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注意!乳歯の早期脱落

こんにちは。

千葉県船橋市にあるビバ歯科・矯正小児歯科の武林です。当院はJR総武線【東船橋駅】南口から徒歩30秒にあります。

 

本日はお子様をお持ちのお父さん、お母さんにはぜひ読んでいただきたいブログです。

特に0歳~6歳頃までのご年齢のお子様がいらっしゃる方は必見です。

 

以前のブログ『歯は全部で何本?』で、歯1本1本には名前と役割があるというお話をしました。覚えていらっしゃいますでしょうか。その時は永久歯についてのお話がメインでしたが今回は乳歯にスポットライトをあててみたいとおもいます。

 

 

そもそも乳歯って?永久歯って?

ヒトは二生歯性といい、言葉の通り2種類の歯が生えてきます。それが乳歯と永久歯の2種です。簡単にいうと、乳歯とは子どもの歯で一般的に生後6ヶ月頃に生え始め3歳頃に全部の乳歯が生えそろいます。右図のように前歯から、乳中切歯、乳側切歯、乳犬歯、第1乳臼歯、第2乳臼歯と呼ばれていて、全部で20本しかありません。それに対して永久歯、いわゆる大人の歯は親知らずを含めて28本もあります。成長途中である子どもは頭が小さいのでそれに合わせて歯の数も少ないのですね。

乳歯の名前

また子どもの頭の大きさに合わせて“前歯”から少しずつ生え変わります。個人差はありますが、一般的な目安は以下の通りです。

 

6~8ヶ月頃以降

乳歯が生え始める

3歳頃

乳歯が全て生えそろう

6歳頃~

永久歯の生え変わりがスタート

12~14歳頃

全ての乳歯が永久歯に生えそろう

さて記念すべき乳歯→永久歯の生え変わりですが、多くの場合6歳頃に、まずは“下の前歯”から始まります。 最近では可愛らしい“乳歯ケース”がたくさん売られていて、『実は、子ど もの誕生と共に乳歯ケースを用意していたんだよ』なんていうご家庭もあるのではないでしょうか。

 

ブログの筆者もそうでしたが、

 

筆者(幼少期)「歯がぐらぐらするよ~」

親「おぉ~ほんとだね!大人の歯まであと少しだね~」

 

というように歯の生え変わりを親に報告するととても喜ばれた記憶があります。

 

しかしながら、喜んでばかりもいられないのがこの生え変わりの“タイミング”なんです。

必ずしも“生え変わりが早い=成長スピードが速い”というわけではないのです。

もしあなたのお子さまの乳歯が4歳になる前に抜けてしまったら、これは要注意です。

「成長が早いね!」と手放しに喜べない事態かもしれません。一度小児科もしくは小児歯科を専門とする歯医者さんで診てもらうことをおすすめします。

 

遺伝性の難病が隠れていることも

では乳歯の早期脱落がなぜ要注意なのか?それは低ホスファターゼ症(HPP:HypoPhosPhatasia)が疑われるからです。低ホスファターゼ症は骨格異常を引き起こす遺伝性の骨の病気です。遺伝子の変異により、本来強く健康な骨を作るために必要なアルカリホスファターゼ(ALP)という酵素の働きが低下するために起こります。HPPでは、正常な骨の石灰化ができず、骨や歯を中心に全身にさまざまな症状があらわれます。そのうちの1つが4歳未満での乳歯脱落の症状です。

 

下図をご覧ください。

 

顎骨には歯が生えるための穴(歯槽)があり、これらを構成している骨を歯槽骨と呼びます。歯槽骨は歯ぐきや歯の根を支えるという重要な役割を担っています。また歯槽骨と歯の間には歯根膜と呼ばれる厚み0.2mmほどの膜があります。様々な方向から加わる力をうまく分散させて、歯に過剰な力が加わるのを防ぐというクッションのような役割をしています。また歯と歯槽骨をしっかりとつなぎとめる役割をしているのもこの歯根膜です。そのため、 健康な乳歯であればこの歯根膜を介して歯と歯槽骨を接着しています。しかしながら、HPPの患者さんは歯のセメント質の形成が十分ではないので、この接着部分に異常が生じて歯と歯槽骨の接着が弱くなります。そのためちょっとした力であっても歯が動揺し更に悪化すると歯根部ごと抜けてしまうのです。

 

 

