機能的で美しい
歯並びを目指して
お口や咬み合わせには、食べるという咀嚼の機能だけでなく、体勢を保持するための器官、ストレスを発散するための器官、呼吸器補助器官など、とても大切な役割があります。
咬み合わせがズレると顎が歪みます。顎が歪むと体の歪みに繋がり、肩こり・頸のコリ・頭痛・自律神経の失調へと悪化していきます。
噛み合わせの本来の機能を知り、正しい噛み合わせ維持していくことで、全身の健康へ繋げていきましょう。
新しい噛み合わせの考え方
以前はお口、噛み合わせの機能は「摂食、嚥下(咀嚼)」「発音」「呼吸(口呼吸)」「審美(社会性)」の4つであると考えられてきましたが、さまざまな研究からその他にも体への影響、健康への影響をもたらすことが分かってきました。
噛み合わせの乱れは歯並びの乱れから知覚過敏を誘発したり、体の歪みをもたらしたり、また睡眠時無呼吸症候群などの特定の病気になりやすいなどの関係性が着目されてきました。
お口や噛み合わせの6つの機能
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体勢の保持
噛み合わせのずれている方の場合、発音や呼吸の異常だけでなく、体の姿勢にも影響が出ているということが分かってきました。体の歪みが生まれることで、肩こりや体の不調や歩き方にも影響が出てしまう可能性もあります。
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ストレス発散
歯ぎしりや食いしばりは無意識のうちのストレス発散の行動ということが分かってきました。
「歯ぎしりや食いしばりの癖なんて覚えがない」という方も夜間の就寝中に行っていることがあります。 -
呼吸(呼吸の補助器官)
口は呼吸するための器官であるのは当然のことながら、歯並びや顎の発達により、空気の通り道が狭まり、呼吸が阻害されると、睡眠時無呼吸症候群などの病気へ繋がる恐れが考えられます。
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摂食・嚥下
口から食べ物摂取し、飲み込むことで、体内に栄養を蓄えていきます。正しい口の動き、噛み合わせは食べ物をちぎり、細かくしていくことで、この栄養の吸収を助ける働きがあります。
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発音
口は発音、つまり会話というコミュニケーションをとるうえでの重要な器官です。
歯並び、舌の動き、噛み合わせの乱れは発音にも影響を及ぼします。 -
審美(社会性)
口は表情を作るうえでも重要な体の部位です。
人間は表情で喜怒哀楽を現すことで、言葉がなくても社会性を保つことできるのです。噛み合わせの乱れが顔の歪みにつながらないようにするのも重要です。
噛み合わせと姿勢
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当院にご来院される患者さまの中には、頭痛や肩こり、顎関節症、不定愁訴(原因が分からない不調)を訴える方がいらっしゃいます。
これらの方の口腔内の状態を調べると、上下の歯がうまく噛み合わず、口を閉じたとき奥歯に隙間が出来たり、前歯が開いてしまっていることが多いのです。実は、頭痛や肩こり、顎関節症、不定愁訴などのからだの不調は不正咬合(噛み合せが合っていないこと) が原因になっている可能性があります。
私たちのあごの筋肉は首や脊柱などを支えています。ところがあごの位置がズレると噛み合せが合わなくなり、体の重心がズレ、頭痛や肩こり、顎関節症、不定愁訴などを引き起こすのです。 -
また逆に、姿勢が悪かったり、背中や腰などが曲がっていたりすると、顎がズレてしまいます。つまり、私たちのからだにとって、噛み合せは重要な働きをしているのです。
当院では患者さまの健康を考慮した噛み合せを重視し、一人ひとりに適した治療を行っています。正しい噛み合せに戻す、維持することができれば、前述のような不定愁訴もなくなりひいては健康な体を作ります。
気になられた方はどうぞお気軽にご相談ください。
当院の噛み合わせ治療
当院では噛み合せを改善することで、肩こり、頭痛、顎関節症、不定愁訴などの治療・改善ができ、全身の健康へ繋がると考えています。
では噛み合わせを整えるためにはどのようにしたらよいのでしょうか?
