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加齢に伴うお口のトラブル|今日から始めるエイジングケア

こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。性別や国籍に関わらず、誰しも平等に直面するものに“老い”がありますね。近年は健康志向の高まりにより、食生活を見直したり運動習慣をつけたりなど、健康維持のために日々努力をしている人も多いと思います。とは言え、体は確実に1年に1歳ずつ年を重ねます。そこで今日は加齢によるお口のトラブルについてお話します。若いから大丈夫と思っていても、時間は止まりません。今回のブログを読んで将来直面するであろうお口のトラブルをぜひ知ってください。そして今から対策できることは最大限に取り入れていきましょう!
なお以前のブログ『生涯健康でいるために~オーラルフレイルを予防しましょう』ではオーラルフレイルについてお話しました。オーラルフレイルとはお口や喉の機能が衰えている状態を指します。具体的には「食べこぼしが増えた」、「汁物を飲む際にむせる」、「滑舌が悪くなった」などの症状があります。ぜひこちらもあわせてご覧ください。
目次
加齢によるお口のトラブル
汚れが溜まりやすくなる
唾液の分泌量が減ることでお口の中に食べかすが留まりやすくなります。なぜなら唾液には自浄作用があり、食べかすや細菌を洗い流す働きがあるからです。唾液の分泌量が減りこの働きが低下することで歯垢が付きやすくなります。

【対処法】⇒唾液の分泌を促す
唾液の分泌量を増やすために次のことを意識しましょう。
・よく噛んで食べる
・ガムを食べる
・水分補給をする
・酸っぱい食品を食べる
(ただし酸性の飲食物は歯の表面を覆うエナメル質を溶かしてしまいます。いわゆる酸蝕歯です。柑橘系の果物や酢の物などph値が小さい食べ物を食べる際には、合間に水を飲むなど口の中を中性に戻すように工夫しましょう)
・唾液腺マッサージ
(口の中には唾液腺と呼ばれる唾液の出やすいポイントが3つあります。“耳下腺・顎下腺・舌下線”です。唾液の分泌の促進に加えてリラックス効果もあるため、食事前におこなうと良いでしょう。マッサージの詳しい方法は以前のブログ『ドライマウスは命にかかわります』で紹介していますのでぜひご覧ください)
・舌回しをする
(お口を閉じたまま、舌を唇と歯の間に置きます。そして歯の外側をなぞるようにゆっくりと舌を回します。右回り・左回りをそれぞれ5回程おこないましょう。)

・服用薬を見直す
(薬の副作用により唾液の分泌量が減ることがあります。例えば抗うつ薬・抗高血圧薬・抗ヒスタミン剤・鎮痛剤などです。唾液の減少により口の乾燥症状がひどい場合には副作用の少ない代わりの薬を検討するのも良いでしょう。ただし自己判断で休薬することは危険です。必ず主治医に相談してください。)
・リラックスする
(ストレスや緊張を感じると交感神経が活発になり、唾液の分泌量が減少します。適度な休息をとったり気分転換をしたりするなど、リラックスできるよう工夫しましょう。)
【対処法】⇒鼻呼吸の習慣付け
口で呼吸をしていると口の中の水分がどんどんと失われ、口の中が乾燥してしまいます。唇をしっかりと閉じ、鼻で呼吸することを心掛けましょう。なお鼻炎・副鼻腔炎(蓄膿症)などの症状がある方は耳鼻咽喉科を受診することも大切です。
歯周病が悪化する
歯が長くなったように見えたら要注意。いわゆる歯肉退縮(歯茎下がり)の症状で歯周病が進行しているサインです。歯周病は細菌の感染により歯茎が炎症を起こし、歯を支える歯槽骨が溶けてしまう病気です。加齢による免疫力低下や唾液の分泌量低下は歯周病が進行する原因になります。なぜなら免疫力が低下すると歯周病菌に対する抵抗力が下がるからです。また唾液のもつ抗菌作用が十分に働かなくなることで口腔内細菌が繁殖しやすくなります。なお歯周病に「若いから大丈夫」は通用しません。高齢者だけではなく若年層でも歯周病に感染するリスクはあります。またお子様でも歯周病の初期症状である歯肉炎にかかります。いずれにしても歯周病予防には、普段のセルフケアでのプラークコントロール(*)が大切です。
*プラークコントロール:歯周病やむし歯の原因となるプラーク(歯垢)を蓄積させないように、口の中の環境を整えること。日々の歯磨きで磨き残しを極力なくすことを指します。

