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AEDの講習会に参加しました
こんにちは。
千葉県船橋市にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。当院はJR総武線【東船橋駅】南口から徒歩30秒にあります。
皆さん9月1日が何の日だったか覚えていますか。テレビ番組でも多く取り上げられていましたので目にした方も多いかと思いますが、9月1日は『防災の日』でした。これを機に家庭内の防災グッズを見直した方も多いのではないでしょうか。特に現在もなお猛威をふるっている新型コロナウイルス(COVID-19)のことまで考えると、避難用のリュックにマスクを追加した方も多いかと思います。
さて、ビバ歯科・矯正小児歯科では医療現場である以上、治療中は患者さんの安心・安全を第一に心がけてスタッフ一同行動しています。同じ治療を何度経験してもやはり“医療”は“命”と隣り合わせの現場です。何が起こるかわかりません。そこで当院では数年に1度、AEDの講習を受けてトレーニングをしています。そして今年も防災の日をむかえ、先日の昼休みを利用してスタッフ全員でAEDの講習会に参加しました。当日は日本ライフライン株式会社の方にお越しいただき、AEDの設定方法や使い方まで細かくご指導頂きました。実際に人形を傷病者に見立て、「意識確認」に始まり、「AEDの使用」そして「胸骨圧迫(心臓マッサージ)」までを行い、緊張感のある講習となりました。スタッフも必死にメモを取りながらの講習となり終わったあとはノート一面にぎっしりと文字が書かれ真っ黒でした。そこで本日はAED講習会の内容を少しだけご紹介いたします。
そもそもAEDって?
AEDは病院や歯科医院をはじめとする医療機関や、学校、市役所、ターミナル駅など多くの人が利用する場所で設置されています。右の写真のような表示を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
AEDというのはAutomated External Defibrillator(オートメイティッド・エクスターナル・ディフィブリレイター)の略で、日本語では「自動体外式除細動器」と言います。AEDは、自動で心臓の状態を判断し、心臓がけいれんした状態(心室細動など)を認めると電気ショックを流して心臓の状態を正常に戻すための医療機器です。電気ショックを行う医療機器ということで以前は医療従事者しか使用を認められていなかったのですが、2004年7月に一般市民による使用も認められました。とは言え、私自身今までの人生でこういった救急現場に居合わせたことがないため、AEDに触れるのは学生の時の授業以来のように記憶しています。
日本ライフライン株式会社の方のご指導のもと、人形と実際のAEDを使いながら一連の流れを全スタッフで体験しました。
🚑救命の手順🚑
①現場の安全確認
交通事故や労働災害の現場の場合まだ危害がある可能性があります。倒れている人を発見した際には周囲の安全を確認したうえで倒れた人に近づくようにします。救助者自身の安全を最優先に動くことも大切です。確かに倒れている人を見かけると思わず駆け寄ってしまいそうですが、自身も事故に巻き込まれてしまっては救助どころではなくなってしまいますね。まずは気を落ち着かせて救助にあたることが大切です。
②意識確認
傷病者の両肩を強く叩き、「大丈夫ですか?どうしましたか?」声をかけます。少し気が引けるかもしれませんが、思った以上に強く叩いてちょうどよいそうです。返事・反応がない場合には“意識がない”と判断します。
③応援を頼む
後述しますが一人での救助、心臓マッサージは困難です。「誰か来てください!」と周囲の人に呼びかけ、『あなたは119番通報を!』と『あなたはAEDを持ってきてください!』と明確に依頼します。
④呼吸の確認
胸や腹部の動きを見て呼吸の有無を確認します。
◎呼吸をしている場合
→体を横にして救急車を待ちます。その時左右どちらを下にしても良いそうです。
◎呼吸をしていない場合
→早急に胸骨圧迫(いわゆる心臓マッサージ)を行います。しゃくりあげるような呼吸(死戦期呼吸)や途切れ途切れの喘ぐような呼吸の場合にも「呼吸なし」と判断し、胸骨圧迫が必要です。
⑤胸骨圧迫
乳首と乳首の間を手の平のつけ根で押します。1分あたり100~120回のテンポで成人の場合には5~6センチ胸部が凹むように圧迫します。未就学児の場合は体の厚みの3割ほど圧迫し赤ちゃんの場合には体が小さいので指で圧迫するそうです。
実際にやってみましたが、かなり体力が必要でした。真上から体全体で体重をかけ、かつ1秒あたり2回程度の圧迫ですから、実技のあとは耳まで真っ赤になり、息切れしたくらいです。ということで1人での長時間の胸骨圧迫は厳しいため、周囲の人と協力し“順番に”行うことがポイントということでした。その際、中断は最小限に抑え、継続して胸骨圧迫ができるように周囲の人との連携・声掛けがとても大切ということです。ビバ歯科のスタッフたちは普段からチームとして診察にあたっているため、お互いに“名前”を呼びながら体験しましたが、実際の事故現場では互いに初対面の人とのやり取りのため、ちょっと難しそうにも感じます。そこは医療従事者として自ら率先して声を発せられるよう行動できるよう意識したいとおもいます。
