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歯医者が震える四字熟語「歯牙損耗」

こんにちは。千葉県船橋市東船橋にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

むし歯治療のあとに削った穴を埋める詰め物や被せ物、これらが何かの拍子に取れてしまったご経験はありませんか?「すぐ外れるなんて、歯医者さんの腕が悪い!」というお叱りのお声も聞こえてきそうですが、そうでないことの方が多いのです。これらのトラブルが多い方、それは“歯牙損耗”かもしれません。今日は誰もが無意識に歯を傷めてしまう可能性がある、歯牙損耗のお話です。

 

歯牙損耗って何?

歯牙損耗(しがそんもう)は、むし歯や歯周病に次ぐ第3の歯科疾患と言われ、英語ではtooth wear と言います。toothは「歯」ですね。wearは「(衣服などを)身に付ける」という意味がパッと浮かぶと思いますが、実はそれ以外に「摩耗する」という意味もあります。この歯牙損耗は、むし歯ではないのに、歯が溶けたり欠けたりする病気です。ひどくなるとしみたり、痛んだりすることもあります。歯牙損耗は様々な歯に対するダメージの総称で、原因別に以下のように分類されます。

 

咬耗:咬み合わせの力による起こるもの

歯と歯が接触することで歯がすりへっていきます。歯ぎしりや食いしばり、上下歯列接触癖(TCH)があると咬耗が起こりやすいです。

 

  • 通常、歯は30年で1mm程度消耗すると言われています。しかし下のお写真の患者様は毎日の歯ぎしり・食いしばりで必要以上に歯がすり減ってしまいました。咬合面が直線的なのが特徴です。

 

  • 歯ぎしりや食いしばりで歯に応力がかかり歯の根元がくさび状に欠けるくさび状欠損も歯牙損耗の症状です。下のお写真をご覧ください。歯と歯ぐきの境目が一部欠けているのがわかりますね。これは歯頚部と呼ばれる歯の生え際の表面がすり減り痛みも伴うことから、一見するとむし歯と勘違いされがちです。しかし原因はむし歯ではなく、過剰な咬合力が原因です。

 

  • 歯ぎしりや食いしばりによる過剰な力は被せ物を壊すだけではなく、“歯そのもの”を壊し、歯の寿命を縮めます。特に神経を取って治療をした歯は栄養が行き届かずもろくなっているため、力による被害を受けやすくなっています。その中でも最もツライと言っても過言でないのが「歯根破折」です。歯根破折とは、力に耐えられなくなった歯根(歯の根っこ)が縦に裂けるように割れてしまうことです。いわば、歯の疲労骨折です。歯根破折の場合、治療が困難を極めほとんどの場合が抜歯になります。

下のお写真をご覧ください。歯根破折の患者様のお写真です。歯根部分が縦にスパッと割れているのが分かるかと思います。

 

 

摩耗:過度な歯磨きや爪楊枝などの機械的な刺激で起こるもの

外部からの過度な圧や刺激で歯がすり減ります。また歯ぐきより上の歯冠部は硬いエナメル質で形成されていますが、歯ぐきが下がり歯根部が露出してくると硬いエナメル質ではなく、象牙質が大部分を占めることになります。象牙質はエナメル質と比べると柔らかいため、より外部からの刺激に弱く摩耗しやすくなります。

 

 

 

酸蝕:炭酸飲料・乳酸飲料・柑橘類などの飲食で起こるもの

酸性の飲食物などにより歯が溶かされてしまう状態です。酸味の強い果物・野菜(グレープフルーツ・トマト等)、スポーツドリンク、サラダドレッシングなどを習慣的に摂取していると引き起こされます。また逆流性食道炎や摂食障害などで胃酸が逆流することも大きなリスクです。

これから夏に向けて気温が高くなるとスポーツ飲料や炭酸飲料を飲む機会が増える方も多いと思います。飲んだあとは水でうがいをしたり、スポーツ飲料と一緒にお茶を摂取したりするなど、飲み方の工夫をして歯が溶けるリスクを減らしましょう。

 

歯牙損耗の治療方法は?

まずが、原因の特定が最優先です。なぜなら、原因が、「咬耗」なのか「摩耗」なのか、もしくは「酸蝕」なのかによって、治療のアプローチ方法が全く異なるからです。

 

咬耗が原因の場合

歯がすり減った部位に詰め物や被せ物をして天然歯(自分自身の歯)を保護してあげます。また睡眠中の歯ぎしり・食いしばりが原因の場合にはナイトガート(就寝時専用のマウスピース)を装着し、天然歯のすり減りを防止することも有効です。

摩耗が原因の場合

正しい歯磨きの仕方を身に付けることが大切です。ビバ歯科・矯正小児歯科では歯科衛生士による歯磨き指導を行っております。歯ブラシの持ち方はもちろんのこと、歯の部位ごとによる磨き方のコツ、そして患者さん個々に最適な歯ブラシの選び方などをご案内しております。特に現在はドラックストアやオンラインショップにて様々な種類のオーラルケアグッズが販売されており、選ぶだけでも一苦労ですよね。当院では歯ブラシをはじめ、歯磨き粉、フロス、歯間ブラシ、洗口液などを取り揃えておりますので定期検診の際に担当歯科衛生士と相談しながら選ぶと安心ですよ。

 

酸蝕が原因の場合

酸性の飲食物を好む方は酸蝕症になりやすい口腔環境になりがちです。食べるタイミングや食べ方の工夫をし、食生活をコントロールしましょう。逆流性食道炎や摂食障害の方は濃い胃酸により酸蝕症になるリスクが高いです。疾患自体の治療もあわせて行っていく必要があります。なお摂食障害の患者様の中には「拒食症(摂食障害)を知られたくない」と悩み歯科での治療に足が向かないという方もいらっしゃいます。確かに少し勇気がいることかもしれません。しかし、当院では同様の悩みを抱えた患者様の治療もおこなっております。一朝一夕で治すことは正直難しくはありますが、少しでも歯のダメージを抑えられるようお力になれればと思います。もし今このブログを読みながら心あたりがある方がいらっしゃればぜひ一度ビバ歯科・矯正小児歯科までご相談下さいね。

 

 

 

まずはセルフチェックを

下記に歯牙損耗のチェック項目をあげました。もし1つでも該当したら、それは歯牙損耗のサインかもしれません。3ヶ月に一度の定期検診はもちろんのこと、歯を磨く際に歯ご自身の歯をじっくり観察し、変化がないか見てあげて下さいね。

 

☑歯がすり減っている

☑歯にヒビが入っている

☑歯が欠けることがある

☑歯が溶けているようにみえる

☑よく歯がしみる

☑歯が割れたことがある

☑詰め物・被せ物がよくはずれる

☑酸味の強い果物や飲み物をよく食べたり飲んだりする

☑よく吐いたり胃液が逆流したりする

☑ストレスがたまっていると感じる