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お子様の永久歯、全部そろっていますか?~埋伏歯の存在
こんにちは! JR総武線東船橋駅南口ロータリー内にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
みなさん、『埋伏歯』という言葉を聞いたことはありますか?
これは「埋まって伏せている歯」という漢字の通り、骨の中や歯ぐきの中に埋まったまま出てきていない歯のことをいいます。自力で萌えることができないため、場合によっては手術による処置が必要になることもあるのです。
ちなみに埋伏歯の一番身近な例は、親知らずです。親知らずは前から数えて8番目の歯で正式名称を第三大臼歯といいます。永久歯の中で一番最後に生えてくる歯です。そのため、萌える場所が残されておらず真っすぐ完全な形で生えそろう人は稀です。多くの人が骨の中に埋まったまま出て来なかったり、出てきても半分だけだったり、また斜めや横向きに萌えてきたりします。そのため、歯ブラシが上手く届かずにむし歯や口臭などの原因になります。ただ親知らずの場合、完全に埋まっているだけで隣の歯などを押すなどの悪影響がなければ、一般的には抜歯は必要ありません。
ところが他の歯だったらどうでしょう?
前歯であれば会話の際の発音に関わりますし、奥歯であれば食事の際に食べ物を噛むのに不便です。また見た目的にも気になるところだと思います。正常であれば成長と共に萌えてくることができますが、埋伏歯は自力で萌えることができないためその経過によっては外科的な手術を要します。当院でも10代前半の患者様で埋伏歯の治療を行っている方は時々いらっしゃいます。そこで今回は埋伏歯の治療方法についてご紹介していきたいと思います。
埋伏歯の種類
埋伏歯はその埋伏具合によって大きく3つに分けられます。
◎完全埋伏歯
歯が骨の中もしくは歯ぐきの中に完全に埋まっている状態
◎不完全埋伏歯(もしくは半埋伏歯)
歯の一部分だけ見えている状態
◎水平埋伏歯
真横を向いて埋まっている状態
埋伏歯の原因とその影響
- 歯が萌えるのに必要なスペースが不足している
- 歯が萌える方向に問題がある
- 乳歯が早期に脱落してしまう
- 歯と骨が癒着している
- 過剰歯が邪魔をしている
(*過剰歯:正常な歯の本数よりも多く歯があること。永久歯は28本、親知らずを含めると32本)
更に埋伏歯があると、その前後の歯が押されて歯並びが悪くなったり、永久歯が萌えて来られなくなったり、また嚢胞といった水ぶくれのようなできものの原因にもなります。そのため埋伏歯を確認した場合には適切な治療が必要です。親知らずの埋伏であればほとんどの場合が抜歯を行いますが、それ以外の歯の場合には正常に萌えられるよう他の治療方法を行うことが一般的です。
埋伏歯の治療方法
埋伏歯の治療の多くは“開窓牽引”です。これは、歯ぐきを切開し(開窓)、埋まっている歯に特殊な器具をつけそこにゴムのチェーンを装着して適切な位置まで引っ張りだす(牽引)方法です。
以前ビバ歯科・矯正小児歯科に通院中の患者様に埋伏歯があることがわかり開窓牽引による手術をしました。
10代前半で永久歯が萌えてくる時期でしたが、左下の5番目だけなかなか萌えてこず、パノラマ写真により埋伏歯と診断しました。
このままでは、5番の歯が欠損したままになり日常生活に影響があること、そして6番の歯にぶつかっているため歯並びにも影響がでる可能性があるため、開窓牽引をすることにしました。
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その後、術後1ヶ月ほどで埋伏歯だった左下5番の歯が萌えてきました。現在も経過観察中ですが経過は良好です。
なお、今回は当院に長年ご通院頂いている患者様のため、左右の永久歯で生え変わるのに大きく期間が開いていることに気がつきました。また今回は埋伏歯でしたが、中には生まれつき歯が存在しない先天性欠如の可能性もあります。
まだ幼いお子様に外科的な手術を受けさせることは保護者様にとって不安もあるかと思いますが、先述の通り、埋伏歯を放置してしまうと、歯並びに影響が出たり、隣の歯の歯根にぶつかってその歯根を吸収してしまったりすることがあります。歯根吸収が起こると歯根部分が短くなり後々に歯がグラグラになることもあるのです。ゆえに「反対側の歯が生え変わってしばらく経つのに、なかなか永久歯が生えてこない(埋伏歯)」や「乳歯が抜けてしばらく経つのに永久歯が出てこない(先天性欠如)」などの症状がある場合には、早めにかかりつけの歯医者さんにご相談されることをおすすめします。