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なんで歯って生えかわるの?

こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
成長する中でほとんどのヒトが経験すること。そう、歯の生えかわりですね。私たちヒトは子どもの「乳歯」から大人の「永久歯」に生えかわります。個人差はありますが、6~13歳頃に前歯から順に生えかわります。そして乳歯のときは20本ですが、そこに奥歯が上下左右2本ずつ(計8本)加わり、28本になります。また更に奥に上下左右1本ずつの親知らずが生えると全部で32本にもなります。以前のブログ『歯が足りない~先天性欠如歯』で少し触れましたが、この親知らずはヒトによって生えない場合(埋伏や先天性欠如歯)もあります。

ところで、どうしてヒトの歯は大人に近づくにつれて生えかわるのでしょうか?今日はその理由について考えていきます。

歯が生えかわる生き物

実は歯が生えかわるのはヒトだけではありません。例えばヒトと同じように哺乳類の多くは乳歯から永久歯へと一生に一度だけ歯が生えかわります。これを“二生歯性(にせいしせい”と言います。犬や猫などがこれにあたります。自宅のカーペットの上に落ちていた愛猫の乳歯を拾い集めたことがある、という方もいらっしゃるかもしれませんね!他にはネズミやリスなどの一生同じ歯をつかう“一生歯性(いっせいしせい)”です。ちなみにネズミやリスを思い浮かべるとどちらも食事中の映像を思い浮かべませんか?わたしはネズミだったらチーズ、リスだったらどんぐりをガシガシとかじっている様子が浮かんできます(笑)それはおそらくどちらも立派な門歯(前歯)がチャームポイントだからでしょう。これらげっ歯類の門歯(前歯)は一生伸び続けるため、硬いものをかじって常に削っていかなければ歯が伸びすぎて逆に食べることができなくなってしまいます。特にペットとなったげっ歯類が硬いものを食べなくなってしまうと注意が必要です。更には爬虫類などのように何度も歯が生えかわるのは“多生歯性(たせいしせい)“と言います。特に有名なのはサメですね。サメは歯が抜けたり折れたりすると何度でも生えかわります。顎の骨の内側で新しい歯がどんどん作られてどん外側へ押し出されます。まるでベルトコンベアーのようですね。海の中で食糧を捕獲すべく常に鋭い切れ味の歯を維持するためです。
ところでここでちょっと疑問が生まれませんか?そう、なぜ私たちヒトの歯はわざわざ生えかわるのでしょうか。

なぜヒトの歯は生えかわるのか?

答えはシンプルです。それは全身の成長に対応するためです。例えば皮膚や筋肉、骨などは体の成長にあわせて伸びたり大きくなったりしていきます。しかし歯は大きくなることができません。生えたときのサイズのままです。(赤ちゃんの頃に生えた前歯が、永久歯が生えるまでの6年近くもの間成長し続けたら…お口の中がパンパンになってしまいますよね)

そしてもし成長するにつれて大きくなった顎に対し子どもの頃の乳歯がそのままだったらどうなるでしょうか?まず歯と歯の間が隙間だらけになってしまいますね。これは審美的な面も気になりますが、空気が漏れてしまうため正しい発音にも影響が出る可能性があります。またヒトは成長に伴い食生活も変化します。乳児期のミルクから始まりその後の離乳食、そして固形物と徐々に食べ物を噛み砕いて栄養を摂るようになります。そのためより丈夫な歯が必要になり、それが永久歯なのです。

永久歯に生えかわる仕組み

多くの場合、6歳頃から永久歯への生えかわりが始まります。そして永久歯の中で最も早くに生えてくるのが第1大臼歯、中央から数えて6番目の歯です。6歳頃に生えてくることから“6歳臼歯”とも呼ばれています。この頃になると乳歯がグラグラしてきて抜け落ちますよね。見た目にはわかりませんが、顎の中では永久歯がひかえていて、乳歯の根が溶かされた結果抜け落ちてしまうのです。

乳歯と永久歯のちがいって何??

ここまでで乳歯と永久歯の違いは本数だったり、大きさだったりがお分かりいただけたと思います。ただ、それだけではないのです。実はその構造にもちがいがあるのです。イラストで詳しくみていきましょう。

イラスト:夕刊読売新聞2022.10.1より引用

こちらは歯の断面図です。まず歯の表面はヒトの体の中で最も硬い「エナメル質」でできています。普段私たちが歯ブラシで擦るのはこの部分ですね。次に内部をみていくと「象牙質」です。象牙質は柔らかい組織で弾力性があるため、衝撃に弱いエナメル質の破折を防ぐ役割をしています。そしてこの永久歯の「エナメル質と象牙質」は乳歯のそれと比べると2倍ほどの厚みがあり丈夫です。逆に言えば乳歯のエナメル質は永久歯の半分しかありません。みなさんも耳にしたことがあるかもしれませんが『乳歯はむし歯の進行が早い』という理由はここにあります。むし歯は酸が歯の表面を溶かし、徐々にエナメル質に穴をあけていきます。そしてエナメル質部分が薄い乳歯はあっという間に内部にまでむし歯が進行し、歯の神経にまで達してしまうのです。

