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子どもの歯が大きい?ひょっとしたら「癒合歯」かも

こんにちは。千葉県船橋市東船橋にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

今日は子育て中のママ・パパにぜひ読んで頂きたい内容です。テーマは癒合歯!
「え?ユゴーシ?」と聞きなれない言葉に戸惑ってしまうかもしれませんね。必ずしも早急に治療が必要なわけではありませんが、お子様の成長を安心して見守るためにはぜひ知っておいてほしい知識です。
なるべく専門用語をつかわず、イラストや写真で視覚的に説明していきます。7分ほどで読める内容ですのでぜひ最後までご覧くださいね。

 

癒合歯って何?

これは「ゆごうし」と読みます。簡単にいうと「2つ以上の歯がくっついた歯」のことです。“癒し合う歯”というネーミングに何だかほっこりしますが、本当にその通りで本来1本ずつ独立して生えるべき歯が、2本くっついて生えている歯のことを指します。以下のイラストのような見た目でうっすらと歯に溝があるのが特徴です。永久歯でもみられますが、乳歯での発生頻度の方が高く特に前歯(真ん中から数えて3番目までの歯)にみられることが多いです。

 

ちなみに癒合歯の原因は母体の疾患、服薬、ビタミンAの過剰投与などとの関連が示唆されていますが、母体の全身状態が良好で出産したお子様にも癒合歯の発生が確認されているため、その原因ははっきりと特定されていません。現時点で有力視されているのは、母体にいるときに歯胚(歯のもとになる種のようなもの)同士がくっついてしまうという説です。

 

癒合歯が起こりやすい部位

今回は乳歯で説明していきます。以前のブログ『歯は全部で何本?』でも触れましたが、まずは歯の役割について復習しましょう。乳歯は全部生えそろうと上下合わせて20本です。そしてその役割に応じて大きく3つのグループに分けられます。中央から「切歯」、「犬歯」、「臼歯」です。それぞれの役割は次の通りです。

切歯(せっし)・・イラストのAB

歯列の中央にあるいわゆる“前歯”で平たい形をしています。食べ物を嚙み切ったり発音の助けをしたりする大切な役割を担っています。

犬歯(けんし)・・イラストのC

前歯と奥歯の中央にある前から数えて3番目の歯、いわゆる“糸切り歯”です。食べ物を切り裂く牙に相当します。そのため他のどの歯よりも根っこが長く丈夫です。更に咬み合わせや顎の動きを正常に維持するという役割も担っており非常に大切な歯です。

臼歯(きゅうし)・・イラストのDE

歯列の奥にあるいわゆる“奥歯”で厚みがあります。食べ物を噛み砕いたり、すりつぶしたりする役割を担っています。

そして、実は癒合歯というのはこのグループ内でくっついて発生する確率が高いのです。例えば、切歯グループの「A乳中切歯」と「B乳側切歯」がくっつく、もしくは「D第一乳臼歯」と「E第二乳臼歯」がくっつく、といった具合です。そしてその中でも切歯いわゆる前歯で起こることが多いです。

 

実際の症例写真

次に実際の症例写真でみていきましょう。以下は当院に通院されているお子様のお写真です。この子の場合、上の左右の切歯(AB)そして右下の切歯(AB)が癒合歯です。他の歯と比較してやや歯が大きいことがわかると思います。またうっすらと筋のような黄みがかった線がみえますね。これは2本の歯がくっついた部分でその境目です。詳しくは後述しますが、こういった境目は溝になっていて歯垢(プラーク)がたまりやすく、むし歯リスクがあがります。

5歳女児:3か所に癒合歯が確認できる

 

お口をあけた状態でもみてみましょう。上の歯はより境目の溝がわかりやすくなりました。また右下の歯は左下の切歯1本あたりと比べると明らかに大きさが大きいですね。

更に同じお子様のパノラマ写真です。特に見ていただきたいのが上の前歯の癒合歯です。

はっきりと黒い筋がみえますね。これが2本の歯がくっついている境目です。

 

癒合歯の問題点と対処法

癒合歯自体は切断したり、もしくはすぐに抜歯をしたりするなどの必要はありません。しかし次のようなリスクがあることはぜひ知っておいてください。

 

むし歯リスクが高くなる

癒合歯ではその結合部位の溝にむし歯の原因となる歯垢(プラーク)が溜まりやすくなります。そのため、毎日の歯磨き、そして仕上げ磨きが大切なのは言うまでもありません。また特に溝が深い場合にはシーラントで溝を埋めるという予防措置をします。シーラントとはレジンなどのプラスチック樹脂です。シーラントにはフッ素が含まれていて副次的な効果で歯の表面を強化する効果も期待できます。またシーラントは保険適用のため、癒合歯でなくてもお子様のむし歯予防のためにおすすめです。

 

シーラントの写真(溝部分の白いのがシーラント)

 

永久歯への生え変わりを邪魔することがある

通常歯の生え変わり時期になると歯がぐらぐらし始め自然と抜け落ちますよね。これは乳歯の歯根(歯ぐきに埋まっている根っこ部分)が溶けるためです。これを専門用語で歯根吸収と呼びます。しかし癒合歯の歯根吸収が正常におこなわれず歯の交換時期になっても乳歯が抜けずに残ってしまうことがあります。癒合歯は2本の歯がくっついたものなので一方の歯根が吸収された後も、もう一方の歯根が吸収されずに残ってしまうということがあるからです。すると乳歯の癒合歯がその場所にいつまでも残ってしまい永久歯が適切な場所に生えてくることができません。その場合には歯医者さんで癒合歯を抜くことになります。

 

永久歯がないことがある

癒合歯に続く永久歯が欠損していることがあります。そのため癒合歯があるお子様の場合、生え変わり時期には特に注意してお口の中を観察することが必要です。18歳以上であれば歯が欠損している場合、インプラントなどの治療もありますが18歳未満では骨が成長途中のためインプラント治療はできません。しかしそのままにしておくと咬み合わせが悪くなったり、歯が移動する挺出(*ていしゅつ)が起こったります。そのため、欠損部位を他の歯でバランスをとるために矯正治療などを視野にいれる必要もでてきます。
ちなみに先ほどの症例のお子さまは下の歯は正常に永久歯が生えてきましたが、上の歯は左右共に2番(側切歯)が欠損していました。そのため現在も当院に通院されています。

(*) 挺出・・・以前のブログ『嗚呼、かんちがい~歯のお引越し』で詳しく説明しています。

 

審美的な問題

他の歯よりも大きいサイズであるため、前歯の場合には見た目が気になるという方もいます。これは極めて稀ではありますが、乳歯が癒合歯であると永久歯も癒合歯が生えてくることがあります。永久歯は一生付き合う歯ですからやはり審美的に気になり治療を希望される方もいらっしゃいます。その場合ラミネートべニアをつかって2本の歯に見えるようにする治療法があります。

 

子育て中のママさんパパさん、お子様の歯の様子はどうですか?歯の数が不足していたり、不自然に大きいサイズの歯があったりしたらそれは癒合歯かもしれません。ぜひ一度ビバ歯科・矯正小児歯科までご相談くださいね。