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驚くべき変化~子どもたちのむし歯の本数

こんにちは!

船橋市東船橋にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

 

突然ですが、みなさんこちらの数字をご覧下さい。

何を表す数字がわかりますか?

 

 

2001年度…2.48本

2019年度…0.69本

 

 

実はこちら、12歳の永久歯の一人当たり平均むし歯数です。

驚くことにわずか20年の間に、一人当たりのむし歯数の平均は2本近く減っています。更に、一人当たりの平均むし歯数は「0.69本」。つまり、1本でもむし歯がある子は平均よりもむし歯数が多い、ということです。とても衝撃的な数字です。

 

更に細かく推移を調べてみました。

こちらは文部科学省の資料で学校保健統計調査の歯科部分をまとめたものです。

2019年度の統計が最新となります。令和2年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、全国の学校が一斉休校となり健康診断の時期が遅れたため、学校保健統計調査の速報値及び確定値は6月末時点で未公表です。

 

表の2014年度(黄色の箇所)以降は平均数が1本を下回り年々減少していることがお分かりになるかと思います。確実にここ20年の間に子どもたちの口腔内環境が改善されているのがわかりますね。小児歯科も扱うビバ歯科としては嬉しい限りです。それにしても、生えて間もない歯は十分な硬さがなく(そのためむし歯になりやすい)、また新しく生えてきた奥歯の磨きにくさを考えるとこれらは本当に驚異的な数字といえます。なぜこんなにも改善されたのでしょうか。そこでむし歯の平均本数が減少した要因について考えみました。

 

推察―なぜ子どもたちのむし歯の本数が減ったのか

  1. フッ化物塗布事業の広まり

 皆さんは歯科医院でフッ化物を塗ってもらったことがありますか?「フッ素はむし歯予防になる」ということをどこかで耳にしたことがある方もいらっしゃるかと思います。保健所や歯科医院で幼児が歯にフッ素を塗ってもらう“フッ化物歯面塗布”、保育園や学校などでフッ素の水溶液でうがいをする“フッ化物洗口”は特にお子様方にとって身近なこととおもいます。実際に船橋市のお隣の市川市で今年の6月より2歳6か月~3歳未満児を対象とした フッ化物(フッ素)歯面塗布事業が始まりました。ビバ歯科の分院であるビバファミリー歯科でも実際に先月から受け付けております。

 

フッ化物の役割は主に3つです。

1)歯の質自体を強くする

歯の表面のエナメル質を構成する結晶にフッ化物イオンが取り込まれると酸(むし歯の原因)に溶けにくい丈夫な歯質になります。

2)歯の再石灰化を促す

歯は食事の度に溶かされてカルシウムなどが溶け出します(これを『脱灰』といいます)。しかしその後唾液の働きにより再びカルシウムは歯に取り込まれて修復されています(これを『再石灰化』といいます)。これらを繰り返すことで歯はボロボロにならずに保たれているのです。そしてこの時唾液中にフッ素があると再石灰化が起こりやすくなるのです。まさしくスーパーマンの働きですね。

3)歯垢の生成を抑えます

歯垢の中にフッ化物がとどまり、むし歯菌の活性を抑えて酸を作らせないように働きかけます

 

これだけでもフッ化物のパワーがわかりますね!

 

さてここまで“フッ素”とか“フッ化物”という言葉を出してきましたが、この2つ名前はよく似ていますが、姿形はちょっと違います。簡単にいうとフッ素は単体で気体ですが、これが他の物質とくっつくとフッ化物となり固体となります。フッ素はとても不安定で寂しがり屋なので、すぐに他の物質とくっついてしまうんですね。学生の頃に化学の授業ででてきたいわゆる“化合物”と呼ばれるのがこのフッ化物です。

 

2.ケアグッズの普及

 みなさんは歯磨きの際にどんなグッズを使用していますか。

🙄「そんなの歯ブラシと歯みがき粉だけだよ」

という人もいれば、

 

 

🥰「まずデンタルフロスで食べかすのかき出し。次に歯ブラシと歯みがき粉でブラッシング。続いて、舌ブラシで舌の清掃。最後に洗口液で歯周病ケアをしているよ」

 

という私たち歯科医院のスタッフも脱帽するほどのケアをしている方もいらっしゃるかとおもいます。 このように現在ではドラッグストアやオンラインショップでも様々な口腔ケアグッズが販売・普及しております。当院でも取り扱っておりますが、お子様専用の歯みがき剤、フロスなどの広まりもむし歯予防の一因と考えられます。こちらのお写真の歯磨き剤は“今日を愛する”で有名なLIONさんから販売されているCheck-Upです。フッ化物を950ppmF配合しているため歯の再石灰化に最適です。また香味もアップル、グレープ、ピーチなど様々あり、ビバ歯科に通院される子ども達も自分でお気に入りの1本を見つけています☆

 

 

3.保護者の意識、関心の高まり

先の2つに並んでこちらも子ども達のむし歯の減少に大きく影響していると思います。親御さんがお子様の健康のために、“仕上げ磨きなどの口腔内ケア”、“矯正治療のための歯科通院”など精一杯尽力されていることが数値にあらわれていると言っても過言ではないはずです。加えて、インターネット及びSNSの普及により、“誰でも”、“簡単に”、情報を獲得できるといった生活環境の変化も大きいと思います。

 

4.歯科医院による予防歯科

昔と比べ歯科治療の位置づけがかわってきたことも大きいと思います。実はブログの主である私もそうだったのですが、昔は「歯医者さんは痛くなってから行くところ」という考えでしたが、現在では「歯医者さんは痛くならないために行くところ」と意識が変わってきているようです。ビバ歯科・矯正小児歯科でも行っておりますが、予防歯科のための定期検診もその1つです。むし歯になってから痛い思いをして治療するのではなく、むし歯にならないように定期的に歯医者さんに通ってお口の中のメンテナンスをするのです。健康な歯はもとより、時間的にも金銭的にもやさしいですよね。当院に通われる患者さんたちの多くが3~6ヶ月ごとの定期検診に足を運んでくださり、お口の中を健康に保っています。

 

最後に~

冒頭でご紹介した数字は全国平均です。よって地域格差や生活環境によっても差があることが考えられます。

しかしながらフッ化物洗口を実施する学校数が増えればいかなる家庭環境のお子さんも学校にいけばむし歯予防をすることができます。1校でも多くの学校にこれらの歯科予防習慣が取り入れられるように願っています。

 

 

🦷豆知識🦷~これを知ったらあなたも明日からハナタカ!~

今回取り上げた“フッ化物”ですが、私たちの身近な食品や飲み物にも含まれているのをご存じですか?例えば、りんごやみかんなどの果物、人参やじゃがいもなどの野菜、貝や鰯(イワシ)などの魚介類、そして緑茶や紅茶、牛乳などの飲料の中にも含まれています。案外毎日口にしているものの中に含まれているのでちょっとびっくりしますよね(笑)。ただ残念なことに、これだけではむし歯を予防するまでには至りません。だからこそ歯科医院でのフッ化物塗布やフッ化物の含まれる歯磨き剤の使用が大切なんですね。