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生涯健康でいるために~オーラルフレイルを予防しましょう
こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
みなさんはオーラルフレイルという言葉を知っていますか?「オーラル」は口、「フレイル」は加齢により心身が老い衰え、健康な状態と要介護状態の中間にあることを指します。つまりオーラルフレイルとは、お口や喉の機能が衰えている状態です。こうなると飲食や会話の際に不便を感じることがあります。例えば以下のような症状です。
- 固いものが食べにくい
- 食事中食べこぼすことが増えた
- 汁物を飲む際にむせたり、せき込んだりすることが多い
- 滑舌が悪くなり、会話中に何度も聞き返されることが増えた 等
万人に平等に訪れる“加齢”や“老い”。そのためフレイルは誰もが避けては通れない道です。しかしフレイルの兆候に気づき早く対策をすれば元の健康な状態に戻れる可能性があります。また今のところオーラルフレイルでなくても予防をしておくことが今後の健康のためにとても大切です。このブログでは、オーラルフレイルの『セルフチェック方法』や『改善・予防策』についてお話しますのでぜひ参考にしてくださいね。
目次
オーラルフレイルのセルフチェック
今年の4月に日本老年歯科医学会・日本老年医学会・そして日本サルコペニア・フレイル学会の3学会が合同発表した「Oral frailty 5-item Checklist:OF-5」(オーエフ・ファイブ)と呼ばれるチェック項目です。5つの質問に回答するだけでオーラルフレイルかどうかをチェックできます。
- 自身の歯は19本以下ですか?
□はい(0~19本) □いいえ(20本以上)
※差し歯や被せ物をしている歯は自分の歯とカウントします。しかしインプラントや入れ歯などは自分の歯としてカウントしません。
- 半年前と比べて固いものが食べにくくなりましたか?
□はい □いいえ
- お茶や汁物等でむせることがありますか?
□はい □いいえ
- 口の渇きが気になりますか?
□はい □いいえ
- 普段の会話で、言葉をはっきりと発音できないことがありますか?
□はい □いいえ
5つの項目のうち、2つ以上の項目で「はい」に当てはまる場合、オーラルフレイルに該当します。あなたの結果はいかがでしたか?
オーラルフレイルでの心配事
食事がスムーズにできなくなる
食べるという動作には、「歯で食べ物を噛み砕く」、「舌で食べ物を集めて飲み込みやすい形状にし、喉の方に送る」など様々な組織が関係します。また人は「食べる」と「呼吸をする」の両方を口と喉という同じ部位で行います。いわゆる食べ物の通り道である食道と空気の通り道である気管です。食べ物を飲み込む際には口と喉が連携し食べ物が気管にいかないように喉頭蓋(こうとうがい)が蓋をしてくれます。逆に口や喉の連携が上手くいかないと、食べ物が誤って気管の方に入ってしまい、むせる原因になります。
ところが加齢やオーラルフレイルによりお口周辺の筋肉が衰えると連携が上手くいかなくなり「むせ」や「咳こむ」ことが多くなります。これらが頻繁に起こると窒息や誤嚥性肺炎を誘発し命に関わります。またこのことにより食事をすることが億劫になり食事量が減ると、栄養不足につながりそれは全身の筋力低下や体力の低下に繋がるなど、全身の健康を脅かすことにつながるのです。
※参考:ブログ『食べることができない~摂食嚥下障害』
会話がスムーズにできなくなる
話す、すなわち発声するには唇、舌、そして顎などを上手に動かす必要があります。しかし口周りの筋力が衰えるとこれらの部位を上手くコントロールできず、発音が不明瞭になってしまいます。先ほどオーラルフレイルのセルフチェックで残存歯の本数(残っている自分の歯の本数)について触れましたが、例えば前歯がない状態だとそこから息が漏れてしまい上手に発音ができませんよね?また半濁音(「パ、ピ・プ・ペ・ポ・」など)は上唇と下唇をしっかりとくっつけて閉じなければ上手に発音ができませんよね?オーラルフレイルになるとこれらの口周りの筋力低下により滑舌が悪くなったり発声が不明瞭になったりするなど、話す力が低下してしまうのです。こうなると困るのは“人との会話”です。しかも心配はこれだけではありません。会話中に何度も聞き返されるようになると会話自体が億劫になりコミュニケーションをとることを避けてしまうことも。このような社会からの孤立は認知機能や運動機能の低下に繋がり、要介護リスクが高くなります。
今日からできる改善・予防策
オーラルフレイルは日常の小さなトラブルが積み重なって起こるものです。はじめは「なんとなく飲み込みにくい」、「なんとなく話にくい」など、一見すると『年齢のせいかな~』などと思いこみがちですが、実はそれがオーラルフレイルの入口なのです。先のチェック項目で2つ以上に該当した方は要注意!今日から改善・予防策に取り組みましょう!
