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ベロ(舌)は宝物!

こんにちは。千葉県船橋市東船橋にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

今日は子育て中のママ・パパにぜひ読んで頂きたい内容です。テーマはお子様の「舌」についてです。

まずは皆さんお手元に鏡をご用意ください。そして鏡に向かってお口をアーンとあけて舌の裏側を見てみましょう。舌の裏側中央にはひも状のヒダが見えますね。これを専門用語で舌小帯(ぜつしょうたい)といいます。

次にもう1つ、今度は鏡を見ながら舌をベーと突き出してみましょう。その際舌の先端がハートのようにくびれてはいませんか?このような症状がある方は“舌小帯短縮症”(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)の可能性があります。ただハート舌はあくまで一つの目安であり実際には様々な症状を診て総合的に判断します。このあと詳しく説明していきますね。

 

舌小帯短縮症とは

舌小帯短縮症(*)とは舌小帯の異常のことです。具体的には「舌小帯が短すぎる」、「舌小帯が舌の至極先端から歯ぐきにむかって伸びている」などの状態です。舌の動きが制限されてしまうため様々な弊害が起こります。おおよその目安にはなりますが、ご家庭でのセルフチェックも可能です。以下のイラストを参考にぜひ試してみてください。

(*)舌小帯癒着症、舌小帯強直症、舌小帯過張症などとも呼ばれています。

舌小帯短縮症のセルフチェック

お口を最大に開けたときの舌の位置をチェックしましょう。特に舌が半分の位置までもあがらない場合には一度歯医者さんで診てもらうことをおすすめします。

 

舌小帯短縮症が引き起こす問題

舌小帯短縮症では舌の動きが制限されるため様々な弊害が起こります。

舌小帯短縮症の患者様 (舌小帯が短いため舌の可動域が狭い)

 

症状について

(乳児期)
・哺乳障害
赤ちゃんの乳房への吸い付きが悪い “浅飲み”になったり、そのせいで十分な授乳ができずに赤ちゃんの“体重が増えなかったり”します。また舌で上手に吸えない分、赤ちゃんが歯ぐきで乳首を挟んで吸うため、母親の乳首の痛みの原因にもつながります。

 

(幼児期~)
・発音障害
特に舌先をつかう「ラ行、タ行、サ行」の発音が不鮮明になったり、舌足らずな話し方になったりします。

 

・咀嚼障害

食べこぼしが目立ちます。通常固形物を食べる場合にはまず前歯で噛み、口に入った食べ物を上下の奥歯で嚙み潰して唾液と混ぜて飲みこみます。しかし舌小帯短縮症では舌の動きに制限があるため、嚙み切った食べ物を奥歯の方に上手に移動することができず、その結果食べこぼしが起こります。

 

・口呼吸気味
舌小帯が短いと舌が気道(空気の通り道)を邪魔するため呼吸がしにくくなります。また、舌の位置が通常より下に位置しているため、筋肉のバランスが崩れて気道が狭くなりそれも口呼吸を引き起こす原因となります。ヒトは鼻呼吸が正常とされており、口呼吸が常態化するとお口の中が乾燥し、むし歯・歯周病そして口臭などのリスクがあがります。

 

・いびき、睡眠時無呼吸症候群
上記の通り舌小帯が短いと舌の位置が下がり気道が狭くなります。そのためいびきをかいたり睡眠時無呼吸症候群になりやすくなったりするのです。特に睡眠時無呼吸症候群は日中の眠気を生じたり、高血圧、心筋梗塞、心不全、脳梗塞などの合併症のリスクが高くなったりするため注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群については以前のブログ『たかがイビキ?本当は怖い睡眠時無呼吸症候群』で詳しく書いておりますのでぜひご覧ください

 

ではどうして歯医者であるビバ歯科がこんなにも舌小帯について熱く語っているかというと、舌と歯には切っても切れない密接な関係があるからです。それはズバリ・・『歯並び』です。具体的な歯並びの乱れ(不正咬合)についてお話する前にまずは舌と歯の関係について簡単に説明します。

舌のベストポジション

みなさんにもお家の住所があるように、舌にも正しい位置があります。それを専門的にはスポットポジションと呼びます。上顎の真ん中の前歯2本の真裏から歯ぐきの方に舌でなぞってみてください。するとそこに膨らみがありますよね?その膨らみをスポットといいます。舌先がこのスポットにあたり、舌全体が上顎に吸い付いている状態が舌の正しい位置、すなわちスポットポジションです。

 

しかし舌の位置がこのスポットポジションに収まらず、舌が下顎の方にだらりと低く下がっている場合があります。いわゆる低位舌(ていいぜつ)です。歯の並びというのは唇や頬の筋肉、そして舌の筋肉のベストバランスにより正常に整います。すなわち舌がスポットポジションに位置するというのは歯並びに直結するのです。

 

【補足】スポットポジションがわかりにくい方は試しに唾(つば)を飲み込んでみてください。唾を飲み込む時に舌先があたる部分がスポットです。もしこの時に舌先がスポットから離れ歯に当たってしまうという人は舌癖があるといえます。舌癖とは嚥下の際に舌を上下の歯の間に挟んだり、舌で上もしくは下の歯を押したりする癖を指します。いずれも舌の力が歯に伝わり歯並びが乱れる原因になります。

