があり、抗凝固薬、降圧薬、ステロイドなどを処方されている方はまずご相談ください。

 

 

 

抜歯は最後の手段です

ここまで、“抜歯”・“抜歯”・“抜歯”と繰り返しましたが、歯を抜くことは歯科治療での最終手段です。歯は一旦抜くと元通りにすることはできず、後戻りができません。そんな治療方法だからこそ患者さんのご希望をしっかりとヒアリングし慎重に治療を進めるべきだと考えております。

以前のブログでもお伝えした通り、私たちの歯1本1本にはそれぞれ役割があり、1本でも失うと全体のバランスが崩れます。咬み合わせの問題はもちろんのこと、明瞭な発音への影響、そして今後ブリッジや入れ歯を入れる時の支えになる歯がなくなってしまう問題もあります。

どんなにお金を積んでも自分の歯(天然歯:てんねんし)は戻ってきません。だからこそ毎日の歯磨き、そして定期的な歯科検診を受け、QOL(Quality of life:生活の質)を向上させていきたいですね。

 

ビバ歯科・矯正小児歯科では歯科医師の診察に加えて、各種検査(レントゲンやCT等)をおこない、患者さんにご説明差し上げたうえで治療方針を決めていきます。もし今あなたのお口の中で痛みを感じる歯があれば、すぐにご相談ください。先のご案内の通り、ご来院してすぐに抜歯できるものではないですので、早め早めにご相談くださいね。

 

 

🦷知っ得:歯医者さんの選び方🦷

みなさんは「Doctor Shopping(ドクターショッピング)」という言葉を耳にしたことがありますか?

これは1つ目の病院の診察・診断に満足できず、他の病院にいきそこでも満足できず、更にまた他の病院にいくといった、医療機関を転々とする行動のことを言います。別名で「青い鳥症候群」とも呼ばれています。

 

今回のお話ですと

1軒目の病院「今すぐは抜けないよ。」

2軒目の病院「炎症を起こしていますね。まずは炎症の治療から行いましょう」

3軒目の病院「わかりました!今すぐ抜きましょう」

 

となった場合、痛みを我慢している患者さんにとっては3軒目の歯科医師がいかにも“名医”に映るものです。

本当に適切な時期、適切な技術を伴ってであればそれは本当に名医と呼ぶに値しますが、必ずしもそうではありません。このブログでお話した通り、歯科医師は口腔内の状態をすべてチェックしたうえで、あなたにとってのベストな方法をご提案しているはずです。だからこそ、

「即日抜けないだなんで、ここの歯医者さんはダメね!!」

なんてレッテルを貼られてしまってはとても悲しいものです…。

 

ビバ歯科・矯正小児歯科でも治療に入る前段階で患者さんお一人おひとりへのご説明を心がけておりますのでぜひご理解いただいた上でご判断していただけますと嬉しいです。