なおセルフケアでできることは大きく2点あります。
口腔内を清潔に保つ
歯を失うことはオーラルフレイルにつながります。なぜなら歯は食事・会話に欠かせない重要な働きをしているからです。よって歯周病やむし歯から大切な歯を守るためにプラーク(歯垢)を除去し、常にお口の中を清潔に保つことが大切です。またお口の中の細菌を減らしておくことは誤嚥性肺炎等のリスクも減らすことにつながります。
そしてプラークコントロールの基本となるのが毎日毎食後の歯磨きですね。しかし通常の歯ブラシだけでは歯の表面しか磨くことができません。プラークは「歯と歯の間」や「歯と歯肉の境目」などに溜まりやすいため、次のようなプラスアルファのケアグッズも積極的に取り入れましょう。
◆タフトブラシ
毛束が1つのヘッドの小さな歯ブラシです。そのため普通の歯ブラシでは届きにくいところの清掃に最適です。歯と歯の隙間や歯と歯ぐきの境目にも入り込み歯垢をしっかりと除去してくれます。また歯並びがガタガタしている部分や奥歯、そして生えかけの親知らずなども磨き残しが多い箇所ですのでタフトブラシの使用がおすすめです。
※タフトブラシの使い方はこちら:ブログ『歯の救世主~タフトブラシ』
◆デンタルフロス
歯と歯の間の歯垢をかき出すためのアイテムです。細い繊維を束ねて糸状にしたもので歯間に溜まった歯垢を糸が絡みとってくれます。むし歯や歯周病の予防はもちろんですが、食べかすが原因の口臭も改善・予防することができます。指巻きタイプは必要な長さを切り指で操作するため始めは扱いが難しいと感じる方も多いですが小回りが利くためしっかりと歯垢を除去できます。ホルダータイプはフロスがホルダーに取り付けられており持ち手があるため、指での操作が苦手な方やフロスを初めて使う方に適しています。当院でも様々なタイプのデンタルフロスをご用意しておりますのでぜひ歯科衛生士にご相談下さい。
※フロスで困っている方はこちら:ブログ『デンタルフロスが通らないは、歯からのSOS!』
※フロス初心者の為の神アイテムはこちら:Instagram『フロス通らない?これ使って!』
◆歯間ブラシ
こちらもデンタルフロス同様に歯と歯の間の歯垢を除去するアイテムです。持ち手の先端には1本の針金を起点としてその周囲に毛がついています。比較的歯間が広い方向けになりますので、歯と歯の隙間が狭い方はデンタルフロスの使用がおすすめです。無理に歯間に挿入しようとすると歯や歯ぐきを傷つける恐れがあるためご注意下さい。
◆舌ブラシ
その名の通り舌をケアする専用ブラシです。舌も歯同様に清潔さを保てないと汚れが溜まります。それはやがて目に見える状態である舌苔(ぜったい)となって現れるのです。鏡の前で舌をベーと出したときに舌の上に白っぽいものが沢山付着していたらそれが舌苔です。舌苔は食べかすや細菌が付着したものですから放っておけば口臭の原因にもなります。オーラルフレイル予防にもなりますので、もし今口臭が気になる方がいれば舌ブラシをセルフケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。磨くときには優しい力で奥から手前に掻き出すようにしましょう。
※舌ブラシの使い方はこちら:ブログ『口臭に悩んだら舌苔をチェック!』
※舌ブラシの使い方はこちら:Instagram『口臭の元、舌苔を絶つ!』
◆洗口液(マウスウォッシュ)
洗口液は液体のため、歯の表面や隙間に浸透し持続的に抗菌効果を発揮してくれるアイテムです。フッ素成分が配合されているものであればむし歯予防にも効果が期待できます。なおアルコールを含んだものは清涼感が得られるためそれだけで満足してしまいがちですが「洗口液はあくまで歯磨きの補助的役割を担うもの」です。必ず歯磨きをしたうえで使用するようにしましょう。
※ビバ歯科オススメのモンダミンハビットプロについてはこちら:Instagram『今日の一杯!』
口腔機能を維持する
口腔機能とは食べ物を噛む・飲み込む・声を出すなどと言ったお口の役割のことです。これらの動作は唇・舌・お口周りなど多くの筋肉がスムーズに動いて成り立ちます。よってこれらの筋力を維持することがとても大切です。
◆パタカラ体操
