ブログ・インプラント
インプラント埋入前の準備~上顎洞底挙上手術
こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
当院では日本口腔インプラント学会専門医の院長のもと、インプラント治療も積極的に行っています。患者様はもちろんのこと、当院で勤務するスタッフの中にも院長執刀でインプラントオペをした者がいます。詳しくはこちらの『つッ遂に!』のブログでご紹介しております。彼女は普段は歯科衛生士ということでオペのアシストについているのですが、その時はオペを受ける側ということもあり、ちょっと不思議な気分だったとか。自身の歯を失ったことはとても残念ではありますが術後も良好で、実体験を交えながら今でも患者様の歯の健康を守るために大活躍しています。
さて前置きが長くなりましたが、今日はインプラントのお話です。と言っても、インプラント自体の詳しいお話は以前のブログ『インプラントって何だろう?』で説明しておりますのでそちらをご覧ください。ここでは簡単にだけおさらいします。
インプラントは完全に歯を失ってしまった部位を補うための人工歯です。クラウン(俗にいう差し歯)は歯根が残存しているためその上から被せ物をしますが、インプラントの場合には完全に抜歯をしているため、歯根の代わりとなる土台が必要です。それをインプラントもしくは人工歯根・フィクスチャーなどと呼びます。このインプラントは顎骨に穴をあけ埋入され歯の土台となります。そしてその上に人工歯が装着されるのです。ところが、様々な理由でインプラントの埋入がスムーズにできない症例もあります。今日はその中の代表的な症例についてお話します。
目次
デリケートなインプラントオペ
インプラントは外科手術を伴うため実に多くの注意点があります。その中でも上顎にインプラントを埋入する際に注意すべきが上顎洞との距離です。上顎洞とは副鼻腔の一部で鼻の左右にある空洞です。内部は粘膜で覆われ鼻腔と繋がっています。重度の歯周病等による歯槽骨の吸収などで骨が薄くなっていると上顎洞までの距離が近く、インプラントを埋入するのが困難だったりリスクを伴ったりする場合があります。例えば歯性上顎洞炎です。これは歯が原因で上顎洞内に炎症が起きている状態をいいます。本来顎骨中に埋入すべきインプラントの先端が上顎洞の粘膜を突き破って上顎洞内に侵入したら、これが原因で歯性上顎洞炎*を引き起こすことになります。そのため、骨が薄かったり骨量が不足していたりする患者様には上顎洞底挙上手術を採用していきます。
*歯性上顎洞炎についてはこちらのブログ『蓄膿症を歯医者で治す~その鼻水、歯が原因かもしれません』にてご説明しております
上顎洞底挙上手術とは
上顎洞底挙上手術は「じょうがくどうていきょじょうしゅじゅつ」と読みます。漢字の通り、上顎洞の底部分を持ち上げる手術です。別名サイナスリフトとも呼ばれています。(サイナス:上顎洞 リフト:持ち上げる)特に上顎奥歯の歯を失った場合、歯槽骨の吸収が起こり骨が薄くなるため上顎洞の底部分に接近してしまいます。すると十分な骨量が無いためインプラントの埋入が難しくなるのです。そこで埋入スペースが不足している部分に、自家骨移植や骨補填材の充填をし、歯槽骨を再生します。すると骨の厚みができるため自然と上顎洞の底部が押し上がります。これが上顎洞底挙上手術です。十分な骨の厚みと骨量があり上顎洞までの距離を確保できるので、安全にそしてより長持ちするインプラントの埋入が可能になります。
なお上顎洞底挙上手術(サイナスリフト)はそのアプローチ方向の違いから2つの手法に分けられます。
ラテラルウォールアプローチ法
歯肉の側面(頬の側)から処置をします。歯肉を歯槽骨から剥離し側面の骨を削って小さな窓をあけます。そしてそこから上顎洞の底の粘膜(シュナイダー膜)を持ちあげスペースを作り、そのスペースに自家骨移植や骨補填材の充填を行い、骨を再生させます。大規模な処置向きです。
*イラストはインプラントネットさんより
クレスタルアプローチ法(ソケットリフト法)
歯槽骨に対して垂直方向から処置をします。インプラント埋入用の穴から上顎洞の底の粘膜を押し上げ、そこにできたスペースに自家骨移植や骨補填材の充填を行い、骨を再生させます。ラテラルウォールアプローチ法よりも傷が少なく済み、術後の腫れや痛みも少ないため、患者様の負担が少なくすみます。
*イラストはインプラントネットさんより
上顎洞底挙上手術の症例
実際にビバ歯科・矯正小児歯科で上顎洞底挙上手術をされた患者様のお写真です。なお一部オペ中のお写真があります。苦手な方はご注意ください。
ラテラルウォールアプローチ法の症例
症例1)左上大臼歯
症例2)左上大臼歯
クレスタルアプローチ法(ソケットリフト法)
症例1)左上大臼歯
症例2)左上大臼歯
いかがでしたか?もし「インプラント治療は不可能です」と言われたとしてもすぐに諦めないで下さい。このように骨再生を行なえばインプラントを埋入することができます。ぜひビバ歯科・矯正小児歯科までご相談下さいね。
~最後に~
以下の場合にはインプラントの埋入がスムーズにできない場合があります。患者様個々にご案内させていただきますのでぜひ一度ご相談ください。
1.20歳未満の方
顎の骨が未発達のため基本的にはインプラント治療は成長が落ち着いてからになります。なぜなら成長過程でインプラント治療をしてしまうと顎骨の発達と共に歯並びなどにも影響を及ぼす可能性があるからです。
2.妊娠中の方
母子の安全を最優先に考慮するため、おすすめしません。手術による母体への負担や投薬などの必要性も考えられるからです。
3.持病のある方
高血圧、骨粗鬆症、糖尿病など全身疾患がある方は注意が必要です。内科医と相談の上治療計画をたてていきます。
4.むし歯・歯周病などがある方
インプラントは外科手術を伴います。その際の口腔内感染を防ぐためにまずはむし歯・歯周病の治療が最優先となります。なぜならインプラント周囲粘膜炎などに罹患した場合顎の骨が溶け最終的にはインプラントが抜け落ちる可能性があるからです。なお、インプラント周囲粘膜炎については以前のブログ『インプラントのメインテナンスしていますか?』でもご説明しておりますので参考にして下さい。
医院概要
医院名 | ビバ歯科・矯正小児歯科 |
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住所 | 〒273-0002 千葉県船橋市東船橋1-37-10 (タップでGoogleマップが開きます) |
電話番号 | 047-421-0118 |
最寄り駅 | JR総武線「東船橋駅」南口 徒歩30秒 アクセスの詳細はこちら |
駐車場 | 敷地内に5台分の駐車場があります |
休診日 | 水曜(第1週)・木曜(第2週以降)・日曜・祝日 |