新着情報

インプラントって何だろう?

こんにちは。

千葉県船橋市にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。JR総武線【東船橋駅】南口から徒歩30秒にあります。

 

当院のブログを定期的に読んでいらっしゃる方はすでに耳にタコかもしれませんが、言いますね。

『一度失われた天然歯(自分の歯)は二度と取り戻すことはできません』

もちろん乳歯(子どもの歯)であれば永久歯(大人の歯)への生え変わりの際に再び自分の歯を手に入れることができますが、永久歯の二度目はないのです。ただ近年医療の発達とともに歯を失うまでの健康的な状態に近づけるようになってきたのも事実です。以前のブログで3つの治療方法をご紹介しましたが覚えていらっしゃいますでしょうか。

1つ目はブリッジ、2つ目は入れ歯、そして3つ目はインプラントです。それぞれの特徴についてはブログ「インプラントのメンテナンス」でご紹介しておりますのでぜひご覧ください。

 

さて本日はその中でもインプラントの治療方法について少し詳しく触れたいと思います。実は当院院長の関本はインプラントの専門医でもあり、先日もインプラントのオペをしております。下のお写真はオペ前の準備の様子です。

 

インプラントってなぁに?

それではまずインプラントの構造について見てみましょう。インプラントは主に3つの部位に分けられます。

 

 

まず一番下の土台となる部分“①人工歯根(別名:インプラント、フィクスチャー)“です。イラストのようにネジのような形をしており、この人工歯根を歯槽骨と呼ばれる顎の骨に穴をあけ埋め込みます。マンションを建築する際にもコンクリート杭を地中深くまで打ち込みますよね。建物全体を支えるために欠かせない工事ですが、この人工歯根も歯槽骨に埋入することによりこのあとの上部構造を支える働きをしています。続いて、“②アバットメント”です。英語ではabutmentと表記し「接合点」といった意味があります。その名の通り、土台となる人工歯根とこの後ご説明する上部構造とをつなぐ連結部分ですね。そして最後に”③上部構造(別名:人工歯)“です。イラストの歯の部分ですね。被せ物や義歯などを装着していきます。これが天然歯の代わりとなります。

※ただし、アバットメントがなく人工歯根に直接上部構造を被せるタイプのインプラントもあります。

 

差し歯とインプラントの違い

ところでこのインプラントとよく似ている治療方法に『差し歯』があります。(専門用語ではクラウンとも呼んでいます。)私もビバ歯科で働く以前は歯科に関する知識が皆無で、差し歯とインプラントを混同していました。患者さんの中にも勘違いされるケースがありますので少しだけ触れますね。

まず、インプラントと差し歯の似ている点は、どちらも『人工の歯を作って天然歯の代わりとする治療方法』だということです。ただし、この2つ似て非なるもの。大きな違いがあります。それは、歯の根っこ、すなわち歯根が残っているかどうかという点です。歯根は歯を顎骨に保持するという役目を担っています。

 

・差し歯…歯ぐきに天然歯の歯根が残っている場合に、この上から人工の歯を被せます。以前のブログ「嗚呼、かんちがい~歯の土台」でも詳しくご紹介しておりますのでご覧ください。

 

・インプラント…歯根が残っておらず歯が完全に欠損している場合に、歯根の代わりに先述の人工歯根(インプラント)を挿入し、その上に人工歯を被せます。

歯根が残っていて、また状態が健康な限りは差し歯という治療を選択するのをおすすめします。インプラントが天然歯に近い再現性があるとはいえ、やはり自分の歯根を保持する差し歯の方が噛む感覚や飲食する際の違和感も少ないからです。しかしながら、インプラントは失った歯の機能を回復させるための他の治療方法と比べると、その見た目の自然さと天然歯のようにしっかりと噛める機能性が魅力です。そのため “第2の永久歯”とも呼ばれています。では、なぜそのような強固な働きができるのでしょうか?詳しくみていきましょう。

 

ヒトに優しい金属~その名もチタン

先ほど『インプラントは天然歯のようにしっかりと噛める』と言いましたが、なぜそのようなことが可能なのでしょうか。結論から言うと、顎骨に埋入した人工歯根(インプラント)が骨とガッチリ結合し強固な土台となるからです。でも不思議ですよね?臓器移植に代表されるように、ヒトの体は異物を感知すると拒絶反応を起こし排除しようと働きます。なぜこの人工歯根は人体に拒絶されることなく、むしろ調和できるのでしょうか。

 

実は、その秘密は、人工歯根(インプラント)の材料にありました。

 

歯科のインプラント治療において人工歯根として使用されるのは金属のチタンやチタン合金と呼ばれるものです。そしてチタンには“生体親和性が非常に高い”という特徴があります。これは“チタンには人体に容易に馴染める性質がある”ということです。そのため人体はチタンを金属すなわち異物とは気づかずに、骨として認識し結合していくのです。

それに対して他の多くの金属は汗や体液でイオン化し溶け出し、アレルギーを引き起こす可能性があります。ゆえにいくら強度があり成形性が良くても人体には使用できません。ところがチタンの場合、酸素と結びつくと表面が強固な酸化物(不働態酸化被膜)で覆われ、非常に安定しており空気中では白金や金などと同等の耐食性をもっています。よって溶け出す心配もありません。そして万が一チタンイオンが溶け出した場合でも即座に酸化するため、ヒトの体に悪影響を及ばす心配もないのです。これらが、人工歯根(インプラント)が骨とガッチリ結合でき、天然歯のように噛める機能性を再現できる理由です。そしてこのチタンですが、インプラントだけではなく義手や義足、人工骨などの医療器具でも使用されているのです。スゴイですね、チタン!!