【対処法】⇒唾液の分泌を促す
詳細は先述の通りです。
【対処法】⇒免疫力UP
十分な睡眠・栄養バランスのとれた食事・ストレス発散などを意識して生活しましょう。
【対処法】⇒プラークコントロール
毎日のセルフケアでいかに汚れを溜めないか大切です。歯ブラシの当て方や動かし方はもちろん、オーラルケアグッズの見直しをしましょう。歯ブラシ以外に、タフトブラシ・デンタルフロス・歯間ブラシ・洗口液など自身のお口に必要なケアをプラスしましょう。

【対処法】⇒禁煙
タバコは「百害あって一利なし」と言われますが、まさにその通りです。喫煙者は非喫煙者と比較して歯周病にかかりやすく、しかも悪化しやすいことがわかっています。詳しくは以前のブログ『知っていますか?喫煙と歯周病の関係』をご覧ください。
【対処法】⇒鼻呼吸の習慣付け
口で呼吸をしていると口の中の水分がどんどんと失われ、口の中が乾燥します。すると口の中の細菌を洗い流すことができないため、細菌が増殖し歯周病が進行しやすくなります。唇をしっかりと閉じ、鼻で呼吸することを心掛けましょう。
【対処法】⇒体全体の細菌バランスを整える
乳酸菌等のサプリメントを服用し口腔内はもちろん全身の菌質管理することも大切です。ビバ歯科では特にロイテリ菌をおすすめしています。ロイテリ菌とは、人の母乳・口腔由来の乳酸菌です。その特長は必要な常在菌を抑えることなく、悪玉菌だけを抑制するという性質です。当院にて販売しておりますので、歯周病の症状(歯茎の炎症や腫れ)がある方はぜひお試しください。なおロイテリ菌については以前のブログ『ロイテリ菌の底力~歯周病治療に大きな効果』でお話しています。

むし歯が増える
先述の通り唾液の分泌量の低下により歯垢が付きやすくなることで、むし歯リスクが高まります。また歯周病で歯茎が下がると歯根が露出します。歯根は“酸”に弱い象牙質が剥き出しのためむし歯に浸食されやすい部分です。また過去にむし歯治療痕がある人は詰め物や被せ物の内部の二次カリエスのリスクが高まります。

【対処法】⇒唾液の分泌を促す
詳細は先述の通りです。
【対処法】⇒プラークコントロール
詳細は先述の通りです。
【対処法】⇒鼻呼吸の習慣付け
口で呼吸をしていると口の中の水分がどんどんと失われ、口の中が乾燥します。また唾液には「汚れを洗い流す自浄作用」や「酸性に傾いた口の中を中性に戻すph緩衝作用」などがあり、口の中の衛生状態を保っています。唇をしっかりと閉じ、鼻で呼吸することを心掛けましょう。
【対処法】⇒フッ素の利用
フッ素にはむし歯菌の働きを弱める他、歯質を強化する働きがあります。フッ素入りの歯みがき粉や洗口液を使用すると共に、歯科医院で塗布するのも効果的です。なお歯磨き粉については、年齢によって使用量・濃度に基準が設けられています。こちらのブログ『フッ素入り歯みがき剤の使い方』で紹介しておりますのでぜひ参考にしてください。
粘膜トラブルが起こりやすくなる
唾液の分泌量が少なくなると、唾液の粘膜保護作用が十分に働かず、口内炎や口角炎を起こしやすくなります。また唾液の自浄作用が機能せずお口の中の衛生状態が悪化し、口腔カンジダ症にもかかりやすくなります。
【対処法】⇒唾液の分泌を促す
詳細は先述の通りです。
【対処法】⇒こまめな水分補給
粘膜を潤わすためにもこまめな水分補給をしましょう。粘膜の炎症を予防する他、感染症(風邪など)の罹患防止にも効果的です。
【対処法】⇒鼻呼吸の習慣付け
口で呼吸をしていると口の中の水分がどんどんと失われ、口の中が乾燥します。唇をしっかりと閉じ、鼻で呼吸することを心掛けましょう。
【対処法】⇒免疫力UP
十分な睡眠・栄養バランスのとれた食事・ストレス発散などを意識して生活しましょう。
口臭がきつくなる
唾液の分泌量が減り、食べかすや歯垢が溜まりやすくなったお口の中は“細菌の温床”になりがちです。細菌数が増殖すると臭いの原因になります。
【対処法】⇒唾液の分泌を促す
詳細は先述の通りです。
【対処法】⇒こまめな水分補給
適度に水分補給をし口の中を潤わせることは唾液の分泌を促進する効果があります。唾液には自浄作用という汚れを洗い流す働きがあるため、口臭予防には最適です。
【対処法】⇒鼻呼吸の習慣付け
口で呼吸をしていると口の中の水分がどんどんと失われ、口の中が乾燥します。口の中の乾燥すなわちドライマウスは、口臭が発生する原因の1つです。唇をしっかりと閉じ、鼻で呼吸することを心掛けましょう。
むせやすくなる
加齢に伴いお口周りの筋力が低下すると飲食の際にむせやすくなります。冒頭で触れたオーラルフレイルの症状の1つです。「むせ」や「咳き込む」ことが頻繁に起こると窒息や誤嚥性肺炎を誘発し命に関わることもあります。誤嚥とは食べ物や唾液が誤って気道に入ってしまうことです。そしてそれらと共に口腔内細菌が肺に侵入し肺に炎症が起こる病気を誤嚥性肺炎と言います。噛む力や舌を動かす筋力が衰えた高齢者に多く起こる病気です。
【対処法】⇒筋力UP
次のような体操を取り入れてみましょう。
・舌回し体操
(お口を閉じたまま、舌を唇と歯の間に置きます。そして歯の外側をなぞるようにゆっくりと舌を回します。右回り・左回りをそれぞれ5回程度、1日に3セットを目安におこないましょう。継続して行うことで、「唾液の分泌促進」、「舌の根元の筋肉が鍛えられ、食べ物を喉に送り込む力が強化される」などといった効果が見込まれます。)

