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たかがイビキ?本当は怖い睡眠時無呼吸症候群

こんにちは。千葉県船橋市東船橋にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

4月になりいよいよ春本番です。日差しが差し込むお部屋にいるとついついお昼寝をしたくなる季節ですね。ところでお昼寝といえば、寝顔やいびきを人に見聞きされるのが恥ずかしくて「ちょっと気を遣う」という方はいませんか?寝顔については微笑ましいのでよいのですが、いびきについては歯医者さんとしては少し気になるところです。と言うのも、そこには“睡眠時無呼吸症候群”という病気が隠れている可能性があるからです。今日は私たちの生命をも脅かす可能性がある睡眠時無呼吸症候群についてのお話です。

 

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは書いて字のごとく、睡眠中に幾度となく呼吸が止まってしまう病気です。(最近学会では睡眠時無呼吸症ということが決まりましたが、今でも世の中では睡眠時無呼吸症候群という病名の方が通っているのでこのブログではこの呼称を使用します。)そのため酸素を取り込むことが困難になり体内の酸素濃度が低下してしまいます。酸素濃度の低下とは簡単に言えば標高の高い山に登った時の感覚です。寝ている最中すなわち無意識下で低酸素状態になるので体に大きな負担がかかり場合によっては命に危険が及ぶとても怖い病気です。低酸素状態であることは心臓に負荷をかけ、高血圧・糖尿病・心筋梗塞などの合併症のリスクが上がるからです。

 

それ以外にも以下のような症状があり普段の生活にも大きな影響を及ぼします。

 

日中の眠気や集中力の低下は仕事上でのミスや交通事故などにも繋がり、間接的ではありますが私たちの日常生活に大きな問題を引き起こします。そのためこれらの症状が長期間継続する場合には単に「睡眠の質が悪いから」と片してはいけないのです。

 

※なお睡眠時無呼吸症候群はその原因から3つのタイプに分類されます。


 1.閉塞性睡眠時無呼吸症候群

空気の通り道の気道が物理的に狭くなり呼吸が止まる。罹患者の9割以上が該当。

 2.中枢性睡眠時無呼吸症候群

脳から呼吸指令が出なくなる呼吸中枢の異常による。閉塞性よりも重症とみなされる。

 3.混合型睡眠時無呼吸症候群

閉塞性と中枢性の混合した病態。


 

このあと睡眠時無呼吸症候群の原因や治療方法についてお話しますが、本ブログにおいては睡眠時無呼吸症候群の9割を占める閉塞性睡眠時無呼吸症候群についてお話していきます。

 

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因とは何なのでしょうか。それは空気の通り道である気道が何らかの理由によりふさがってしまうことです。睡眠中は喉や舌の筋肉が緩み気道が狭くなりがちですが、更に狭くなる原因があるのです。

下のイラストは睡眠時の空気の通り道を模式的に表したものです。正常であれば鼻腔から絶え間なく出入りする空気の流れですが気道の閉鎖により空気の通り道が塞がれてしまいます。

 

更に下のレントゲン写真をご覧ください。黒く筒状になっているところが気道ですが、明らかに右のお写真(SASの方の気道)では気道が狭くなっていることがわかります。

 

よりイメージしやすくするために、「ストローの一端を指でふさいで吸う」ということを想像してみてください。吸いづらいことはもちろんのこと、ストロー内の空気がなくなりストローはつぶれてしまいます。これと同様のことが私たちの気道でも起こっているのです。怖いですよね。

それでは気道がふさがる代表的な原因をみていきましょう。概要は以下のイラストにまとめましたが1つひとつみていきますね。

 

1.肥満

体重増加により首周りの脂肪が蓄積して気道が狭くなります。また仰向けで寝ることにより更に気道が狭まります。そして狭くなった気道を空気が通るたびに大きな音がします。これが“いびき”です。そして気道が完全にふさがれてしまうと無呼吸となります。