ちなみに皆さん、“歯根吸収”という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは歯の生え変わりの時期に乳歯の歯根(歯ぐきに埋まっている部分)が溶けることをいいます。その結果乳歯がグラグラし始め、やがて抜け落ちるという流れです。そのため自然に抜け落ちた乳歯にはほとんど歯根が残っておらず丸っこい感じだと思います。それに対してHPPが原因で動揺、脱落した乳歯は歯根部ごと抜けてしまうため、レントゲンでみるような形そのままで抜け落ちます。よって、乳歯が脱落した時期の他に、脱落した乳歯を観察することも病気の早期発見につながると思われます。

 

 

ちなみにこの歯根吸収というのは矯正治療を行う患者さんにも起こりうるものです。今回詳細な説明は割愛しますが、歯科矯正のために外部から力をかけることで歯根吸収のリスクが高まります。特にビバ歯科・矯正小児歯科では矯正治療の患者さんも多くご通院頂いておりますため、矯正前の診察・検査の結果この歯根吸収のリスクが高い方には、そのことを患者さんにご説明したうえで、リスクを最小限にとどめるための方針を決定していきます。

 

 

早期発見・早期治療のために

4歳未満での乳歯脱落の他にも以下のような症状がみられたら注意してください。

  • 発達や成長の遅れ(低身長など)
  • 著しい筋力低下(長時間起立していられない)
  • 歩行障害(歩き方のバランスが悪い、走ったり、跳んだりが苦手)等

 

なお、ビバ歯科・矯正小児歯科はご家族で通っている患者さんも多いため、お子様の治療をする機会も多いです。成人とは異なり小児歯科特有の症状もあるため、当院では初診の小児用問診票に多くの質問項目があります。その中の1つが『歯がグラグラする』という項目です。もちろん、どこかにぶつけた、といったような外傷の場合には明白ですが、特に原因もなく歯がグラグラする(=動揺)という場合には今回ご紹介したHPPが原因の可能性も考えられます。よって保護者様にはご面倒ではありますが、お子様の症状についてはどんな小さなことでもご記入をお願いしています。

小児用問診票

なお、今回このブログを執筆するにあたり、インターネット上でも色々と記事を読みました。その中でHPPの患者会(コミュニティ)というサイトがありました。病気の原因、症状の他、闘病記録をつづったブログも掲載されています。もし思い当たる症状がある方がいらっしゃればぜひご参考になさってください。

 

🦷 抜けた乳歯の行方🦷

ブログ中盤でも触れた通り、今は乳歯ケースなるものがあります。プラスチック製のものもあれば、歯の形をした木箱のようなものもあり見ているだけでも楽しくなります。ビバ歯科・矯正小児歯科ではお子様はもちろんのこと成人の方で抜歯した患者さんにお写真のようなケースをプレゼントしています。お団子ほどの大きさのケースでとても可愛くて、実は筆者も心の中で「欲しいなぁ欲しいなぁ」と思っているグッズです。

 

ところで、縁起が良いことも悪いことも含め、日本では様々な迷信がありますよね。歯にかかわる言い伝えの1つに以下のようなものがあります。

 

「抜けた上の乳歯は床下へ、下の乳歯は屋根の上に投げると健康な永久歯が生えてくる」

 

上の乳歯は床下、下の乳歯は屋根の上というのは、生えてくる永久歯を正常な方向にしっかりと導くように、というおまじないですね。実は筆者は昔、母親さらには祖父母からこのことを強く言われ、ひたすら自宅の屋根に向かって抜け落ちた下の歯を投げていました。しかし若干6~7歳の幼き少女にとっては、2階の屋根の高いこと、高いこと…。

投げても、投げてもベランダの手すり付近で跳ね返ってきて、苦行のように感じられました。

 

因みに、海外ではTooth Fairy(トゥース・フェアリー)という文化がある国もあるようです。Toothは歯、Fairyは妖精という意味ですが、その名の通り、抜けた乳歯を枕の下に置いて寝ると、夜中に歯の妖精がやってきて乳歯を持っていく代わりにコインやプレゼントを置いていくとのことです。初めてこの文化を知った時には、『こっちがよかった…。プレゼント欲しいじゃん』と思ったものです。

 

現在ではアパートやマンションなど住宅事情が変化し自宅の床下や屋根に投げることは難しく、ケースに保管することも多いようです。へその緒もそうですが、お子様の成長を感じ取れる思い出の1つですよね。もし乳歯をご自宅で保管する場合にはしっかりと水で洗い流し、よく乾燥させてからケースに入れて下さいね。