・ペコペコ体操
(2Lの空のペットボトルを口で加え、それを吸って凹ませます。続いてペットボトルに息を強く吹き込み膨らませます。これにより喉の筋肉が鍛えられ、誤嚥した際に物を吐き出しやすくなります。また肺活量の増加も期待できます。ただし、二酸化炭素が増えますので苦しくなるほどはやらず1回ごとに口を離して一休みすることも大切です。)
【対処法】⇒食事の内容を見直す
水分が多い食事には片栗粉でとろみをつけるなど、飲み込みやすくなるような工夫をしましょう。また、食べ物を適切なサイズに切ることも誤嚥防止や窒息防止になります。
【対処法】⇒免疫力UP
十分な睡眠・栄養バランスのとれた食事・ストレス発散などを意識して生活しましょう。
【対処法】⇒プラークコントロール
万が一の誤嚥に備えて、お口の中の細菌数を減らしておくことが大切です。そのために毎日のセルフケアの質をあげましょう。歯ブラシの当て方や動かし方はもちろん、自身のお口のケアに必要なオーラルケアグッズを使うことがポイントです。なお当院ではOHI(Oral Hygiene Instruction)と呼ばれる歯科衛生士による口腔衛生指導をおこなっています。これは患者様それぞれのお口の状態に合わせて、正しいケア方法をご案内することです。以前のブログ『あなたにベストな歯磨き方法をご提案します!』にて実際の症例を紹介しておりますので参考にしてください。

お口ぽかんになりやすくなる
お口ぽかんとは常時お口が開いたままになっている状態です。お子様に見られがちなお口ぽかんですが、高齢者の場合にもお口周りの筋力が低下することで発症します。
【対処法】⇒筋力UP
次の体操を取り入れてみましょう。
・あいうべ体操
(福岡県にあるみらいクリニックの今井一彰先生が考案された体操です。いつでも、どこでも気軽にできる体操です。筋力アップの他、筋肉を動かすことにより唾液が出やすくなりますので食事前におこなうことで誤嚥防止にもなります。)

