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”かわいい”だけじゃ済まされない!お口ポカンは病気です。
こんにちは! JR総武線東船橋駅南口ロータリー内にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
気が付けば12月も2週目に入りいよいよ師走の足音が聞こえてきましたね。数年前まではこの時期になると忘年会、新年会とウキウキする季節ではありましたが、今年も残念ながらそういった行事は自粛になりそうですね。
と言うのも、全世界で猛威をふるっている新型コロナウイルスの新たな変異株“オミクロン株”がついに国内でも感染確認がされたからです。ビバ歯科・矯正小児歯科も医療機関の1つとして感染拡大防止のためにスタッフ一人ひとりが気を付けていく所存です。
さて、今日は『お口ぽかん』のお話をしていきます。お子様をお持ちのお父さん、お母さんなら聞いたことがあるかもしれませんね。ぜひ最後までお付き合いください。
お口ポカンは病気です。
ふとお子様の様子を見た時に、
「あら、うちの子お口が開きっぱなしだわ」、「お口がポカーンとしているぞ」なんて感じたことはありませんか?
当院の患者さんの中にも、テレビを観ているときや、寝ているときなどにお口が開いている症状がある子が少なくありません。
ブログを書いている私自身幼い頃、テレビや読書に夢中になっている時にお口がポカーンと開いていたようで、親に度々注意されたのを覚えています。その時は「だらしがなく見えるから、ちゃんとお口閉じなさい」と諭された記憶があります。しかし、ビバ歯科で働くようになり「歯」のことを勉強するようになると、驚くべき事実を知ることになったのです。そうです、実はこのお口ポカンは『病気』なんですね。そしてもう1つ、他の病気を誘発する『要因』にもなりうるのです。
もしご自身のお子さまや周りのお子さまにお口ポカンの子がいたら、「あら、ポカンとしちゃってかわいいわねぇ」ではなく、「●●だから、お口ポカンは要注意よ!」とぜひ知らせてあげてほしいのです。
「お口ポカン」というとちょっと可愛い聞こえ方をしますが、これは医学用語で『口唇閉鎖不全』と言います。これは食べる、話すなどの口の機能が十分に発達していない病気である口腔機能発達不全症という症状の1つでれっきとした病気です。結論だけ先にいってしまえば、この口唇閉鎖不全、いわゆるお口ポカンが原因で歯並びが悪くなったり、むし歯になったり、そしてもっというとお口の中だけではなく顔貌の変化、全身にも影響を与えかねません。
次節以降ではお口ポカンの原因、引き起こされる悪影響、そして治療方法について詳しく説明していきます。
お口ポカンの原因
お口をポカンと開けたままにしてしまうのはお子様の不注意とおもわれがちですが、そこには「お口を閉じるのが難しい理由」が隠れている可能性もあります。一例をあげますね。
- アレルギー性鼻炎で鼻がつまり口呼吸をしている
- 舌が正しい位置にないことや舌の誤った使い方をしているなどの舌癖がある
- 口輪筋(お口の周りの筋肉)が弱いため、口を閉じることができない
- 出っ歯や受け口など歯並びが悪いため、口を閉じることができない
- 肥満により鼻での呼吸がしづらく口呼吸をしている
お口ポカンが招く悪影響
続いてお口ポカンによるリスクの例をあげていきます。お口の中だけではなく、顔貌や全身に悪影響を及ぼすのです。
◎むし歯や歯周病のリスクが上がる
お口をあけたままにすると、お口の中が乾き唾液の分泌量が減ります。唾液には口内細菌や食べカスを洗い流す自浄作用や口内に侵入した細菌の活動を抑制する抗菌作用があり、共に細菌の繁殖を阻害する重要な働きがあります。
成人の場合1日に1リットル以上も分泌される唾液ですが、この分泌量が減少することでお口の中に細菌が繁殖しやすくなりむし歯や歯周病のリスクが上がってしまいます。
◎口が臭うようになる
先述の通り、お口をあけたままにすると口腔内が乾き唾液の分泌量が減ります。いわゆるドライマウスの症状です。
すると唾液の自浄作用、抗菌作用がうまく働かなくなり口腔内の衛生環境が悪化し細菌が繁殖します。すると歯周病菌が硫化水素系のガスを、そして口腔内細菌が食べカスなどのタンパク質を分解・発酵する過程でガスを発生します。これらのガスは「卵が腐ったようなニオイ」や「生ごみのようなニオイ」などと例えられることが多く、口臭の正体です。これだけでも思わず顔をしかめたくなりますよね。
◎歯並びが悪くなる
お口ポカンの場合、舌が正しい位置に維持できていないため、低位舌になる可能性があります。低位舌とはその字の通り、舌が下顎の方にだらりと低く下がっている状態を指します。ちなみに、舌の正しい位置はスポットポジションと呼ばれています。上顎の真ん中の前歯2本の真裏にある膨らみをスポットと言い、舌先がこのスポットにあたり、舌全体が上顎に吸い付いている状態が正しいとされています。
低位舌の場合、舌が下の前歯の裏に押し付けられ、下顎の歯に余計な力が加わることになります。そうすると、反対咬合(受け口)や空隙歯列(すきっ歯)などの原因になります。
また、低位舌の場合、舌が常に下顎の方にあるため、上顎の成長に必要な口腔内から外に向かって押し出す舌の力が不足します。そのため、上顎に十分なスペースができず歯が正しい位置に生えてこられなくなってしまうのです。これは上顎前突(出っ歯)や叢生(乱ぐい歯)などの原因になります。
◎風邪やインフルエンザなどの病気にかかりやすくなる
