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「歯が折れた!歯がずれた!」急患ご相談下さい。

こんにちは!千葉県船橋市東船橋にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

みなさんは「急患」という言葉を聞いたことはありますか?これは「急いで手当をする必要がある患者様」という意味で要は急病人のことを指します。ビバ歯科・矯正小児歯科でも年に何度か急患の方が飛び込んできます。それはむし歯による歯痛だったり怪我による外傷だったり、そして子どもだったり大人だったりと様々です。

今日はそんな突発的な急患の症例、特に外傷を伴う症例についてのご紹介です。怪我や事故は誰でも巻き込まれる可能性があります。そんな時に落ち着いて行動できるようぜひ参考にしてください。

 

はじめに~歯の構造を知ろう~

まずは歯の構造を確認します。

〇エナメル質…歯の一番外側を覆っている目に見える表面の層です。実はエナメル質はヒトの体の中で最も硬い組織です。そして実は“鉄”よりも硬いって知っていますか?

物質の硬さを測る単位に「モース硬度」というものがあり、これは1~10の10段階で表されます。数字が大きくなるほど硬いことを表します。ちなみにエナメル質のモース硬度は“7”で鉄のモース硬度は“4”ですから、ヒトの歯すなわちエナメル質がとても硬くて傷つきにくいことがわかります。ちなみに参考までに、モース硬度1はチョーク、モース硬度5はガラス、モース硬度10はダイヤモンドなどが身近な物の例です。

 

〇歯髄(しずい)…いわゆる歯の“神経”です。もっと細かく言うと神経組織と毛細血管の集まりで、歯に酸素や栄養を供給する重大な役割を担っています。みなさんはツヤを失い褐色に変色した歯をみたことはありませんか?重篤なむし歯などにより歯髄が取り除かれた歯は酸素や栄養をうけとれないため、あのような褐色に変色してしまうのです。まれに「痛いのが嫌だから神経を抜いてください」と気軽におっしゃる患者様がいらっしゃいますが、当院ではオススメしないのはこのためです。神経が抜かれた歯は栄養の供給源が絶たれるためもろくなってしまうのです。

〇歯槽骨(しそうこつ)…歯の根っこがはまり込む顎骨の穴を歯槽といい、それを構成している骨のことを歯槽骨と言います。私たちの歯はこの歯槽骨により支えられています。

〇歯根膜(しこんまく)…歯の根っこと歯槽骨の間にある薄い膜上の組織です。食べ物を噛む際に歯にかかる力を吸収・緩和し、力が直接歯槽骨に伝わるのを和らげるクッションの役割をしています。見た目はぶよぶよしているのが特徴です。厚さ0.2㎜程しかないこの膜ですが歯の靭帯とも呼ばれており、歯の存続には欠かせないとても大切な組織です。いわば “歯肉の下の隠れた力持ち” ですね。

 

実際の外傷の症例

ビバ歯科・矯正小児歯科でも年に幾度となく急患として外傷の患者様がいらっしゃいます。平常であればご予約の患者様から治療のご案内になりますが、外傷のある患者様の場合は優先的にご案内することもあります。なぜなら、怪我により歯が欠けたり抜け落ちたりしている場合に、歯を元の位置に再植できるか否かは時間との勝負だからです。以下先日実際に当院で治療した外傷の患者様の事例です。

(※以下出血を伴う口腔内写真を掲載しています)

こちらの患者様は顔面を強打され外傷を負いました。お顔を拝見してすぐに出血が確認でき、口腔内もお写真のようにひどく出血している様子でした。主な症状は次の通りです。

 

①左上の前歯の破折

②右上の前歯及び右上の側切歯の脱臼

③歯槽骨の骨折

 

①はお写真からも一目瞭然で前歯の先端部分が欠けてしまっています。

②お写真だけですと一見なんとも無いように見えますが、2つの歯の位置が大きくずれていて脱臼していました。脱臼と聞くと、腕や肩を思い浮かべる方が多いと思います。一般的には関節を形成している骨が完全に離れた状態を言いますが、歯の脱臼とは「歯を歯槽骨に固定している組織である歯根膜が断裂される」ことを指します。先ほど歯根膜は“歯の靭帯とも呼ばれる”と言いましたが、まさしくその通りでこの歯根膜が断裂されるということは歯が抜け落ちる、もしくは正しい位置からずれてしまうということです。

下の3DCT写真を見るとその様子がよくわかります。上顎の脱臼している歯が下に飛び出しています。

 

③更に、下のパノラマ写真をご覧ください。赤枠の中にある黒い線は骨折線です。上顎に大きな衝撃を受けたことが分かります。怪我の直後ということもあり動揺している患者様を落ち着かせ、速やかに処置を行いました。