入れ歯が合わなくなる
入れ歯は日々の使用により入れ歯自体が擦り減ったり傷が付いたりします。また患者様自身の歯茎が痩せたことにより、入れ歯がお口に合わなくなることもあります。しかしながら患者様の中には合わなくなった入れ歯を無理に使い続けている方もいらっしゃいます。合わない入れ歯を使用すると、食事のしにくさはもちろんのこと、お口の中の粘膜を傷つける原因にもなりかねません。ますます歯茎が痩せる原因にもなります。また、残っている天然歯(自分の歯)に負担をかけてしまい、それらの歯の寿命にも影響を与えます。さらに不自然な噛み方をしていると顎が正常な位置からずれてしまい顎関節症のリスクも高まります。
【対処法】⇒入れ歯のメインテナンス
1年に1度を目安に歯科医院で入れ歯のメインテナンスを受けましょう。
味覚の低下
食べ物の味を感知する味蕾(みらい)との萎縮、口の中の乾燥、薬の副作用により味覚の低下や変化が生じます。味覚を感じにくくなると自ずと濃い味付けを好むようになり塩分や糖分の過剰摂取になりがちです。高血圧症や糖尿病を誘発する恐れがあるため、薄い味でも食事を楽しめる工夫が必要です。
【対処法】⇒唾液の分泌を促す
詳細は先述の通りです。
【対処法】⇒亜鉛を摂取する
亜鉛には味覚を感知する味細胞のターンオーバーを助ける働きがあります。そして亜鉛は体内で合成や蓄積ができないため食事から摂取する必要があります。しかし、食事の栄養バランスの悪さや偏食により亜鉛が不足しがちです。その結果味覚障害が起こります。亜鉛を多く含む食品である「魚介類・海藻類・大豆・チーズ」等を積極的に取り入れるようにしましょう。また食事で取り入れることが難しい場合には亜鉛のサプリメントに頼るのもおすすめです。
【対処法】⇒食事の配膳・見た目を工夫する
生きるための栄養摂取としての食事ですが、見た目を工夫することで食欲がわくこともありますよね。味を濃くする代わりに、食材の彩りや食器にこだわるなど目で見て楽しめる工夫をしましょう。
【対処法】⇒主治医や薬剤師に相談する
副作用として「ドライマウスを引き起こす薬」や「亜鉛の吸収を妨げる薬」があります。その結果、味覚が感じにくくなることもあるのです。そのため主治医や薬剤師に同様の効果のある薬でかつ副作用の少ない薬がないかどうか相談しましょう。なお勝手に薬の服用をやめることは危険です。必ず医師・歯科医師・薬剤師に相談してください。
歯の喪失
むし歯や歯周病以外にも歯を失うリスクが高まります。例えば、歯は長年の摩耗により擦り減り脆くなっています。また目に見えない傷の蓄積もあります。なお余談ですが、奥歯を失うと認知症のリスクが高まります。これは食事の際の噛む回数が減り、脳に伝わる刺激が少なることで脳の機能が衰えるためです。また歯の喪失により、歩行時に転倒しやすくもなります。なぜなら噛む位置に偏りが生じ(片側だけで噛んだり前歯のみで噛んだり)、顎周辺の筋肉バランスも崩れるからです。顎の筋肉は首や肩など全身の筋肉と繋がっているため、体全体のバランスが崩れ歩行時に転びやすくなるのです。
【対処法】⇒プラークコントロール
歯周病やむし歯の原因となるプラーク(歯垢)を蓄積させないように、口の中の環境を整えることが大切です。日々のセルフケアを見直して“歯磨き上手”になりましょう。また自分の歯並びにあったケアグッズ(歯間ブラシ・デンタルフロス等)を使うことも重要です。
【対処法】⇒歯ブラシの圧に注意
歯に付着した汚れを取ろうとして、ついつい力強いブラッシングをしていませんか?必要以上の圧を加えると、歯の表面に小さな傷をつけてしまったり、歯茎や粘膜を傷つけたりする原因になります。「歯ブラシの持ち方なんて気にしたことない!」という方は案外少なくありません。この機会に歯に優しい歯ブラシの持ち方を身に付けましょう!写真のような持ち方をすると、必要以上に力が入らないためおすすめです。

【対処法】⇒欠損した歯がある場合にはそのままにしない
(他の天然歯の負担軽減)
歯列の間に1本欠損している箇所があったり、もしくは上下の歯でいずれかが欠損していて咬み合う歯がなかったりする人はいませんか?もし当てはまる人がいたら、とても危険です。なぜなら他の歯も失うリスクが高まるからです。食事や歯ぎしりなどの際に、残った歯に負担がかかりそれらの歯の寿命を縮める恐れがあります。また咬み合わせが崩れ、顎のズレや姿勢の歪みにもつながります。インプラント・ブリッジ・入れ歯など何かしらで欠損した部分を補うようにしましょう。
さて今回は加齢に伴い起こるお口のトラブルとその対処法についてお話しました。問題が起こってから対処するよりも、先回りして予防しておきたいですよね。
あなたは今この瞬間が一番若いとき!ぜひ今日からお口のエイジングケアを始めませんか?
最後に
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