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お口の中にアメーバがいました

こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
ブログのタイトルを読んで、「え!?」と声がもれた方いませんか。でも思わず叫びたくなりますよね…だって、お口の中にアメーバがいるなんて。今ブログを書いている筆者でさえも、なんとなくお口のなかがザワザワします…。
アメーバと言えば、“ミジンコ”や“ゾウリムシ”などの微生物とともに、小中学校の理科の授業で習った覚えがありますが、なぜ微生物のアメーバがお口のなかにいるのでしょうか。今日は実際にお口のなかにいる微生物の映像も交えながらお話していきます。ぜひ最後までお付き合いくださいね。
※微生物…目にみえない生物のことで、ウイルス・細菌・真菌・原生生物などを含みます。

 

お口のなかは微生物だらけ

実は私たちのお口の中には、300~700種類の微生物が存在していて、歯みがきが上手な人でも1000~2000億個、ほとんど歯を磨かない人にいたっては1兆個もの微生物が住み着いているといわれています。そしてお口のなかには、乳酸菌などの善玉菌、むし歯や歯周病などを引き起こす悪玉菌、さらに日和見菌が存在します。日和見菌はとにかく優勢な方の味方をするのが特徴です。例えば善玉菌が優勢なときは善玉菌に加勢をし、逆に悪玉菌が優勢になれば悪玉菌に加勢するといった具合です。ちなみに、日和見菌はお口のなかで圧倒的に数が多いです。そのため、お口の中の衛生環境を整えるには、いかに悪玉菌を減らし、全体の菌質を良くできるかが大切です。

ちなみにお口のトラブルといえば「むし歯」が最初に思いつく人も多いと思いますが、むし歯の原因も細菌です。そしてむし歯の原因菌として代表的なのが、ストレプトコッカス・ミュータンス、いわゆるミュータンス菌ですね。お口のなかの食べかすをエサにして酸を作り、歯のエナメル質を溶かしてむし歯をつくります。比較的早い段階で痛みを伴い、歯の変色もするむし歯は患者様ご自身がその異変に気付くことも多い病気ですね。
しかし、歯周病はどうでしょうか。歯ぐきや骨を蝕んでいく病気ですが、むし歯とくらべると初期症状がなく静かに進行していきます。そのためサイレントキラー(静かな殺し屋)などと呼ばれています。むし歯とくらべて地味な役回りにおもえる歯周病ですが、だからこそ怖い病気です。ということでここからは歯周病の原因菌にスポットライトをあてていきます

 

歯周病の原因菌

歯周病はお口のなかの細菌による感染症です。歯や歯肉の境目に歯垢が残ったままでいると細菌が歯肉に炎症を起こし、ゆくゆくは歯を支える骨までを溶かしてしまうとても怖い病気です。ちなみに歯周病に関わる菌は数十種類あります。詳しくは以前のブログ『カレーで歯周病予防!?』でお話したので割愛しますが、特に歯周病の原因菌の代表格と言われるのがポルフィロモナス・ジンジバリス (P.g.菌)です。歯肉に炎症を起こすことはもちろん、その炎症で出血があるとその血液さえもエサにして増殖します。さらには毒性のある硫化水素やメタンなどのガスを出すため、口臭の原因にもなるのです。

歯周病の原因菌を調べる

目には到底見えない歯周病の原因菌を調べるには、歯周病菌検査をおこないます。その中の1つが位相差顕微鏡検査で、細菌のかたまりである歯垢を採取しプレパラートをつくります。そしてそれを位相差顕微鏡で観察するのです。

なお以下が位相差顕微鏡で歯垢を見た様子です。左右で全くちがいますよね。左側は歯肉が健康な人の歯垢の中で、微生物が少なくサラサラです。しかし、右側の歯周病の人の歯垢の中はたくさんの微生物がすみ、ネバネバしています。

 

  • 健康な人の歯垢

  • 歯周病の人の歯垢

 

