新着情報

睡眠時無呼吸症候群が劇的に改善~スリープスプリント

こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
先日当院院長の作成したリーフレットが、千葉県保険医協会を通じて県内で使用され始めているとこちらのブログでご紹介させていただきました。テーマは睡眠時無呼吸症候群についてです。ちなみに睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは書いて字のごとく、睡眠中に幾度となく呼吸が止まってしまう病気です。寝ている最中すなわち無意識下で低酸素状態になるので体に大きな負担がかかり場合によっては命に危険が及ぶとても怖い病気です。(すでに学会では睡眠時無呼吸症と呼ぶことが決まりましたが、今でも世間一般では睡眠時無呼吸症候群という病名の方が通っているのでこのブログではこの呼称を使用します。)

ところで、睡眠時無呼吸症候群の治療にはどんなものがあるかご存知ですか?大きく分けて次の3種類です。

  1. 内科的治療
  2. 耳鼻咽喉科的治療
  3. 歯科的治療

特に内科的治療は「適正体重の維持」、「適度な運動」、「栄養バランスの整った食事」など生活習慣の改善を含みますからどんな病気を治すにも基本となる部分です。また内科的治療の1つにCPAP(シーパップ)があります。これはContinuous Positive Airway Pressureの略で日本語では持続陽圧呼吸療法とも呼ばれています。装置本体からエアチューブ、鼻マスクを介して気道内に空気を送り込み、気道を広げることで睡眠中の無呼吸を防止する治療です。近年テレビ番組やSNSで有名人の方が装着されているのを見た、という方も多いのではないでしょうか。

今日は命にも危険が及ぶ睡眠時無呼吸症候群について歯科的治療の1つ*を詳しくご紹介していきます。その名もスリープスプリントです。ぜひ最後までお付き合いくださいね。

 

*睡眠時無呼吸症候群はその原因から3つのタイプに分類されます。

1.閉塞性睡眠時無呼吸症候群

空気の通り道の気道が物理的に狭くなり呼吸が止まる。罹患者の9割以上が該当。

2.中枢性睡眠時無呼吸症候群

脳から呼吸指令が出なくなる呼吸中枢の異常による。閉塞性よりも重症とみなされる。

3.混合型睡眠時無呼吸症候群

閉塞性と中枢性の混合した病態。

 

今回はその中でも罹患者の9割以上を占める閉塞性睡眠時無呼吸症(気道が物理的に狭くなり呼吸が止まる)を想定した治療のご紹介です。なお睡眠時無呼吸症候群の分類や原因についてはこちらのブログ『たかがイビキ?本当は怖い睡眠時無呼吸症候群』で詳しく説明しておりますのでぜひご覧ください。

 

スリープスプリントとは?

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の方の治療に使用する口腔内装置です。見た目はマウスピースによく似ていて、就寝時にお口の中に装着して使用します。ところで、このスリープスプリントですが大きな特徴が2つあります。1つ目は上顎と下顎でくっついていることです。そのため装着後は自由にお口を動かすことはできません。そして2つ目は下顎部分が前方に突き出していることです。お写真をよく見ると、下顎全体が前にでていますよね。実はこれがキーポイントです。

ちなみに下のお写真のように下顎が動かせるタイプのスリープスプリントもあります。こちらは上顎と下顎がゴムで固定されているため、先程のタイプと比べると多少下顎が動かせるのが特徴です。どちらのタイプを使用するかは患者様の症状を診て相談して決めていきます。

ヒトは就寝時に重力や筋肉のゆるみにより舌が沈んだり、軟口蓋(のどちんこの手前のやわらかい部分)が沈んだりします。その際、下顎が後退しているとより沈み込みが深くなり気道をふさぎがちになります。そのため、スリープスプリントでは下顎を前方に維持した状態で上下の顎を固定する造りになっているのです。これにより重力による舌や軟口蓋の沈下を防ぎ、空気の通り道である気道を確保することができます。

なおスリープスプリントは、以前は自費のみ(保険適用外)の治療でしたが、現在は耳鼻科、呼吸器内科などで閉塞性睡眠時無呼吸症と診断をうけ、治療依頼書を持参いただければ健康保険の適用が認められるようになりました。