下のイラストは肥満をタイプ別に表したものです。左側のリンゴ型の方がSASになりやすいです。

 

2.下顎が小さい・後退している

顎が小さいと喉の断面積が小さくなるため気道が狭くなります。

 

3.口蓋扁桃肥大

口蓋扁桃とは口蓋垂(のどちんこ)の両脇にあるリンパ組織のかたまりで、一般的には扁桃腺と呼ばれています。呼吸によって鼻や口から入ってくるウイルスや細菌を捉えそれらが体内に侵入するのを防ぐ免疫機能を持っています。3歳頃から大きくなり7歳頃に最大となり10歳頃までには自然と小さくなります。これが口蓋扁桃肥大です。この口蓋扁桃肥大が原因で飲食がしづらくなったり、呼吸がしづらくなったりなどし、いびきによる睡眠時無呼吸を引き起こします。

 

4.咽頭扁桃肥大(アデノイド)

アデノイドとはリンパ組織のかたまりで鼻の奥の突き当り、喉との間の部分である上咽頭にあります。

2歳ごろから大きくなり6歳頃に最大となり、その後は10歳頃までに自然と小さくなります。そのためこのくらいの年齢のお子さまはアデノイドが原因の鼻づまりに悩まされる子も少なくありません。肥大したアデノイドが気道をふさぐため、いびきや無呼吸の原因にもなります。

5.軟口蓋沈下・口蓋垂沈下

軟口蓋は“なんこうがい”と読みます。上の前歯の裏付近から上顎の内側(天井部分)を舌でなぞって見てください。始めは硬い部分(硬口蓋:こうこうがい)があり、その後急に軟らかくなる部分がありますよね。これが軟口蓋です。柔軟な組織で嚥下の際に食べ物が正しく飲み込めるように手助けをしています。そして軟口蓋の奥は口蓋垂(のどちんこ)につながっています。この軟口蓋の沈下や口蓋垂の沈下はのどにつながる上咽頭部分を閉塞し気道をふさいでしまいます。

 

6.舌根沈下・舌が大きい

舌根とは舌の根元(奥の方)のことで舌を動かす筋肉と脂肪のかたまりでできています。仰向けでの就寝中などは重力により舌根が喉に落ち込んで気道をふさいでしまうことがあります。また舌が大きすぎることもいびきをかきやすく、気道をふさぐ原因となります。

ちなみに舌の大きさの具合は自分で確認することもできます。試しに手鏡をもって口をアーンと大きく開けてみてください。その時、のどちんこ(正式には口蓋垂)が見えるでしょうか?もし、「見えない」「見えにくい」などという症状があればそれはあなたの舌が大きめでいびきをかきやすく、気道をふさぎやすいということになります。

 

7.狭窄歯列弓

歯列弓とは歯の並びが描く曲線のことで、正常な歯列弓はゆったりとした放物線であるU字型をしています。しかし人によっては極端に幅が狭いV字型を描いた歯列弓の人もいます。これを狭窄歯列弓と呼びます。このことは不正咬合すなわち歯並びに影響する事の他、舌のおさまる空間が狭くなるために、舌の後退を起こします。これは先ほどご説明した舌根沈下にもつながり睡眠時無呼吸症候群の原因になります。なお、小臼歯などが抜歯され小さな歯列弓になると、時にSASのリスクが高まると言われています。

8.咬合高径の低さ

咬合高径(こうごうこうけい)とは上顎と下顎の咬み合わせの高さのことです。これが低すぎるとお口の中の容積が狭まり、結果的に気道が狭くなる原因となります。

 

9.鼻中隔湾曲症

鼻の穴を左右に隔てている壁を鼻中隔(びちゅうかく)といいます。この鼻中隔が大きく曲がっていると鼻づまりやいびきといった症状が慢性的に現れます。これが鼻中隔湾曲症です。みなさんの鼻の穴はどうでしょうか?

