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指しゃぶりが歯並びへ影響するって知っていますか?
こんにちは! JR総武線東船橋駅南口ロータリー内にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
現在当院には、産休・育休中のスタッフが2名おります。たまに顔を見せてくれるのですが、その時はやっぱりお子様のお話で盛り上がるスタッフ一同です。先日話題になったのが、赤ちゃんの“指しゃぶり”についてでした。
小さなお口に小さな指をしゃぶっている姿は何とも言えないくらいかわいいですよね。
ただ、成長する中で指しゃぶりを卒業できないと、正常な成長に影響があることをご存じでしょうか。また、現在は新型コロナウイルス感染症のこともあり、衛生的にも心配なママ・パパも多いことと思います。そこで本日はこの指しゃぶりと子どもの成長、とりわけ歯並びとの関係についてお話していきます。
どうして指しゃぶりをするの?
生後2~3ヶ月ほどになると赤ちゃんの表情も豊かになってきますよね。特に、ニコっと笑顔を見せてくれるとより一層可愛さが増しますね。そしてちょうどこの頃から赤ちゃんの指しゃぶりが始まります。ただ、実は赤ちゃんの指しゃぶりはもっと前から始まっているんです。そうです、ママのお腹の中にいる時から指しゃぶりをしているんですね。もしかしたらエコー写真等で見たことがあるかもしれませんね。赤ちゃんは生まれてから上手におっぱいを吸えるように、ママのお腹の中にいる時から指しゃぶりをして練習しているのです。
また、赤ちゃんの口元に触れたり何かを近づけたりすると、しきりにお口をパクパク動かしますよね。そして唇や舌を使ってしきりに吸ってきます。これは『吸てつ反応』と呼ばれます。お口の周りに触れたものに吸い付くという反射運動のため、無意識におこなっているのです。赤ちゃんのおもちゃに“おしゃぶり”がありますが、これも赤ちゃんの吸てつ反応を利用した育児グッズです。
その他に次のような時にも指しゃぶりをすると言われています。
- お腹が空いている時
- 退屈で一人遊びをしている時
- 眠い時
指しゃぶりの影響にはどんなことがあるの?
赤ちゃんが指しゃぶりをする理由がわかったところで、その影響についてみていきます。なお指しゃぶりについては赤ちゃんの気持ちを落ち着かせるための精神安定剤としての効果や舌の感覚や味、形などを学ぶなどメリットもありますが、ここでは今後の成長に関わるデメリットについて書いていきます。
〇歯列・顎の発達への影響
歯列狭窄:指を吸う力によって上顎の歯列が狭くなり、歯列の形がV字型に変形します。
こうなると歯が並びきらずガタガタの歯並び(叢生)になるだけではなく、舌が後方に位置するようになり、いびきや睡眠時無呼吸症候群の原因になることもあります。
上顎前突:指の力により上顎の前歯が前方に傾斜します。また指しゃぶりで指をくわえる際に下顎を後ろに引くため、
上顎と下顎のかみ合わせがずれて、上顎の前歯が前に出てくる状態いわゆる出っ歯になります。
開咬:上下の前歯の間に隙間ができ、咬み合わなくなります。
これらは不正咬合と呼ばれ、歯科での矯正治療が必要になります。
〇口元・側貌への影響
指しゃぶりの時に緊張している口腔周囲筋ですが、吸っていない時にはその緊張が緩み、ぽかんとお口が開いたままの状態になります。いわゆるぽかん口です、常に緩んだ状態になり上唇は短く山型にめくれ上がった状態になります。
〇発音・機能面への影響
先述の不正咬合が原因で、上顎前突では前歯で食べ物が嚙みづらくなり発音も不明瞭になります。また開咬では前歯で噛むことができないので、奥歯の負担が大きくなり発音もはっきりしなくなります。特に、サ・タ・ナ行の発音を苦手とする子が多いようです。
更に、開咬の子の場合、舌突出癖が見られます。これは言葉の通り、舌を突き出す癖のことです。発音する時や物を飲み込む時に、舌を前歯の隙間から突出させるのです。これにより後に口呼吸の原因になることもあります。以前のブログでもご紹介しましたが、ヒトは本来鼻呼吸をする生き物です。私たちの鼻には空気中の菌類を体内に侵入させないようせき止める空気清浄機能がついています。しかし口呼吸になるとこの機能が働かないため、空気中の汚れをダイレクトに体内に取り入れてしまうことになり風邪などの感染症にかかりやすくなるのです。
〇衛生面への影響
手は色々なものを触るため、指先や爪にはたくさんの菌がついています。よってその指を口の中に入れてしまうのは
不衛生です。特に現在は新型コロナウイルス感染症の予防も考えると、指しゃぶりが習慣化している子は注意が必要です。
〇皮膚への影響
歯が生えてからも指しゃぶりを続けると歯がよくあたる指の部分に“吸いだこ”ができることがあります。この
吸いだこに細菌が入り化膿してしまうことも考えられます。また指のふやけ、口唇の乾燥にもつながります。
〇心理面への影響
指しゃぶりをやめるようにとママ・パパから叱られ続けると罪悪感や劣等感をおぼえてしまうこともあります。
なお、指しゃぶり=すぐにやめさせるべきもの、というわけではなく、卒業のタイミングがあります。個人差はお子様によってありますが、3歳までにはやめられるようにしていきましょう。
です。
指しゃぶりを卒業させるには
頭ごなしに「やめなさい!」と言ってもなかなかやめられないのが指しゃぶりです。大人でも同じですよね。美味しいお酒や、美味しいお菓子などなど、大人でも自分の好きなものを我慢するのはとても大変です。ですので、お子様が指しゃぶりをスムーズにやめられるようママ・パパが上手にサポートしてあげましょう。
- 絵本を読んだり、外遊びをしたりして、指しゃぶり以外のモノ・コトに興味をもたせる
- 手袋をしたり、包帯を巻いたりして指しゃぶりをしたときに違和感をあたえる
- お子様のお気に入りのキャラクターの絆創膏を指に貼ってお口にいれないようにする
- 赤ちゃん用品店で販売している指しゃぶり防止用のマニキュアを塗布する
なお、ビバ歯科・矯正小児歯科にも、なかなか指しゃぶりが治らないということでお困りのママ・パパからご相談を受けることがあります。基本的には先ほど書いたような方法で少しずつ指しゃぶりを卒業できるようにサポートしていきますが、「どうしても治らない」という場合には、悪習癖除去装置という矯正装置を用いた治療をすることもあります。こちらはワイヤーの矯正装置でお子様の口腔内に固定します。指しゃぶりの時に指が当たる上の前歯の裏側にワイヤーの突起物が数本あるため、指しゃぶりもしたくてもできない仕様になっています。ただ、食事のとりにくさなどがあるため、出来れば装置をつかった治療に進む前に、卒業させてあげたいですよね。
もし今指しゃぶりで困っているお子様がいらっしゃいましたら、少しずつでいいので指しゃぶりをやめられるようサポートし、健康的な歯並び、顎の成長をできるようにしてあげましょう。