当院の嚙み合わせ治療は顎をニュートラルポジション(正しい位置)に戻すことを念頭に治療していきます。
術前検査
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パノラマレントゲン(保険内)、顎関節レントゲン(保険内)、ケースによりCT、触診、顎運動ビデオによる検査を通じて検査を行います。
検査を基に綿密な治療計画を立て、噛み合わせの治療を行っていきます。 -
正しい噛み合わせ(ニュートラルポジション)とは
まずはニュートラルボジションを把握する方法です。直径0.5mm程度の細いビニールパイプをくわえ、数秒間ぎゅっと噛みしめ、口を弛めます。すると噛み合せが少し変化します。さらにもう一度ぎゅっと噛みしめ、口を弛めると、また噛み合わせが動きます。
この動作を15分ほど続けると、これ以上、噛み合わせが変化しなくなる場所があります。それがニュートラルボジションです。
咬合の改善のために
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1マウスピースを使った治療(保険内)
不正咬合、歯列不正、歯の欠損、歯周病、大きなむし歯、親知らずによる影響などの様々な要因が噛みあ合わせのズレにつながり、顎関節症などの原因になっていきます。
また、睡眠時に起こる食いしばり・歯ぎしりも口腔周囲筋や頭頚部の筋肉の疲労・凝りにつながり顎関節症の大きな原因の一つになります。
さらに覚醒時にも無意識に噛みしめなどを行っていることがあり(TCH)、それらも顎関節症の要因になっています。
マウスピース治療は、最も筋肉の緊張が少ないニュートラルな下顎位に噛み合わせを戻す治療です。 -
2ハードスプリント(自費治療)
ハードスプリントは、比較的重症度が高い顎関節症の治療に適した方法です。あごにかかる力を和らげる関節円盤と呼ばれる部位のずれを正し、顎関節症の状態を改善していきます。
※保険は適用されません。 -
3補綴(ほてつ・かぶせもの)による治療
「補綴」とは、詰め物や被せ物などの人工的な歯を使って、むし歯治療で削った部分や歯の欠損部を補う方法です。入れ歯、ブリッジ、インプラントなども補綴の分野に含まれます。
補綴物を使った治療では、噛み合わせの調整が非常に重要です。噛み合わせにわずかでもズレがあると、顎関節症の原因になりますし、噛む力を受け持つバランスが悪いことから特定の歯の寿命が短くなることもあります。また、骨や筋肉にアンバランスな力がかかって肩こりなどにつながる例も見られます。 -
4ケースにより矯正や補綴治療
噛み合わせを調整するには、歯を削る方法と、補綴物を作って高さを補う方法があります。
また、場合によっては矯正治療で歯並びを整えることも、噛み合わせを調整するためには有効な手段として利用します。
筋肉の
リラクゼーションのために
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1筋弛緩訓練療法
あご周辺の筋肉の緊張を薬剤の作用で弛緩させて、蓄積したストレスを和らげる治療方法です。使用する薬剤には、アクロクァロンや塩酸トリペルジンのほか、塩酸チザニジンなどがあります。
有効な治療方法ですが、眠気やふらつき、倦怠感や脱力感、肝機能障害などの副作用が考えられるので、事前の説明をていねいに行います。 -
2ボツリヌス菌注射を使った治療
ボツリヌストキシン製剤を筋肉に注射すると、筋肉の働きを抑えることができます。そのため、食いしばりや噛みしめが強い人に適用する治療方法です。
食いしばりや噛みしめは、睡眠中も含めて無意識に行っていることが多く、患者さま本人が意識して減らすことは容易ではありません。その点を踏まえて、この方法は薬剤の作用でかかる力を弱くすることを目的としています。ボツリヌス菌注射は各医療分野で広く使われているので信頼性もあります。 -
3トリガーポイント療法
「トリガーポイント」とは、食いしばりや歯ぎしりで発生する痛みのトリガー(引き金)になるポイントのことで、筋肉が疲労した際に硬化した部分を指しています。そのため、トリガーポイントの硬化をほぐして筋肉を緩め、血行を良くしていくことで、問題を解消していくことができます。
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4TCH(歯牙接触癖)の改善指導
上下の歯は常時接触していないことが一般的ですが、意識せずに上下の歯を接触させてしまうクセをTCH(Tooth Contacting Habit):歯牙接触癖と呼びます。
TCHはストレスに影響を受けて発症することも多く、パソコン作業等で日常生活の中のストレスがかかり続ける人に多く見られます。顎関節症の原因ともなりますが、歯周病のリスクを高めることもわかっています。 -
診療前の注意点
- 噛み合わせの調整の効果は患者さまごとによって異なります
- 治療法は患者さまのお口の状況を見て、ご提案するため、治療期間や料金が異なります
- 治療法によっては、治療装置の装着時間を守っていただかないと十分な効果が得られない場合があります
料金について(すべて税込)
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パノラマレントゲン
保険適応
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顎関節レントゲン
保険適応
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CTレントゲン(ケースによる)
保険適応
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触診
¥2,000(税込¥2,200)
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顎運動ビデオ
¥5,000(税込¥5,500)
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マウスピース治療
保険適応
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ハードスプリント
¥50,000(税込¥55,000)
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筋弛緩訓練療法
¥3,000(税込¥3,300)
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咬合ボツリヌス治療
¥26,000(税込¥28,600)
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トリガーポイントブロック療法
¥3,000~¥4,000(税込¥3,500〜¥4,400)
術前診査料金
咬合改善の料金
筋肉リラクゼーションの料金
噛み合わせと
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠中に10秒以上息が止まることを「無呼吸」、呼吸が弱くなることを「低呼吸」と呼びますが、これらが1時間に5回以上発生すると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。発症すると身体が低酸素状態になることから、心臓や脳の疾患のほか、高血圧のリスクが高まること、日中の集中力低下などが問題となります。
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の日常生活への影響
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眠っているとき
- いびきが見られます
- いびきの停止、大きな呼吸、再度いびきといったサイクルが見られます
- むせることが増えます
- 呼吸の停止や乱れ、息苦しさが見られます
- 睡眠中に目覚めることや寝汗、夜間頻尿が増えます
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起きているとき
- 熟睡できないことから、起床時の不快感をおぼえます
- 頭痛がする
- 身体の重さ、日中の眠気、倦怠感、疲労感が見られます
- 集中力が低下し、家事や仕事に影響することもあります
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とマウスピース治療
睡眠時無呼吸症候群は、肥満傾向やあごが小さいこと、下あごが後退していること、鼻呼吸不全のほか、扁桃肥大やアデノイドなどが複合的に関連することがあります。
現象としては、気道が狭くなることや、閉塞することで無呼吸や低呼吸状態におちいる例が見られます。 -
マウスピース治療
マウスピース状の装置を利用する治療方法で、スリープスプリントと呼ぶ場合もあります。睡眠時無呼吸症候群では下あごの後退が見られることが多いので、下あごを前方に固定させて上気道を保ち、無呼吸を防止します。上下顎一体のタイプは保険適用できますが、上下顎分離型は自由診療の範囲で作製いたします。
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診療前の注意点
- 上下顎分離型マウスピースは自費診療のため、コストがやや高額になります
- 継続して使わないと効果が出ないため、患者さまのスケジュール管理が必要になります。
料金ついて
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上下顎分離型マウスピース
¥50,000~100,000(税込¥55,000~110,000)