ちなみにこの鼻中隔の湾曲というのは特に珍しいことではなく、その差はあれどほとんどの人に見られるものです。そのため、鼻中隔の湾曲があっても特に日常生活に支障を感じることがなければ問題ありません。

 

睡眠時無呼吸症候群とりわけ今回取り上げている閉塞性無呼吸症候群は、肥満の中年男性に多いというイメージがあるかもしれませんが、痩せている方や女性、お子様でも発症する可能性が少なくありません。特にここ数十年では食生活の変化からか『子どもたちの顎が小さくなっている』という指摘もありまだ幼いお子様でも睡眠時のいびきや無呼吸に注意が必要なのです。

 

様々な治療法

それでは最後に治療方法についてご紹介します。

1.内科的治療

1)生活習慣の改善

どんな病気を治すにも基本となる部分です。

  • 適正な体重を維持
  • 栄養バランスの良い食事
  • 適度な運動
  • 睡眠姿勢の改善

仰向けで寝ることは気道が閉塞され無呼吸になる確率が高まります。そのため横向きで寝ることで気道への負担が軽減するようにします。抱き枕などを使用し横向きを維持すると良いでしょう。

 

2)CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)シーパップ

持続陽圧呼吸療法とも呼ばれ、機械で圧力をかけた空気を鼻から気道に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療法です。CPAPは、機器本体と、事前に設定した圧力で空気を送るチューブ、鼻に当てるマスクからなり、睡眠中にこれを装着します。重症の睡眠時無呼吸症候群の患者様の場合必須の治療方法です。

 

2.歯科的治療

1)スリープスプリント(オーラルアプライアンス)

就寝時に専用のマウスピースを装着することで、下顎を前方に出し舌が気道をふさぐことを防ぎます。なお過度に力を加えてしまうと顎関節に負荷がかかりすぎ顎関節症などの原因になりますので専門の歯科医師との相談が必須です。

 

下のレントゲン写真はスリープスプリント装着前と装着後のレントゲン写真です。装置を装着することにより気道が広くなり舌骨も上がっていることが認められます。

2)上下顎拡大矯正治療

上顎と下顎を歯科矯正装置で拡大することで、舌のスペースを広げる治療です。これにより舌が前方に出やすくなり、気道をふさぎにくくなります。

下の写真は実際の患者さんのレントゲンです。気道が大きく拡大したのがはっきりと確認できます。

3)歯科・口腔外科治療による上下顎骨拡大手術

小さな上下顎の骨格を前方に拡大する手術により、舌が前方に出やすくなり気道を広げる治療です。

 

3.耳鼻咽喉科的治療

1)投薬

ステロイド点鼻薬と抗ロイコトリエン拮抗薬の併用療法により鼻咽頭の慢性炎症を改善します。それにより鼻炎や扁桃肥大の改善が起こり睡眠時無呼吸症候群を緩和させる治療法です。

 

2)外科的治療

副鼻腔炎や鼻中隔湾曲症を外科的に改善することで鼻呼吸を促します。これにより睡眠時無呼吸症候群の症状の改善が期待できます。また口蓋扁桃やアデノイド(咽頭扁桃肥大)を摘出することで気道を確保する方法もあります。

 

いかがでしたか?もしあなたがもしくはあなたの家族が「大きなイビキ」や「慢性的な疲れ」に悩んでいたらそれは睡眠時無呼吸症候群の症状かもしれません。ぜひ一度ビバ歯科・矯正小児歯科までご相談下さいね。

 

最後に**参考記事のご紹介

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3月18日の読売新聞に睡眠時無呼吸症候群の話題が取り上げられていました。いびきに悩み、旅行等で他人と相部屋になることに戸惑いを感じている患者様が治療後は安心して旅行できるようになった、という喜びの声が掲載されています。今は新型コロナウイルス感染症の為なかなか旅行ということは叶いませんが、いつかくるその時間を楽しむためにぜひ前向きに治療をしてみてはいかがでしょうか。