お口の中の原虫たち

さていよいよここからは歯周病の原因になる微生物、その中でも原虫について紹介します。原虫とは単細胞の微生物のことで本ブログの冒頭でとりあげたアメーバもその1種です。
ポルフィロモナス・ジンジバリス (P.g.菌)やトレポネーマと呼ばれる歯周病菌とくらべると、口腔内で確認できるのはまれです。以下では患者様に実際にみられた原虫を動画つきでご紹介します。特にアメーバについては歯科衛生士歴14年のスタッフでも今回が2症例目と、本当にめずらしいものでした。

症例1(アメーバ)

◎患者:40代男性
◎経緯:もともと歯周病菌のトリポネーマがものすごく多く、唾液も粘性がつよくネバネバしていた。そのためSPT(歯周安定期治療)で通院しており、1ヶ月に1度の歯周病菌検査をおこなった時にアメーバがみつかった。
*SPTについてはこちらのブログ『歯周病治療のカギ、「SPT」』を参照
◎映像:中央の大きなかたまりがアメーバです。通常は重度の歯周病に罹患するとみられます。アメーバは白血球をたべるため、抵抗力の低下につながります。ちなみにこちらの方の場合、初期の歯周病がありましたが、当院で歯周病基本治療をおこない現在では歯周病の症状は安定していました。また口腔内写真をみるかぎり、歯肉の腫れはなく一見健康にもみえます。それでもアメーバがいるということは口腔内の衛生状態がよくないということです。肉眼ではみえない微生物なので、やはり定期的な歯周病菌検査は重要です。

症例2(トリコモナス)

◎患者:20代女性
◎経緯:歯肉のかゆみを訴えられ来院。検診のため位相差顕微鏡検査をおこなったところトリコモナスがみつかった。また全体的に口腔内の常在菌の数も多かった。
◎映像:左上でくるくるまわっているのがトリコモナスです。からだの周りにあるべん毛と呼ばれる運動器官を活発に動かし、他の微生物を捕食します。トリコモナスは、通常歯周病が重度の場合にみられます。なお口腔内をみると、お写真のように歯肉が赤く炎症を起こしていることがわかります。初期の歯周病です。またこの方は、歯肉の中に歯石が付きやすい(縁下歯石:えんかしせき)ため、歯肉の中を好むトリコモナスのような微生物にとっては繁殖しやすい環境が揃っていました。縁下歯石は歯と歯肉の溝が深くなったところにできる黒褐色の歯石で、歯肉よりも上にできる乳白色の歯石(縁上歯石:えんじょうしせき)と比べると硬いのが特徴です。なお歯石はセルフケアでは除去できないため、歯医者さんでの定期的なクリーニングが必要です。またエサとなる微生物が多いとよりトリコモナスの活動を活発化させるため、全体的な微生物の数を減らすことも大切です。

さて本日はお口の中の微生物についてお話しました。一見するとキレイにみえるお口のなかでもミクロレベルでみると多くの微生物がいることに驚かれた方も多かったのではないでしょうか。当院ではこういった歯周病に悩む患者様に、バクテリアセラピーを推奨しています。バクテリアセラピーとは菌質管理のことで、悪玉菌の割合を減らし、全体の菌質を改善する治療です。そして当院ではバクテリアセラピーに“ロイテリ菌”を使用しています。ロイテリ菌はヒトの母乳・口腔由来の乳酸菌で、プロバイオティクスの1つです。ロイテリ菌は、必要な常在菌を抑えることなく、悪玉菌だけを抑制することができるという点で他の乳酸菌には類をみない特別な乳酸菌ともいえます。詳しくはこちらのブログ『ロイテリ菌の底力~歯周病治療に大きな効果』でご案内しておりますのでぜひご覧くださいね。

最後に

「〇〇についてブログに書いてほしい」などのリクエストや「△△って何?」などのご質問も随時受け付けております。以下いずれかよりぜひご連絡いただければ嬉しいです!

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医院概要

医院名 ビバ歯科・矯正小児歯科
住所 〒273-0002
千葉県船橋市東船橋1-37-10
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電話番号 047-421-0118
最寄り駅 JR総武線「東船橋駅」南口 徒歩30秒
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