続いて「歯髄(しずい)」呼ばれる歯の神経です。歯髄の中には血管やリンパ管が走行していて歯に栄養を届ける役割をしています。よく『神経をとると歯がもろくなる』というのは歯に栄養を供給するための道が途絶えてしますからですね。

ちなみに色みについても乳歯と永久歯では若干ちがいがあります。乳歯はやや青みがかった白色で永久歯は黄色みがかった白色です。これにも今お話した歯の構造が関係しています。まず歯の色というのは象牙質の色で決まります。というのも、エナメル質は半透明でその内側の象牙質が透けてみえるからです。そして象牙質というのはその名の通り象牙色(アイボリー)で黄色みがかっています。永久歯では半透明なエナメル質を通して象牙質をみているので歯が黄色みがかってみえるのです。(その他加齢による着色も要因の1つ)ただし乳歯のエナメル質はまだ成熟しておらず白色で象牙質が透けることはありません。そのため、乳歯は真っ白もしくはやや青みがかった白色にみえるのです。

ちなみに歯頚部(歯と歯肉の境目)は特に黄みがかってみえますよね。これはエナメル質が歯の先端から歯頚部に向かうほど薄くなっているためです。

こちらが乳歯から永久歯への生えかわり時期のお写真です。俗にいう前歯と第1大臼歯が生えかわり、続いて犬歯(図の3)、第1小臼歯(図の4)、第2小臼歯(図の5)も生えかわっています。こちらのお子様は生えかわり時期に叢生と呼ばれる歯の重なりが見られました。そのため当院にて、矯正治療を行い綺麗なアーチ型に歯列が整いました。

乳歯のケアが永久歯の健康に直結します

さて、かれこれ40年近く歯医者をしていると次のような質問をよくされます。

「生えかわるなら、乳歯はむし歯になっても大丈夫ですよね?」

答えは、絶対にダメ!この一択です。

患者様の中には“乳歯は使い捨て”のように勘違いされていらっしゃる方もいますがそれは間違いです。永久歯が健康に生えてこられるかは乳歯時代の歯のケアにあるといっても過言ではありません。以下にいくつか理由をあげていきます。

永久歯がむし歯になる

永久歯は乳歯よりも丈夫です。しかし生えたての永久歯は歯の表面が荒く汚れがつきやすいうえに、エナメル質が未熟です。そのため周りの乳歯がむし歯になっていると、永久へのむし歯リスクが高まります。

噛む機能の低下

むし歯が大きくなると歯が溶かされていくため、歯と歯の接触面積が減り噛む力が著しく弱くなります。またその大きさにもよりますが、むし歯の治療をおこなうと嚙む力が健康な歯と同等にまでは回復できないともいわれています。

永久歯の成長への影響

乳歯のむし歯が進行し歯根部分に膿が溜まった状態で放置していると、場合によってはその下にある永久歯の歯胚(永久歯の種)に影響を及ぼし、エナメル質形成不全(以下写真)や、永久歯の位置異常などを起こすことがあります。

エナメル質形成不全

歯並びへの悪影響

ヒトの歯は1本1本が特徴的な形をしており、その機能も様々です。詳しくは以前のブログ『歯は全部で何本?』で説明しておりますのでここでは割愛しますが、その役割を最大限に果たせるよう生える位置が決まっています。また先述の通り永久歯は生えている乳歯の下からそれを目印に生えてきます。もし乳歯がむし歯により早々に抜けてしまったらどうなるでしょうか。実は歯が欠損しているとその両隣の歯がその部分に倒れてきてしまいます。すると永久歯は生えかわるための十分なスペースがないため、斜めに生えたり重なって生えたりし後々の歯並びが悪くなる原因になるのです。

悪習慣を誘発

むし歯の痛みや治療部位が気になり、お口の中に指を入れたり舌で触ったりしてしまい、悪習慣の原因になることがあります。

これらが乳歯のケアがとても大切な理由です。子育て中のお父さん、お母さん、そして今は乳歯のお子様たち、ぜひ毎日の歯磨きを頑張って健康な大人の歯をお迎えしましょうね!

 

医院概要

医院名 ビバ歯科・矯正小児歯科
住所 〒273-0002
千葉県船橋市東船橋1-37-10
(タップでGoogleマップが開きます)
電話番号 047-421-0118
最寄り駅 JR総武線「東船橋駅」南口 徒歩30秒
アクセスの詳細はこちら
駐車場 敷地内に5台分の駐車場があります
休診日 水曜(第1週)・木曜(第2週以降)・日曜・祝日