ブログ・予防歯科
安全にスポーツを楽しむために~「マウスガード」のすゝめ
こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
いよいよ来月9月8日からラグビーワールドカップ2023が始まりますね。今年の開催地はフランスです。フランスと日本の時差は7時間ほどですから、大会開催期間中は寝不足になる方も多いかもしれませんね。
ところでラグビー選手の口元をみて「おや?」と感じたことはありませんか?中継でお顔がドアップになると…なんと前歯が青い!!
実はあれ、マウスガードと呼ばれるスポーツ用のマウスピースなんです。(青色以外の色もあります)
今日はスポーツ選手のお口の守り神、マウスガードについてのお話です。ぜひ最後までご覧くださいね。
マウスガードとは
スポーツ中のケガから、大切な歯を守るための歯のプロテクター(安全具)です。強い衝撃から歯を守るために高性能な衝撃吸収材でできているのが特徴で、イラストのように上顎に装着するのが一般的です。マウスガードはお口の中に装着しているためあまり目立たないかもしれませんが、特にコンタクトスポーツにおいては選手の口元をケガから守るために欠かせないものです。
ちなみに、守る部位はちがいますが、野球のキャッチャーの胸当てやボクシングのヘッドギアなどもプロテクターの1種です。
マウスガードの効果
「スポーツにケガはつきもの」という言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。たしかに、身体を動かすスポーツには偶発的なケガは避けられないこともあります。しかし、咀嚼や発音といった基本的機能を始め、咬み合わせが関係する平衡感覚など歯・口は私たちの健康的な生活を維持するうえで大切な役割をしています。そのため、「予防できるケガは予防する」ことが大切です。スポーツをする際にマウスガードをすれば以下の効果が期待できます。
歯への外傷を予防できる
手足などの骨の外傷についてはトレーニングで筋肉を鍛えることで多少軽減できます。しかし同じ硬組織でも「歯」を鍛えることは難しいですよね。そのため歯をマウスガードで覆ってあげることで直接的な衝撃を和らげます。また万が一ケガを負った際にも、程度が軽減できるので、治療にかかる期間や費用面からも選手の負担が軽くなります。
唇や頬などを噛んでケガすることを予防できる
歯は人体組織の中でもっとも硬い組織です。そのため、歯が強い力で周りの軟組織(唇・頬・舌など)と接触するとそれらを損傷する恐れがあります。
強い噛みしめによる歯へのダメージを軽減できる
スポーツでは瞬間的に全身の筋力をパワーアップさせるために歯を食いしばるタイミングがあると言われています。例えば野球のバッティングやラグビーのタックルの瞬間です。しかし力を思う存分に発揮する反面心配なのが歯へのダメージです。なぜなら食いしばりの際に歯にかかる力は自分の体重の2~5倍にもなると言われているからです。これは歯の咬耗(すり減り)や破折(折れ・ヒビ)の原因になります。
顎骨・顎関節への傷害を軽減できる
先の通りスポーツの際には強い噛みしめをおこなうことがあります。そしてこれは睡眠中の歯ぎしり食いしばりと同様で、歯や筋肉そして顎関節や顎骨へ負担をかけることになります。しかしマウスガードをすることでその外力からこれらの組織を守ることができます。
自身の歯が相手にケガをさせるのを予防できる
コンタクトスポーツでは対戦相手はもちろん味方選手との衝突が考えられます。例えばバスケットボールでジャンプの着地の際の衝突やサッカーのヘディングの際の衝突などです。歯は人体の中でもっとも硬い組織ですから、特に相手の頭部や目などとの接触は凶器になることもあるのです。
パフォーマンスの向上
ここまでは歯や顎を守ることの効果をあげてきましたが、実はマウスガードを装着することでパフォーマンスを向上する効果もあると言われています。特に歯を強く噛みしめる際に効果を発揮します。例えばウェイトトレーニング、ラグビーのスクラムなどのように動きを止め、体を固定するような場面です。もし歯並びが悪く咬み合わせがずれているとしたら、噛みしめてもあまり力が入りません。しかし厚みのあるマウスガードを装着することで、多少咬み合わせがずれていても一時的に矯正することができます。(歯ぎしり防止用のマウスピースの厚みは1~2mm程度ですが、マウスガードが3mm以上の厚みがあります)それはすなわち顎が固定され強い力で嚙みしめられるということです。そのため、筋力アップや重心の安定に効果が期待できます。
自分も仲間もスポーツを安心して楽しめるようにぜひマウスガードを活用しましょう。
参考資料: 「口腔保健と全身的な健康状態の関係について」の研究
マウスガードの着用が求められるスポーツ
参考までにマウスガードの着用が義務化・推奨・許可されているスポーツを一部ご紹介します。競技種目によっては「透明・白のみ可」(テコンドー・野球等)だったり、逆に「透明・白は禁止」(アメリカンフットボール)だったりと、色の指定もあるようです。
完全義務化(必ず使用)
- アメリカンフットボール
- キックボクシング
- ボクシング
- 総合格闘技
- ラクロス
- テコンドー
一部義務化(条件付きで使用)
- アイスホッケー
- ラグビー
推奨(使用をすすめる)
- モーターバイク
許可(使用してもよい)
- バスケットボール
- ハンドボール
- 硬式野球
- 柔道
参照:日本スポーツ歯科医学会(2023年3月現在)
歯や口の外傷について
ビバ歯科でも突発的に外傷を負った患者様が急患として来院されます。代表的なケガは以下の通りです。
歯の破折
歯が折れたり、その下の根の部分(歯根)が折れたりすること
歯の脱臼
力が加わったことで、歯が飛び出したり(挺出:ていしゅつ)、抜け落ちたりすること
歯の陥入(かんにゅう)
外から力が働いたことにより、歯が顎骨の中に押し込まれること
顎骨骨折
顎の骨が折れた状態。患部の腫れ、痛みはもちろんのこと、咬み合わせに違和感がでることもあります。
顎関節脱臼
顎関節部の痛み、顎の動きの制限(口の開閉のしづらさ)などがある
軟組織の損傷
口の周りの皮膚や粘膜にみられる外傷
なおこちらのブログ『「歯が折れた!歯がずれた!」急患ご相談下さい』では実際の症例写真を用いながら、歯の外傷に対する処置例をご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
マウスガード製作の流れ
ビバ歯科・矯正小児歯科では以下の流れでマウスガードを製作しています。
歯型を採取
※嘔吐反射の強い方(お口に異物が入ると「オェ」となる方)には、少しでも不快感がなくなるように様々な取り組みをおこなっています。詳しくは以前のブログ『歯医者さんで「オエッ」てなりませんか?』でご紹介しておりますのでぜひご覧ください。
石膏を流す
トリミングする
成型器で形づくり
仕上げに辺縁の処理
完成
マウスガードは通常のマウスピース同様に消耗品です。つまり経年劣化します。またお子様の場合には歯の生えかわりや歯並びの変化などにより作り替えが必要になることもあります。そのためかかりつけの歯医者さんとよく相談のうえ作製、そして定期的に点検や調整をおこないましょう。
最後に
「〇〇についてブログに書いてほしい」などのリクエストや「△△って何?」などのご質問も随時受け付けております。以下いずれかよりぜひご連絡いただければ嬉しいです!
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医院概要
医院名 | ビバ歯科・矯正小児歯科 |
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