「パ」「タ」「カ」「ラ」を、それぞれ5回ずつ3セット発音します。「パパパパパ、タタタタタ、カカカカカ、ラララララ」を3回繰り返し発声すればOKです。大きな声で、1文字1文字ハッキリと発音することがポイントです。唾液腺を刺激し唾液の分泌を促進するのに効果的です。またこのパタカラ体操は口腔筋機能訓練にもなり、顔・口・舌の筋肉を鍛えるのにも効果的です。そのため嚥下機能の回復、いびきや歯ぎしりの改善、顔のたるみなどのアンチエイジングとしてもおすすめです。
- 「パ(pa)」は唇を使って出す音
口をしっかりと閉じることがポイントです。唇をギュっと閉じるための筋肉が刺激され、食べこぼしの予防にもつながります。
- 「タ(ta)」は舌の先端を使って出す音
食べ物を押しつぶして飲み込む時につかう舌の筋肉が鍛えられます。舌の先端を口蓋(お口の天井)にしっかりと付けて発音するのがポイントです。
- 「カ(ka)」は舌の奥を使って出す音
食べ物を飲み込む時に誤って気管に入らないように、喉の奥を閉じるための筋肉を鍛えられます。誤嚥を予防できます。
- 「ラ(ra)」は舌を反らせて作る音
舌は咀嚼した食べ物を飲み込みやすいようにまとめる働きをします。このラの発生をすることは舌が食べ物を丸める力が鍛えられます。舌を丸めて、舌先を上顎の前歯の裏に軽くつけて発音しましょう。
なお単純な連続音で飽きてきたら文で発音するのも良いでしょう。よく使われるのが「パンダの宝物」という一文です。「パンダのたからもの、パンダのたからもの、パンダの…」と繰り返し発音します。ユニークな文の中に「パ」「タ」「カ」「ラ」の全ての音が入っています。
◆唾液腺マッサージ
お口の中には唾液腺と呼ばれる唾液の出やすいポイントが3つあります。【耳下腺・顎下腺・舌下腺】です。そして唾液の分泌を促すために、唾液腺を刺激することを“唾液腺マッサージ”といいます。食事の際に「よくむせる」、「食べ物を噛みにくい」という方はお食事の前におこなうことで唾液の分泌が促進されるのでおすすめです。リラックス効果も期待できるため、以下を参考に1か所につき10~20回程度行いましょう。
耳下腺(じかせん)
耳の前あたりに存在します。例えば、梅干しなどのスッパイ食べ物を想像してみてください。すると唾液がジワっと出ますよね。その唾液が出る部分が耳下腺です。親指以外の4本の指を頬にあて、上の奥歯付近を後ろから前に向かって優しく円を描くように押しましょう。
顎下腺(がっかせん)
顎の下あたりに存在します。エラより少し前方の顎の内側に柔らかい部分があるので、その部分を指で押します。顎下腺は押すと唾液が出るので、唾液腺の場所が簡単に探せます。
舌下腺(ぜっかせん)
顎の内側あたりに存在します。顎の骨の内側を、顎の真下から舌を押し上げるようにグーっと両手の親指で押します。舌下腺は他の唾液腺と違い少し深い部分にあるので少し強く押しましょう。
ただし、口や喉のガンの治療中の方や血管の病気がある方は、耳下腺のマッサージを行うことで病気の症状が悪化する可能性があります。主治医の先生に相談の上行うようにしましょう。
これらのケアやトレーニングはコツコツ継続していくことが大切です。日々の生活の中で無理のない範囲で行いましょう。ご夫婦やご家族で一緒に取り組むと励みになるかもしれませんね!なお、今回のセルフチェックで2つ以上の項目に該当した方や普段の食事で「むせる」「食べこぼしをする」など嚥下障害の症状がある方はぜひビバ歯科にご相談ください。当院では摂食嚥下障害を専門とする歯科医師が月に一度訓練を行っています。訓練日についてはこちらでご案内しております。完全予約制のため、当院047-421-0118までお電話もしくは問い合わせフォームより事前にご予約をお願いします。
最後に
「〇〇についてブログに書いてほしい」などのリクエストや「△△って何?」などのご質問も随時受け付けております。以下いずれかよりぜひご連絡いただければ嬉しいです!
(問い合わせ方法)
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医院概要
医院名 | ビバ歯科・矯正小児歯科 |
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電話番号 | 047-421-0118 |
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