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これが最新版 フッ素配合歯磨き剤の推奨使用量と濃度
こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
“むし歯予防にはフッ素入り歯みがき粉が良い”という認識は日本でも浸透してきました。スキンケア、ヘアケアに続いて、オーラルケアも当たり前になる日もそう遠くはないでしょう。(予防歯科に力を入れる当院のような)歯医者さんとしても嬉しい限りです。歯科専売でなくとも、ドラッグストアやネット通販でフッ素配合の歯磨き剤が買える良い時代になりました。でも、日焼け止めやシャンプー同様に、商品数が多く一体何を基準に選べばいいのでしょうか。やみくもに、高濃度の商品を選んで使えばいいというものではありません。
そこで今回の記事は、最新の1)フッ素配合歯みがき粉の推奨使用量と濃度についてお話していきます。オーラルケア業界も、IT知識のように日々新しい情報がアップデートされていきます。やはり歯医者さんから正しい最新の知識を得て、ケア実践するのが一番ですので、この記事をぜひ歯磨き剤選びの参考にしていただきたいと思います。
1)2023年1月1日に提言。2025年12月現在に至る
目次
ご存じですか?
フッ素配合歯磨き剤の推奨量・濃度に新しい基準
2023年1月1日に、4学会(日本小児歯科学会・日本口腔衛生学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会)から合同で「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」についての提言が発表されました。その概要を下記に引用します。
“日本の子どものう蝕は経年的に減少傾向にあるが、その罹患率は他の疾患と比較しても高く、また成人では約3人に1人が未処置う蝕を有し、高齢者ではう蝕経験者は増加している1)。
う蝕予防のフッ化物応用は75年以上の歴史で安全性と有効性が繰り返し確認されており、中でもフッ化物配合歯磨剤は日本で広く普及している。フッ化物応用の研究のアップデートや、市販歯磨剤のフッ化物濃度の変更、国際的な推奨の更新を受け、日本のう蝕予防および治療を専門とする4学会合同で、現在の我が国における推奨されるフッ化物配合歯磨剤の利用方法をまとめることとした。“
1) 厚生労働省:平成28年歯科疾患実態調査:[http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/62-28-02.pdf
(公益社団法人 日本小児歯科学会のサイトより引用 https://www.jspd.or.jp/recommendation/article19/)
う蝕とはいわゆるむし歯のことです。それでは新たに提言された「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」の中身をわかりやすく見ていきましょう。
年齢を3段階に区分し推奨される使用量・濃度が変わりました
合同提案では、それぞれ
- 歯が生えてから2歳
- 3~5歳
- 6歳~成人・高齢者
と区分がされました。
歯が生えてから2歳

【以前】500ppmFで切った爪程度
【新基準】使用料は米粒程度(1~2㎜程度)1000ppmF
【使い方】
・就寝前を含め1日2回行いましょう。
・900~1000 ppmFの歯磨剤をごく少量使用する。歯みがきの後にティッシュなどで歯磨剤を軽く拭き取ってもOK。
・歯磨剤は子どもの手が届かない所に保管すること。
・歯みがきについて歯科医師等の指導を受けましょう。
3~5歳

【以前】500ppmFで5㎜程度
【新基準】グリーンピース程度(5mm程度)1000ppmF
【使い方】
・就寝前を含め1日2回行いましょう。
・歯みがきの後は、歯磨剤を軽くはき出します。うがいをする場合は少量の水で1回のみとしましょう。
・子どもが歯ブラシに適切な量をつけられない場合は、保護者が歯磨剤をつけてください。
6歳~成人・高齢者

【以前】6~14歳:1000ppmFで1㎝程度 15歳以上:1000~1500 ppmFで2㎝程度
【新基準】歯ブラシ全体(1.5cm〜2cm程度)1500ppmF
【使い方】
・1日2回の歯みがきを行います。
・歯みがきの後は、歯磨剤を軽くはき出だします。うがいをする場合は少量の水で1回のみとしましょう。何度も水でゆすぐ必要はありません。
・チタン製歯科材料(インプラントやチタンの被せ物など)が使用されていても、歯がある場合はフッ素配合歯磨剤を使用しましょう。
今回の4学会合同提言の解説の中で、一般の方へもお伝えしておきたいポイントを幾つか挙げていきます。
乳幼児による歯磨剤の大量誤飲について
使用方法と保管場所に気を付けると記述しました。誤飲を防ぐためには、親としてお子さまの大量誤飲は気になるところですが、
“歯磨剤を製造する企業では、乳幼児向け歯磨剤についてはチューブを1本飲み込んでも問題ない総量のチューブの製品の製造・販売が基本的にされているが、大量摂取には注意する。”
(公益社団法人 日本小児歯科学会サイト
4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法の解説より引用https://www.jspd.or.jp/recommendation/article19/)
とあるように、メーカーとしては万が一誤飲してもチューブ1本分は基本問題のない量として販売されています。ですので、裏を返せば、通常の歯磨き程度の使用量では健康を損なう重大なリスクはほぼ無いということでもあります。
他に
“多くの市販される歯磨剤で、配合されるフッ化物濃度が記載されておらず、今回の推奨を守る上でもこのことは大きな問題である。(中略)国際規格に合わせ日本でも歯磨剤のフッ化物濃度の明記が求められる。”
まさに今起きている問題を突いています。試しにドラッグストアへ行き、フッ素配合と謳っている歯みがき粉の中に、きちんと配合濃度が記載されている歯磨き剤、どれくらいあるか確認してみてください。書いてない製品も多く販売されているのが実情です。不思議に思っていた方もいるかもしれませんね。現時点では、記載の義務がないからです。そのため、歯科医院としてアドバイスするのなら、「きちんと濃度が記載された歯磨き剤を買いましょう。」の一言に尽きます。
歯科専売とされる歯磨き剤には必ず明記されていますので、市販の無記載歯磨き剤を疑うようであれば、専売品を購入するのも策です。当院でも販売していますので、お気軽にスタッフへ尋ねください。通院の際に、お会計時にまとめてお買い求める患者さんけっこういらっしゃいますよ。
日本も歯みがき剤へのフッ素濃度記載の義務化が早く実現して欲しいです。


こちらも興味深い内容です。
“日本では現在販売されていないが、5000 ppmFの高濃度フッ化物配合歯磨剤の有用性が知られており、(中略)日本においても5000 ppmFの歯磨剤の販売の認可が求められる。”
以前、海外の歯ブラシ事情という記事の中で、現地の医療制度とオーラルケア意識について触れました。
❘ 世界の歯ブラシ、サイズが大きいのにはワケがある?
https://www.viva-dc.com/2025/12/08/16269/
5000 ppmFとは、日本の基準1500 ppmFと比べてたいへん高濃度です。しかし、歯根表面が口腔に露出しやすい高齢者においてはこの5000 ppmFは有効とされ、先進国では歯科医師の処方箋がなくても購入できつつあるとのこと。現地の厳しい医療制度がフッ化配合濃度にも表れているのでは?と見てとれます。ただ有効性は証明されているので、濃度記載義務と併せて日本でも販売許可が下りる日はくるかもしれません。
長くなってしまいましたが、推奨使用料・濃度の新基準は年齢別3段階になり、それぞれ濃度量や使用量が更新されました。歯磨き剤を選びの際には、ぜひこのブログ記事を参考にしてみてください。

