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12歳児のむし歯が過去最低!
こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
少し前の話になりますが、昨年11月に学校保健統計調査(令和4年度⁂)の確定値が文部科学省から公表されました。この調査は幼児・児童及び生徒の発育及び健康の状態を明らかにすることを目的に昭和23年度より毎年実施されているものです。身長・体重のように発育状態を診るものから眼・耳・口などの疾患を診るものまで多岐にわたります。その中でう蝕(うしょく)いわゆるむし歯の本数も調査の対象です。
⁂令和5年11月になって令和4年度の数値が発表されるのは集計に時間がかかるためです。
上のグラフは治療していないむし歯がある子どもたちの割合です。全ての学校段階においてピーク時(昭和40~50年代)より減少傾向にあります。
(青…幼稚園/紫…小学校/緑…中学校/橙…高等学校)
さらに令和4年度と令和3年度を比較したものが以下の表です。少しずつではありますが直近の年度においても全ての学校段階においてむし歯のある子どもの割合が減っていますね。
目次
12歳児のDMF歯数は過去最低!
ところで学校保健統計調査の中には「永久歯の1人当たり平均むし歯等数」という区分があります。調査対象は12歳児です。そして令和4年度の調査では12歳児の平均むし歯等数が“過去最低”を更新しました。過去最低と聞くと悪いことのように聞こえますが、実はこれ素晴らしいことなのです。歯科医院に身を置くものとして毎年この数値をドキドキしながら見守っています。この数値についてもう少し詳しくお話しますね。
むし歯等数とはいわゆるむし歯の経験がある歯のことです。これを歯科用語ではDMF歯数と呼びます。英語の頭文字をとったものですがそれぞれで見るとその意味がわかりやすいです。
D(Decayed teeth)・・・治療していないむし歯(放置するとヤバイ)
M(Missing teeth)・・・むし歯が原因で失った歯(もう戻らない)
F(Filled teeth)・・・むし歯の治療をした歯(2次むし歯に注意)
これらをひっくるめたものが平均むし歯等数です。令和4年度の調査では12歳児のDMF歯数は0.56本と令和3年度の0.63本よりも0.07本減少したという結果になりました。これは過去最低の数値です。しかも昭和59年度の調査開始時の4.75本以降減少を続けているから驚きです。とは言え、歯のプロとしてはいくつかの理由が思い当たります。それを以下に書きますね。もしこの平均値よりむし歯の数が多い子がいらっしゃればぜひ参考にしていただければ幸いです。
なぜむし歯の本数が減ったのか?
生えて間もない歯というのは十分な硬さがなくむし歯になりやすいです。さらに初めて生える永久歯(6歳臼歯)というのは歯列の一番奥でとても磨きにくくこちらもむし歯になりやすいと言えます。それにも関わらず子どもたちのむし歯の本数が毎年減少を続けるのはなぜなのでしょうか。
フッ化物塗布事業の広まり
皆さんは歯科医院でフッ化物(以下フッ素)を塗ったことがありますか?「フッ素はむし歯予防になる」ということをどこかで耳にしたことがある方もいらっしゃるかと思います。保健所や歯科医院で幼児が歯にフッ素を塗ってもらう“フッ化物歯面塗布”、保育園や学校などでフッ素の水溶液でうがいをする“フッ化物洗口”などのフッ化物塗布事業の広まりが子どもたちの歯をむし歯から守っていると考えられます。なおフッ素の役割は主に3つです。
1)歯の質自体を強くする
歯の表面のエナメル質を構成する結晶にフッ化物イオンが取り込まれると酸(むし歯の原因)に溶けにくい丈夫な歯質になります。
2)歯の再石灰化を促す
歯は食事の度に溶かされてカルシウムなどが溶け出します(=脱灰)。しかしその後だ液の働きにより再びカルシウムは歯に取り込まれて修復されます(=再石灰化)。これらを繰り返すことで歯はボロボロにならずに保たれているのです。そしてこの時だ液中にフッ素があると再石灰化が起こりやすくなるのです。
3)歯垢の生成を抑えます
歯垢の中にフッ素が留まり、むし歯菌の活性を抑えて酸を作らせないように働きかけます
オーラルケアグッズの普及
歯みがきの時間にみなさんはどんなケアグッズを使っていますか?最も基本なのは「歯ブラシ&歯磨剤」のペアかと思いますが、実は『それだけではちょっと物足りないなぁ』というのが私たち歯科スタッフの本音です。以前こちらのブログでタフトブラシについて触れましたが、歯と歯の間の汚れや歯と歯ぐきの境目の汚れを除去するには通常の歯ブラシだけでは力不足なのです。そこでプラスアルファのケアグッズとして長年おすすめしているのが歯間ブラシやフロスなどの活用です。歯間ブラシは高齢の方が使うものと誤解されている場合もありますが、歯と歯の隙間が広い方は年齢問わず使用していただいてOKです。よって、例えば空隙歯列(くうげきしれつ)いわゆる“すきっぱ”のお子様などではとても効果的に汚れの除去ができます。