※胸骨圧迫30回と人工呼吸2回のサイクルが良いそうですが、人工呼吸を行うことが難しい場合には胸骨圧迫のみでも良いそうです。昨今の新型コロナウイルス感染リスクを考え、今回の講習会では胸骨圧迫のみに集中してご指導いただきました。
⑥AED(Cardiac ResQ)到着後
バックを開けると、以下のものが同封されています。
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1.プラスチック手袋→感染予防のため
2.万能ハサミ→衣服を着るため
3.2枚刃カミソリ→胸毛が濃い際に剃毛するため
4.清浄綿→消毒のため
5.ペーパータオル→胸部の水分を拭き取るため
6.タブレットマスク→人工呼吸のため
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次に、AED本体の操作方法です。
🚑操作方法🚑
①電源を入れる
写真の緑のスイッチを右方向にスライドするとカートリッジカバーが開き電源が入ります。直後に『成人モードです。胸を裸にしてください。』という音声案内がかかります。その後は音声案内に従い操作します。
②電極パッドを貼る
同封されている万能ハサミで、洋服を切り胸部を露出します。そしてAED本体から電極パッドを取り出し、台紙からパッド2枚を剥がします。電極パッド上に、貼る位置のイラストが描かれているのでその通りに傷病者の体に2枚とも貼り付けます。(1枚は胸、もう1枚は脇腹の位置)電極パッド貼り付けが完了するとパッド貼付ランプが点滅から点灯に変わります。
※胸が濡れている場合は、ペーパータオルなどで水気を拭き取る
※胸毛が濃く電極パッドが貼りつかない際は剃毛する
※ネックレスやブラジャーの金属類の上から電極パッドを貼らない
③必要に応じて電気ショックボタンを押す
電極パッド貼り付け後、自動的に心電図解析が始まります。その際『体に触れないでください』という音声が流れますので、傷病者及びAED本体から離れるよう周囲の人達に呼びかけます。(万が一傷病者の体に触れたまま電気ショックをすると感電して危険です)解析終了後、解析結果が音声で流れます。
電気ショックが必要と判断された場合には、『電気ショックが必要です』という音声が流れ、チャージ音と共に充電が開始され、完了すると電気ショックボタンが点滅します。そして電気ショックボタンを押し電気ショックを行います。完了後、すぐに胸骨圧迫、可能であれば人工呼吸も再開します。その際、次の心電図解析までの残り時間を音声で知らせてくれるので、指示に従い処置をしていきます。解析後、再び電気ショックが必要と判断されれば再度電気ショックを行いますが、不要な場合は胸骨圧迫と人工呼吸を再開します。これらは救急隊員に引継ぐまで、もしくは傷病者に反応があるまで継続します。
こちらから日本ライフライン株式会社さんによるAED使用方法の動画がご視聴できます。ぜひご覧ください。
🚑“CPResQシーピーレスキュー“手動式心臓ポンプ 🚑
私たちビバ歯科・矯正小児歯科のスタッフは医療従事者とは言え、普段はお口の中を診ているのでこのような直接人命にかかわるような処置をすることはほぼありません。AEDの使用や胸骨圧迫などいざ現場でできるのか少々不安に感じたのが本当のところです。しかし、今回講習会の中でとても心強いツールがあることを知りました。お写真の緑色の器機でその名は“CPResQシーピーレスキュー“です。
胸骨圧迫の際に、胸部と手の平の間に挟み使用すると、正しいテンポや押し戻しの深さをリアルタイムに知らせてくれます。右のお写真のようにLEDインジケーターで表示され的確な圧迫ができていると中央の「GOOD」の箇所にランプが付きます。
また音声ガイドでも適切な強さやタイミングをサポートしてくれます。
例)
胸骨圧迫の深さが浅い場合・・・「もっと強く押してください」
深さが深すぎる場合・・・・・・「もっと弱く押してください」
テンポが遅い場合・・・・・・・「速く押してください」
速い場合は・・・・・・・・・・「ゆっくり押してください」
胸骨圧迫の戻しが浅い場合・・・「元の位置までしっかりと戻してください」
その他にも、胸骨圧迫の時間が中断された場合には「10秒中断」などと音声が流れます。
こちらから日本ライフライン株式会社さんによるCPResQシーピーレスキュー使用方法の動画がご視聴できます。ぜひご覧ください。
救命の可能性は時間の経過とともに急激に低下します。119番通報すれば救急隊が現場に急行してくれますが、到着までの時間は全国平均で約8分以上かかるそうです。さらに現在は新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず救急隊の到着までもっと時間を要すことも考えられます。大切な命を救うためにも少しでも早く周囲の人たちが一丸となって救命の手当をするのが大切ですね。今回の講習会で学んだ知識を活かし、いざ現場に立ち会った際にはイチ医療従事者として救助に積極的に参加したいと思います。