先ほどお口ポカンの原因に鼻づまりによる口呼吸と書きました。この“気が付いたら口呼吸をしている”というのは非常に危険です。ヒトの呼吸というのは鼻呼吸が正しいとされています。なぜなら鼻呼吸をすることにメリットしかないからです。鼻の粘膜というのは、体外の空気を肺呼吸に都合がよいように調節する働きがあります。例えば、鼻毛や鼻汁で埃や花粉、ウイルスなどの異物を絡めとるフィルターの役割、そして体外の空気を加温、加湿して体内に送り込むことで粘膜や肺への負担を減らしています。ところが、口呼吸の場合これらの働きがないため、菌やウイルスなどの異物を含んだしかも乾燥した冷たい空気をそのままダイレクトに体内に取り込むことになり、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるのです。特に現在は新型コロナウイルスの感染対策のたのためにも要注意です。
◎姿勢が悪くなる
お口をあけたままにすると、肺への空気の通り道いわゆる気道が狭くなり“顎を前に突きだし、猫背のような前かがみの姿勢”になることがあります。狭くなった気道を前方方向に出すことによって呼吸がしやすいようにしているのです。しかし、結局は猫背だと呼吸がしづらいため、更に口を開けることになります。まさしく悪循環です。
特に現代ではスマートフォンの操作やゲームをする際に猫背になりがちなので注意が必要です。ただ、当人は酸素を取り込むために必死になって喘いでいる可能性もあるので、ただ単に「姿勢を正しなさい」というのは得策ではないかもしれません。もし見かけたらお口ポカンや口呼吸の気がないか確認してあげましょう。
◎顔貌に歪みが起こる
成長期にお口ポカンの状態が継続した場合、口周りの筋肉や顎骨の発達が十分でなく、顔の歪みが生じることがあります。このお口ポカンや口呼吸特有の顔つきのことを専門用語で「アデノイド顔貌」と呼びます。
(アデノイド顔貌の特徴)
- 顔が全体的に長いロングフェイスかつ鼻が上を向いているアップノーズ
- 下顎が小さく、逆三角形のような顔の形
- 出っ歯で口元全体が前方に突き出ているいわゆる口ゴボ
- ぶ厚くて乾燥した唇
- 顎と首の境目がはっきりしない二重顎や、小さく後退した下顎
お口ポカンを治す方法
ここまででお口ポカンの原因や主な症状を知っていただけたかと思います。治療方法についてはその原因によって様々ですが以下に代表的な治療方法をご紹介しますね。
・歯科での歯科矯正治療
出っ歯や受け口などの歯並びの悪さが原因で口が閉じにくい=お口ポカンの場合は「歯」のプロである歯科にかかりましょう。私たちビバ歯科では小児から成人まで年齢制限なく歯科矯正をおこなっております。その患者様の生活環境にあわせてベストな矯正方法をご提案させていただきますのでぜひ一度ご相談下さい。
・耳鼻咽喉科での治療
慢性的な鼻炎、アレルギー性鼻炎などが理由の口呼吸は「鼻」のプロ耳鼻咽喉科にかかりましょう
・口周りの筋肉や舌の筋肉を鍛える
舌癖があったり、気が付いたら口が開いたままになっていたりする場合、口周りや舌の筋肉の弱さが原因かもしれません。そこで口周りの筋肉バランスを鍛えたり正しい舌の動きを覚えたりするための訓練法があります。それがMFT(Oral Myofunctional Therapy;口腔筋機能療法)です。様々な療法がありますが、今回は「いつでも」「どこでも」「誰にでも」できる方法をご紹介します。それは福岡県にあるみらいクリニックの今井一彰先生が考案された『あいうべ体操』です。
特に道具はいりません。次の4つの動作を順に繰り返していきます。声は出しても出さなくてもかまいません。
- 「あー」と口を大きく開く
- 「いー」と口を大きく横に広げる
- 「うー」と口を強く前に突き出す
- 「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす
- 1~4を1セットとし、1日30セットを目安に毎日続けます。
お子様向けのアニメーション動画がYouTubeにありましたので、ぜひこちらからご覧下さい。
**歯科矯正中の方必見*
ちなみにこのMFTで継続的に筋肉へアプローチすることで、正しい歯並びを維持しやすくなります。
筋肉の働きに偏りがある状態で矯正治療を受けると、矯正期間が長くなったり、治療後に歯が動いたりする可能性があります。そのため、当院でも矯正治療と並行してMFTの指導・案内をしております。
最後に…
お口ポカンについての記事が2021年11月の読売新聞に掲載されていましたので紹介します。記事によると、3~12歳の3399人を対象にした全国調査で、子どものお口ポカンの有病率がおよそ3割に上ったということです。10人に3人がお口ポカンですから結構な確率ですよね。なお、食べる・話すなど口の機能が十分に発達しない、歯が生えてくるのが遅い、強く噛めないなどの問題を抱える15歳未満のお子さまには「口腔機能発達不全症」として2018年から指導に公的医療保険が適用となりました。今回話題にした口唇閉鎖不全すなわちお口ポカンもその要素の一つで、昨年春から検査に保険が認められるようになりました。それに伴い発達不全が認められるお子様は、歯科において専用器具を用いて口の周りの筋肉を鍛えて改善を図るなどの指導が保険診療で受けられることになりました。ビバ歯科でも、問診のほか、舌圧や口唇閉鎖力などを測定しそのお子様に必要なトレーニング指導をおこなっていきます。お口ポカンで悩んでいるお子様をお持ちのお父さん、お母さん、ぜひ一度ご相談下さいね。
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