※睡眠時無呼吸症候群の原因については上記以外にもあります。こちらのブログ『たかがイビキ?本当は怖い睡眠時無呼吸症候群』で詳しく説明しておりますのでぜひご覧ください。

 

実際の症例

患者:50代女性
主訴:睡眠時のイビキ・無呼吸

治療の流れ

1.ビバ歯科にて相談

かねてより歯科の治療で当院に通院されている患者様でしたが、ご家族からイビキ・無呼吸の症状を指摘されたとご相談をいただきました。

 

2.医科へ紹介

睡眠呼吸障害専門のクリニックへ紹介しました。そして、そちらのクリニックでポリソムノグラフィー(PSG)という検査を行いました。この検査は睡眠時無呼吸症候群の確定診断のために必須です。脳波、筋電図、眼球の動き等を測定することで、睡眠の深さ、睡眠の分断化や覚醒反応の有無、睡眠の構造、睡眠効率などを算出します。

結果はこちらです。睡眠時無呼吸症候群と診断されましたが内科での薬物療法は基準以下とのことでした。そのためご紹介先のクリニックの医師より、『まずは歯科での口腔内装置でイビキの軽減をすること』をご提案いただきました。この口腔内装置が先ほどお話したスリープスプリントです。

 

3.ビバ歯科にてスリープスプリントによる治療開始

お写真のようにスリープスプリントを装着して就寝することを1ケ月ほど続けていただきました。はじめはお口の中に異物があることに慣れないとのお話でしたが、イビキ・無呼吸の改善、健康のためにと患者様とご家族が一丸となってがんばってくれました。

 

4.医科にて再診

当院での治療をしておよそ半年後、再度ポリソムノグラフィー(PSG)検査を行っていただきました。その時の結果がこちらです。(その他グラフなどもありますがここでは割愛します)

 

様々な数値が掲載されていていますが、特に注目したいのが右下の赤枠内、AHIの数値です。治療前8.0→治療後4.8と大きな改善がみられました。

ここでAHIについて補足します。これはApnea Hypopnea Indexの略で、日本語では無呼吸低呼吸指数といいます。1時間あたりの無呼吸(Apnea)と低呼吸(Hypopnea)を合わせた回数のことです。つまりこの数字が大きいということはそれだけ無呼吸ないし低呼吸の回数が多いということですから、症状が重いということになります。なおAHI値による症状の分類は以下の表のとおりです。こちらの患者様の場合、治療前の数値が8.0すなわち軽症という診断でしたが、スリープスプリントの装着によりその数値が半分近くになりました。これがスリープスプリントによる気道確保の効果です。

閉塞性睡眠時無呼吸症の重症度AHI値

さらにこちらのセファログラム写真をご覧ください。
まずは黄色枠の中をご覧ください。治療後は下顎が大きく前方にでていますよね。更に、青枠の中にも注目しましょう。こちらは舌骨です。クッと上向きになったのが確認できます。そしてこれらの効果により気道の幅が広がったことがわかります。

そして、これらAHIの数値やセファログラム写真が示す結果とともに、最近ではご家族からも『イビキの音が小さくなった』と言われているそうです。そして患者様ご自身でも『よく寝られるようになった』と嬉しいお言葉をいただきました。

さて今日は睡眠時無呼吸症候群を歯科での治療を通じて改善された患者様についてご紹介いたしました。もしご家族やパートナーからイビキ・無呼吸を指摘されて悩んでいる方がいらっしゃいましたらぜひ一度ビバ歯科・矯正小児歯科までご相談くださいね。

 

最後に

「〇〇についてブログに書いてほしい」などのリクエストや「△△って何?」などのご質問も随時受け付けております。以下いずれかよりぜひご連絡いただければ嬉しいです!

(問い合わせ方法)

・お問い合わせフォームはこちら

・TwitterのDMは@viva_shikaで検索

医院概要

医院名 ビバ歯科・矯正小児歯科
住所 〒273-0002
千葉県船橋市東船橋1-37-10
(タップでGoogleマップが開きます)
電話番号 047-421-0118
最寄り駅 JR総武線「東船橋駅」南口 徒歩30秒
アクセスの詳細はこちら
駐車場 敷地内に5台分の駐車場があります
休診日 水曜(第1週)・木曜(第2週以降)・日曜・祝日