 

処置①左上の前歯の破折

まずは①左上の前歯の破折の応急処置です。今回はデュラシールを使いました。

みなさんはむし歯を削った際に詰め物をするまでの期間、「仮蓋」をされたご経験はありませんか?インレーなどの歯の詰め物は歯科技工所で患者様個々に合わせて作られるため、それまでの間削って穴が空いた部分を埋めるものが必要になります。その「仮蓋」で使用されるのがデュラシールです。お写真をご覧ください。こちらがデュラシールで蓋をした状態です。色味も他の歯と馴染み違和感はほとんどありません。

 

 

なおこのデュラシールは粉と液体を混ぜて固めます。そしてデュラシールを使う際に患者様からよく言われるのが「先生、すごい臭いニオイがします・・」というセリフ・・・。はい、そうなんです、すごく臭いんですね(笑)鼻にツンとくるような刺激臭がします。ただ人体に害はないのでご安心ください。

なおこのデュラシールはあくまで仮蓋の役割のため、外傷が落ち着いたら詰め物を作成していきます。つまりこのデュラシールはそれまでの繋ぎの役割です。ではなぜデュラシールが必要なのでしょうか?

 

まず1つ目の理由は、歯髄が残された歯の場合、歯の表面に蓋をしておかないとしみる可能性があるからです。

そして2つ目の理由は歯を欠けた状態のままにしてしまうと、更に歯が欠けたり、土台が傷んだり、もしくは隣接した歯が空いた空間に移動してしまうからです。この歯が移動することについては以前のブログでもご紹介しておりますので、こちらからご覧ください。

 

なおデュラシールで仮蓋をした後には注意点があります。

 

1)処置後30分は飲食を控える

2)粘着性のある食べ物(キャラメル/ガム/餅)や硬い食べ物は控える

3)歯間ブラシ・フロスは通さない ※デュラシールをしていない部分は通していただいてOKです

 

なお通常、歯の破折の治療ではレジン充填を行います。レジンは小さなむし歯の治療の際にも使用する白い詰め物です。液状に近いものから粘土状に近いものを歯に詰めたら紫外線を当てて固めていきます。しかし今回は外傷ということで出血がひどく、レジンに血が混じったり、出血により接着しづらかったりしたため、レジンではなくデュラシールを使用することになりました。外傷が治ってからレジン充填によりキレイに成形していく流れです。

 

処置②右上の前歯及び右上の側切歯の脱臼

 

脱臼をし、歯が骨から抜けかけている状態です。そのため、ワイヤーで固定をしました。これは腕や脚を骨折したときに使用するギブスや添え木と同じ役割で、歯を固定するための処置です。

 

処置後の経過

先ほどの患者様が急患でいらしてから処置後1ヶ月のお写真がこちらです。わかりやすいように怪我当初のお写真と並べてみます。

 

まず欠けていた左上の前歯ですが、仮蓋のデュラシールはしっかりと付いています。なおデュラシールの部分が茶色く劣化しておりますが、これは今後歯型を取り丈夫な詰め物を作成していく予定ですので問題ございません。

次に、脱臼をしていた右上の前歯2本ですが正常な位置に落ち着いたことがパノラマレントゲン写真からわかります。また骨折線もなくなり骨も回復に向かっていました。更に3DCT写真をみると、脱臼により飛び出ていた前歯2本が正常な位置に戻っているのも確認できました。

怪我をした当初は出血、そして歯が欠けたことにショックを受けていた患者様ですが、1ヶ月後に落ち着いた歯をみてひとまずは安心していただけました。私たちビバ歯科スタッフも患者様の笑顔をみて一同ホッとしたのを覚えています。

 

**最後に**

ビバ歯科・矯正小児歯科ではかねてからのご案内通り、完全ご予約制でのご案内としております。患者様の大切な時間を治療にあてるので出来る限り待ち時間をなくしたいという想いで始めました。そして依然として猛威を振るっている新型コロナウイルスの感染対策で院内での密を避けるためにも、ご来院時には事前のお電話でのご予約をお願いしてきました。しかし、今回のような急患の方がお見えの際には一刻も早い処置が必要なため、先にご案内することもございます。なぜなら歯が抜けてしまった場合などは一刻も早く外傷部位を処置し元に戻すための治療が必要になるからです。

その際にはご予約の患者様方には大変ご迷惑をお掛けして恐縮ではございますが、ご理解ご協力いただければ幸いでございます。今後ともに地域の皆様の歯、お口の健康をお守りするべく誠心誠意治療につとめてまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。