 

インプラントは誰でもできるの?

ここまでインプラントの構造についてお話しました。健康な歯を削ってしまうブリッジや残った歯に装置をつける入れ歯と比較すると周囲の歯に負担が少ないのが特徴ですね。しかしながら口腔外科手術を伴うこともあり、誰にでもできる治療法ではありません。実はインプラントが向く人、向かない人というのがあります。

 

例えばインプラント治療が向く人の例としてむし歯になりやすい人があげられます。インプラントはチタンでできているためむし歯のように溶けることがないからです。とは言え、インプラント周辺を不衛生にしているとそこからインプラント周囲炎などの細菌感染症になる場合がありますのでメンテンナンスは必須です。

 

一方でインプラント治療に向かない人の例として歯周病の方です。歯周病を放置したままインプラントを埋入した場合、歯周病菌が、インプラントが埋入されている顎骨まで溶かしてしまう可能性があります。結果インプラントが安定せず抜け落ちてしまうことになるのです。そのため、歯周病治療をしてからのインプラント治療というステップになります。もちろん治療によって歯周病が安定してくればインプラントは問題なく適用できます。

 

患者さんの中には「なんで歯医者って何度も何度も通わされるのかしら?」と感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、治療の優先順位や手順などを加味したうえでのステップになっているのです。ブログ記事「嗚呼、かんちがい~歯を抜くタイミング」でも書きましたが「歯が痛いからといってすぐに抜歯できるわけではない」というのも、そのタイミングの治療だと危険で、更に治療期間が長期化する恐れがあるからでしたよね。

その他にも成長期である10代の方は顎骨の成長途中であることからインプラント治療には向きません。成長が止まったあとでの治療となります。もし成長過程にも関わらずインプラントを埋入してしまったら歯や骨が成長と共に動いてしまい位置が変わってしまう恐れがあるからです。

また、インプラント治療では人工歯根を顎骨に埋め込みます。そのため顎骨部分に充分な骨量が必要になります。もし必要量の骨量に満たない場合には骨の量を増やす治療をする場合があります。最後にこちらについても紹介させていただきますね。

 

 

骨再生誘導法(GBR;Guided Bone Regeneration)

子どもの頃「よく噛んで食べなさい」と言われた記憶がありますが、実は骨量というのはこの噛む刺激によって活性化され維持されます。そのため長期間歯を失ったまま噛むことをしなかった患者さんや重度の歯周病の患者さんなどは骨量が少ないことがあります。その場合、この骨再生誘導法という治療を行います。その名のとおり、骨の再生を誘導する治療です。ちなみにこの骨再生誘導法はインプラント手術前に行う場合もあれば、インプラント手術と同時に行われる場合もあります。方法としては、自分の他の部位から骨をとってきて移植する方法や、人工骨で埋める方法、更に人工膜を使用して骨を再生して増やす方法などがあります。

 

ちなみについ先日も歯根破折のため抜歯し、ビバ歯科にてインプラント手術を行った患者さんがいらっしゃいました。右下の前から数えて5番目の歯です。この5番目の歯は正式には第2小臼歯と呼ばれ、大臼歯(いわゆる奥歯)が食べ物をすりつぶしたり細かくしたりするのをアシストするのに大切な役割をしています。この患者さんの場合、事前の検査から十分な骨量がないことがわかっていたため、インプラント手術と同時にGBR手術も行いました。術後の経過も良好です。

 

 

 

最後に、今回は歯を欠損した場合の治療法の1つであるインプラントにスポットライトをあててご紹介しました。ブリッジや入れ歯を含めそれぞれの治療に一長一短あります。どの治療方法を採用するかは患者さんのご希望に沿って治療を進めていきます。ただこれだけは声を大にして言わせてください。

 

\歯を失ったままにしないこと/

 

歯を1本失っただけでは他の歯で物を噛めるのでそれほど不便を感じないかもしれません。

そしてそれが奥歯であれば見た目的にも外からはわかりませんし、特にこのコロナ禍の生活ではマスクが必須なため放置しがちです。しかしここで注意です。実は歯は1本失われただけでお口の中のバランスを崩す可能性があります。例えば、上の歯を1本失ったとしましょう。するとそこの歯と噛み合っていた下の歯は上の歯がなくなったことでその空間に向かってニョキニョキと伸びてきます。これを歯科用語では挺出(テイシュツ)と呼びます。更に失われた歯の前後の歯は空いた空間に向かって傾いてきます。するといつの間にか全体の歯並びや嚙み合わせが悪くなり、むし歯や歯周病のリスクが高くなるという負の連鎖につながるのです。

現在歯が失われた部位がある方、インプラントに興味がある方がいらっしゃればぜひビバ歯科・矯正小児歯科までお電話下さいね。

インプラントページへ