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扁桃肥大で呼吸がとまる?呼吸と歯科の関係

こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

当院ではその名の通りお子様の歯科矯正治療を積極的におこなっています。そしてその際に欠かせないのがセファログラムというレントゲン写真の撮影です。一般歯科でむし歯治療の際に撮影する顎全体を映すパノラマや歯列の一部を映すデンタルとは異なり、矯正歯科で用いるセファログラムでは頭部と顔面を撮影します。このセファログラムでは歯並びだけではなく、骨格、顎の成長、歯の傾斜角など様々なことを確認できます。そして矯正治療後に術前術後の写真を比較し、骨格の変化やどのように歯が動いたのかを診断するためにもとても重要なアイテムです。

セファログラム

 

セファログラムでわかること

  • 頭位
  • 姿勢
  • 気道
  • 舌のポジション
  • 扁桃
  • 舌骨
  • 頸椎の状態
  • 副鼻腔の状態
  • 頭蓋の状態 等々

 

ところで、セファログラムを撮影していると気道が狭くなっているお子様が少なくありません。気道は鼻から肺までの空気の通り道ですから、私たちが呼吸をする上でとても大切な部分です。しかしこの気道が狭くなっているということは酸素を取り込みづらい、すなわち呼吸がしづらいということを意味します。特にお子様の患者様の場合その原因の1つが扁桃肥大です。そこで今日は扁桃肥大と呼吸についてお話していきます。ぜひ最後までお付き合いくださいね。

 

扁桃ってなに?

まずは扁桃が何かについてお話していきます。俗には扁桃腺と呼ばれていますが、実は扁桃は腺組織ではなくノドにあるリンパ組織です。鼻や口から体内にウイルスや細菌などが浸入することを防ぐ役割をしています。なお扁桃は以下4種類に分けられます。

  • 口蓋扁桃
    のどちんこ(正式名称:口蓋垂)の両脇にある楕円形に出っ張った部分です。俗に扁桃腺とも呼ばれています。軽度の口蓋扁桃肥大であれば、特に症状はありません。左右の扁桃が真ん中で接するくらい大きいと、いびきが大きい、睡眠時に呼吸が止まっているなどの症状が出ます。なお、口蓋扁桃肥大は以下の5段階で肥大の程度をあらわします。これはブロードスキー分類と呼ばれ0度から4度までに分けられており、その数字が大きいほど重症すなわち肥大が顕著だということです。

黄色の箇所が口蓋扁桃

 

  • 咽頭扁桃
    上顎の裏、鼻の奥にあります。咽頭扁桃の肥大した状態がアデノイドです。

 

  • 耳管扁桃
    ノドと耳をつなぐ管周りにあります。

 

  • 舌扁桃
    舌の付け根にあります。ノドが炎症を起こした時に、まれに舌の奥に腫れてみえることがあります。

そしてこのうち呼吸に大きく関わるのが口蓋扁桃と咽頭扁桃です。これらが異常に大きくなってしまうと気道が塞がれ、スムーズな呼吸の妨げとなってしまいます。

 

口蓋扁桃肥大・咽頭扁桃肥大(アデノイド)の症状とは?

それぞれが引き起こす問題症状は以下の通りです。

口蓋扁桃肥大

  • いびき
  • 食べるのが遅い
  • 睡眠時無呼吸  等々

 

咽頭扁桃肥大(アデノイド)

  • 鼻声
  • 鼻づまり
  • 口呼吸
  • いびき
  • 睡眠時無呼吸
  • 滲出性中耳炎 等々

 

これらの症状の原因の多くが扁桃肥大により空気の通り道である気道が塞がれてしまうことにあります。しかし口蓋扁桃肥大、アデノイドともに、幼少期の大きさがそのまま続くものではありません。通常は5、6歳頃に最も大きくなり、その後次第に小さくなっていきます。ただし、睡眠時無呼吸などにより生活自体に影響がでる場合には手術をして肥大した扁桃を外科的に取り除く必要があります。また、例え成長するに従い小さくなるとしてもそれまでの間にいびきや無呼吸を放置しておくと、身体の正常な発達に悪影響を及ぼす可能性があります。そのためまずは医師・歯科医師に相談することをおすすめします。

 

実際の症例

気道がふさがれています

こちらは5歳のお子様のレントゲン写真です。口蓋扁桃肥大及び咽頭扁桃肥大(アデノイド)により気道が塞がれ、レントゲンで白く映っています。(本来レントゲン写真では空気は黒く映ります)元々は矯正治療をご希望でご来院されましたが、まずは正しい呼吸ができるように扁桃の治療をご提案しました。

 

そして医科で扁桃摘出手術をした結果がこちらです。肥大していた扁桃がなくなり気道が確保できるようになったことがわかります。術前では白く映っていた部分が空気の通り道ができたことにより黒く映るようになりました。術後に保護者様からお話を伺うと『睡眠時のいびき・無呼吸がなくなった』ということでした。これで矯正治療をスタートする準備が整いました。

 

歯科と呼吸の関係

最後に歯科と呼吸の密接な関わりについてお話します。

当院のブログでも度々お伝えしていますが、歯科的には呼吸に問題があるとお口や顔の発達、顎の成長に大きく関わるとされています。そしてもし歯が生えそろうだけの十分な顎のスペースがないとしたら、歯がきれいに並ばないいわゆる不正咬合となってしまうのです。
今回お話した扁桃肥大による気道の閉塞は顎の正常な成長を妨げます。というのも、呼吸に問題があるお子様は少しでも呼吸がしやすいようにと、顎を前に突き出し猫背のような前かがみの姿勢(狭くなった気道を前方方向に出し呼吸がしやすいようにしている)をとるため、間違った方向に顎が成長をしてしまうからです。

そのため、当院では矯正治療をご希望の患者様にはまず正しい呼吸をできているかの診査をします。正しい呼吸をするためには、気道の状態以外にも、舌、口周りの筋肉、そして扁桃の状態など全てがベストであることが大切です。

当院の矯正治療はただ単にきれいに歯を並べるのがゴールではありません。審美的なことはもちろんですが、呼吸を始め咀嚼、嚥下など口腔機能を最大限に発揮できるようにするための矯正治療です。「はやく歯並びを治したい」というお気持ちもすごくわかりますが、歯はつかってなんぼの組織です。一つ一つ段階を踏みながらぜひ一緒にがんばっていきましょう!なお顎を拡大する矯正治療により肥大した扁桃が小さくなることもあります。もし今、いびきや睡眠時無呼吸症候群の兆候がありお悩みの方がいらっしゃいましたらぜひ一度ビバ歯科・矯正小児歯科までご相談くださいね。