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“破傷風”で口が開かなくなる!?

こんにちは。千葉県船橋市東船橋にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

ゴールデンウイークに入り、日差しの暖かい日々が続いてきましたね。ポカポカ陽気に誘われお庭でガーデニングを楽しむ方も多いのではないでしょうか。しかし、ガーデニングなどの土いじりの際に注意しなくてはならないのが“破傷風”です。この破傷風という病気、極めて少ない量の菌でもヒトの体内に侵入してしまう怖い病気です。

 

ちなみに、ある日突然「お口が開かない」となったら、みなさんはどんな病気を疑いますか。おそらく、顎のダメージ、いわゆる顎関節症を思い浮かべる方が多いことでしょう。実際に「口が開けづらい」という症状でビバ歯科にご来院される方も少なくありません。その原因は先の顎関節症であったり、口腔顔面痛であったり様々です。しかし実は“破傷風”の初期症状としても口が開けにくくなることがあります。そこで今日はガーデニング好きな方にはぜひとも知っておいていただきたい、“破傷風”のお話です。

 

破傷風とはどんな病気?

破傷風は土壌に生育する破傷風菌による感染症です。そしてこの破傷風菌は動物の腸の中や糞にも存在します。傷口などから破傷風菌が体内に侵入すると、この菌が出す毒素により筋肉のこわばりや、呼吸障害などを引き起こされます。そしてかかった場合には亡くなる割合が非常に高い病気です。世界では年間100万人が発症し、30万~50万人が亡くなるとされています。

感染経路は?

  • 怪我による傷口
  • 動物に噛まれる
  • 熱傷(やけど)
  • 凍傷
  • 人工妊娠中絶
  • ピアス 等

*破傷風はヒトからヒトへの感染はしません。

 

破傷風の症状は?

潜伏期間は3日~3週間で、傷口周辺のこわばりや全身のだるさが出現し始めます。

第1期:潜伏期

開口障害・全身の倦怠感・肩こり・外傷部分の硬直感・頸部や顎の疲労感

歯が噛み合わされた状態で口を開けにくくなる開口障害が見られます。

 

第2期:痙攣発作前期

開口障害の悪化・痙笑(けいしょう)・嚥下障害・発音障害・歩行困難

口の開けにくさの程度が徐々に強くなり、物の飲み込みにくさを感じます。また顔の筋肉が痙攣することで笑っているように見えることがあります

第3期:痙攣持続期

全身痙攣・呼吸障害・血圧変動・不整脈・排尿排泄障害・後弓反張

頸部から背筋の筋肉の緊張が広がり、頸部の緊張や背部の強直をきたし発作的に強直性痙攣が見られ始めます。大きな音や光などの感覚刺激によって、時に猛烈な筋痙攣が引き起こされることもあります。

また全般性の収縮が起こると無呼吸となり、上肢は体の外側に向き、下肢は伸びっぱなしになり、こぶしを握り、背中を反らしたような姿勢(後弓反張)になります。しかしこの時意識障害はなく、強い筋収縮に伴い痛みを感じます。

第4期:回復期

筋硬直からの寛解(かんかい)

諸症状が時間の経過とともに、緩和していきます。

 

ビバ歯科でも開口障害を訴える患者様が多くご来院されます。その際、原因が顎関節や口腔顔面痛によるものなのか、もしくは今回ご紹介した破傷風などの他の疾患によるものなのか注意して診療する必要があります。そのため、初診の際には患者様の口腔周囲だけではなく、外傷歴についてもヒアリングをしておりますのでご来院の際にはご協力の程よろしくお願いします。なお余談ですが、顎関節症のなかで開口障害は一番重い症状です。この重度の開口障害を2~3ヶ月放置した場合、関節円板という軟骨の癒着が起こり治療が困難になります。また、万が一破傷風だった場合には症状の悪化が速いため、すぐに専門の医療機関にかかり治療をうける必要があります。

 

破傷風の予防方法

怪我をした際に十分に傷口を消毒することも大切ですが、何より効果があるのはワクチン接種です。

厚生労働省のホームページによると、『ワクチン接種により、100%近い方が十分な抗体を獲得する』とあります。

 

【標準的なワクチン接種スケジュール】

1期:初回接種については生後3ヵ月~12ヵ月の期間に20~56日までの間隔をおいて3回、追加接種については3回目の接種を行ってから6ヵ月以上の間隔(標準的には12ヵ月~18ヵ月の間隔)をおいて1回の接種を行います。

 

2期:11~12歳の期間に1回の接種を行います。

 

破傷風の主な感染経路は傷口からの感染です。そしてそのきっかけの多くは小さな傷です。

「土いじりをしていて指を怪我した」、「サッカーをしていて擦りむいた」、「古釘を踏んだ」、「植物のトゲが刺さった」などちょっとした傷口が感染の原因になります。

また、地震や津波などの自然災害時には特に注意が必要です。避難時やがれきの撤去などの際に泥や土に潜んでいる破傷風菌への感染リスクがあるからです。そして加えて災害時には資源不足などにより衛生管理が難しくなります。これは被災者の方々だけではなく、現地でボランティア活動にあたる方々にも言えることです。こういった活動に携わる際には、軍手・長袖・底が厚い靴を身に付けるなど、自身の安全に気をつけましょう。

 

いかがでしたか。「ちょっとの傷だから」とそんなに気に留めないことが多いかもしれませんが、感染し発症すると非常に怖いのが破傷風です。この時期土いじりや外でのレジャーを楽しむ方は知っておいてくださいね。