なお、現在歯科医院だけではなくドラッグストアやオンラインショップでも様々なオーラルケアグッズが販売されています。それは大人用だけではなくお子様専用のものもあります。例えば子ども専用の歯磨剤、フロス、そして洗口液などです。
ここで、ビバ歯科で販売中のグッズをご紹介します。ビバ歯科に通われるお子様方は矯正治療中の子が多いです。そして矯正治療中は矯正装置に食べかすが溜まりやすいため、徹底したお口のケアが必須になります。そのため多くの保護者様がお子様のためにとケアグッズをお求めになっています。
▲ Check-Upジェル
フッ素配合のジェルです。研磨剤は含まれておらずまた低発砲のため泡立ちにくいのが特徴です。ジェルを歯面に塗布するようにすることでフッ素が長くお口の中に留まります。香味もバナナ・グレープ・ピーチなど様々あるのでお子様のお気に入りのフレーバーでケアすると楽しく続けられます。なお2023年1月に年齢ごとに推奨されるフッ素の使用量と濃度に変更がありました。以前のブログ『フッ素入り歯みがき剤の使い方』で詳しくお話しています。
▲こども用フロス
お子様のお口のサイズにも使いやすいようにコンパクトなフロスです。持ち手の部分にはお顔が描かれ、色も可愛いのでお子様の興味を惹きつける工夫が施されています。ちなみに歯ブラシで丁寧にブラッシングしたとしてもプラーク(歯垢)の除去率は60%程度にとどまります。しかし、フロスも併用することでプラークの除去率は80~90%まであがると言われています。ぜひお口のケアに1本追加してあげたいですね。
▲ Check-Up洗口液
お口に含んでブクブクすすぎ、吐き出すだけのケアグッズです。液体タイプのため歯の表面隅々まで行き渡り、歯面をフッ素でコーティングできます。そのため就寝前の使用がおすすめです。なおこちらはノンアルコールタイプのため刺激がなくお子様でも安心してお使いいただけます。
▲タフトブラシ(ワンタフトブラシ)
毛束が1つのヘッドが小さな歯ブラシです。通常の歯ブラシでは毛先が届きにくいような部分の清掃に最適で、小回りがきくのが特徴です。主に「歯と歯の間」や「歯と歯ぐきの境目」の汚れを落とすのにオススメです。
保護者様の意識・関心の高まり
先の2つに並んでこちらも子ども達のむし歯の減少に大きく影響していると思います。親御さんがお子様の健康のために、「仕上げ磨きなどの口腔内ケア」、「矯正治療のための歯科通院」など精一杯尽力されていることが数値にあらわれていると言っても過言ではないはずです。また少子化により一人の子どもにかけられる時間や労力が増えたこともお口のケアの高まりにつながっているかもしれません。加えて、インターネット及びSNSの普及により、“誰でも”、“簡単に”、情報を獲得できるといった生活環境の変化も大きいと思います。
※ビバ歯科もブログに加えて、X(旧Twitter)やInstagramで歯科情報の発信をしています。ぜひこちらからご覧ください。
歯科医院による予防歯科
昔と比べ歯科治療の位置づけがかわってきたことも大きいと思います。昔は「歯医者さんは痛くなってから行くところ」という考えでしたが、現在では「歯医者さんは痛くならないために行くところ」と意識が変わってきているようです。ビバ歯科でも行っておりますが、予防歯科のための定期検診もその1つです。むし歯になってから痛い思いをして治療するのではなく、むし歯にならないように定期的に歯医者さんに通ってお口の中のメンテナンスをするのです。そして何より重症化したむし歯治療となれば、治療に何度も足を運ぶことになり時間的にも金銭的にも負担がかかります。そう考えると痛い思いをする前に予防として歯医者さんに通った方が気持ちも楽ですよね。ちなみに先述のフッ化物塗布以外にもお子様にはシーラントという歯の溝を埋める予防措置をしています。シーラントとはレジンなどのプラスチック樹脂です。歯の溝にはプラークが溜まりやすいためその溝をなくすことでプラークの蓄積を防ぎます。またシーラントにはフッ素が含まれているため副次的な効果で歯の表面を強化することにも期待できます。さらに健康保険が適用です。
さて今回のブログでは学校保健統計調査(令和4年度)の数値をもとに、子どもたちのむし歯の罹患数について考えてみました。子育て中のお父さんお母さん、お子様のむし歯の本数は何本でしたか?もし平均よりも多いというようでしたら今回ご紹介したフッ素塗布やケアグッズの活用などを試してみてはいかがでしょうか。
最後に
「〇〇についてブログに書いてほしい」などのリクエストや「△△って何?」などのご質問も随時受け付けております。以下いずれかよりぜひご連絡いただければ嬉しいです!
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医院概要
医院名 | ビバ歯科・矯正小児歯科 |
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