 

歯並びへの悪影響

舌小帯短縮症による舌の可動域制限、低位舌のお話をしてきました。ここからはどのような不正咬合が起こるのか具体的に紹介していきます。

開咬(オープンバイト)

奥歯は噛んでいても、前歯が噛み合わずに常に前歯が開いている状態

空隙歯列(くうげきしれつ)

前歯の間に隙間が生じます。いわるゆすきっ歯です。スポットポジションに収まらず低位舌となった舌が前歯を裏側から押すことが原因です。

上の歯の叢生

歯が部分的に重なりあうなど凸凹に生えている状態。上顎は舌が押し付けられることにより広がり、そこに歯が生えるためのスペースを確保します。しかし、舌が上顎に押しあてられないこと(低位舌)で上顎の成長不足が起こり、歯が並びきらず凸凹とした歯並びになります。

下顎前突

下の顎が上の顎より前に出てしまう、いわゆる受け口。低位舌のため、舌が下の前歯の後ろに接し常に前歯を押すことになり受け口になります。

いかがですか。舌小帯短縮症はこんなにも様々な歯並びの乱れを引き起こすのです。最後に舌小帯短縮症の治療法について見ていきます。

 

舌小帯短縮症の治療法

発音や嚥下機能などに問題がなく軽度な場合には経過観察をすることもありますが、中等度以上の症状が明らかな場合には、将来的に起こりうる障害を予測し治療方針を決定していきます。治療方法は大きくわけて2つあり、1つはトレーニングによる治療、そしてもう1つは外科的処置による治療です。

 

機能訓練(舌小帯を切らないで治す)

  • 口腔筋機能療法(MFT:Oral Myofunctional Therapy)…舌の位置と筋肉を鍛えていく方法です。更に唇や頬などといった口周りの筋肉全体のバランスを良くする効果もあります。様々なトレーニング方法があるため、まずは現状の問題点を診査し、患者様の状態にあったトレーニングを選択していきます。本ブログでは「いつでも」「どこでも」「誰にでも」できる方法をご紹介します。それは福岡県にあるみらいクリニックの今井一彰先生が考案された『あいうべ体操』です。特に道具はいりません。次の4つの動作を順に繰り返していきます。声は出しても出さなくてもかまいません。

「あー」と口を大きく開く
「いー」と口を大きく横に広げる
「うー」と口を強く前に突き出す
「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす

1~4を1セットとし、1日30セットを目安に毎日続けます。

あいうべ体操については以前のブログ『”かわいい”だけじゃ済まされない!お口ポカンは病気です』でもご紹介しておりますのでぜひそちらもご覧ください。

 

  • マウスピース…歯科矯正用のマウスピースと同様に取り外しができるタイプの矯正装置で舌を正しい位置に誘導します。当院ではトレーナー(T4K等)、ムーシールド、プレオルソ、そしてマイオブレイスを主に使用しています。

T4K:毎日日中の1時間と就寝時に上顎に装着します。タンタグと呼ばれる突起部分舌が触れるようにすることで舌を正しい位置に誘導します。またタンガードが舌を前に突きだすことを防止し鼻呼吸に導きます。

ムーシールド:毎日日中に2時間以上及び就寝中に上顎に装着します。またその際舌を装置の上にのせてあげることで低位舌になった舌の位置を正しい位置(スポットポジション)に誘導します。こちらは下顎前突(反対咬合)の患者様用です。

プレオルソ:毎日日中1時間以上及び就寝中に上顎に装着します。プラスチックのようなレジン素材ではなくポリウレタン製の“柔らかい素材”のため、装着感が非常に良いのが特徴です。低位舌の改善に加えて、舌やお口周辺の筋肉を鍛えることで正しい歯並びへ導きます。

マイオブレイス:毎日日中1時間及び就寝中に上顎に装着します。またそれと共に1日数分のトレーニングが必要です。舌をスポットポジションに正すことで呼吸、嚥下の改善はもちろんのこと、不正咬合になりうる根本原因を取り除きます。

 

外科的処置(舌小帯を切って治す)

舌小帯切除術・・・局所麻酔後に舌小帯(舌の裏の筋)を切除します。多少の出血はありますがガーゼで圧迫し止血できるため、縫合の必要がなく患者様のご負担が少ないのが特徴です。傷口は1週間程で治癒します。また保険適応です。なお、外科的処置のあとに先述の機能訓練を併行していくこともございます。こちらは患者様個々の症状にあわせてご案内します。

今回は舌小帯短縮症についてご紹介させていただきました。子育て中のママさん・パパさん、もしお子様に発音障害や嚥下障害があればぜひ一度舌小帯の様子をご確認下さい。またご両親いずれかが以前に舌小帯短縮症だったとしたら遺伝の可能性もあります。先にあげた舌小帯短縮症のセルフチェックで半分以下しかあがらない場合にはぜひ一度ビバ歯科・矯正小児歯科までご相談下さいね。