ブログ・口腔外科
あなたの歯がタイムカプセルになる時代がきています!
こんにちは! JR総武線東船橋駅南口ロータリー内にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
以前よりご案内の通り、当院ではブログの他にSNSでも歯科情報を発信しております。その中で先日Instagramに投稿した『歯の冷凍保存』のお話に興味を持ってくださったフォロワーさんが多くいらっしゃいました。せっかくですので、より詳しいご案内をブログでもしたいとおもいます。
未来へのタイムカプセル~歯の冷凍保存
まず、“歯が冷凍保存できる“ということ自体、初めて耳にした方も多いのではないでしょうか。ブログを書いている私自身ビバ歯科で働くようになってから知ったことで本当に驚きました。当院が提供しているこの『歯の冷凍保存』とは簡単にいうと、「抜歯した自分の歯を保存しておいて、将来必要となったときに自分に移植しましょう」ということです。
・・・すごいですよね?一度抜いた歯が再び蘇ることができるのです。
昔小学校の卒業式の時に、”成人になった自分へ“ということで思い出の玉手箱ならぬ、タイムカプセルを作った覚えがありますが、まさしく未来の自分へ”歯のタイムカプセル“ですね。
しかし、どんな歯でも冷凍保存できるわけではなく、条件があります。以下で詳しく説明していきますね。
その親知らず、捨てないで!!
みなさん、幼少期に乳歯(こどもの歯)が抜けると、その歯をどうされましたか。私は田舎の一軒家だったこともあってか、「立派な大人の歯が生えてきますように!」という願いを込めて、屋根の上や縁の下に投げた記憶があります。ただ、永久歯(大人の歯)ともなるとそうはいきませんよね。なぜならどんなに願っても永久歯が抜けてしまったら、その後に生えてくることはないからです。
まず、冷凍保存される歯として最も多いのは親知らずです。なぜならば骨の中で横向きに埋まっている親知らずもしくは傾斜して頭を出している親知らずは、生えようとして隣の奥歯を押して傷めたり、隣の歯との隙間に細菌の塊(プラーク)を溜め込んでむし歯や歯周病などのトラブルを起こしがちだからです。
次に多いのは歯科矯正の際に抜歯する歯です。ビバ歯科・矯正小児歯科はその名の通り、お子様から成人まで多くの方の歯科矯正治療をおこなってきました。院長の関本は「抜歯しない矯正」を心がけているため基本的には抜歯はしません。ただ、咬み合わせの改善や矯正治療等をはじめとした様々な理由により、抜歯することが他の歯にとってもベストな選択となるときには、最終手段として抜歯をすることもあります。ちなみに抜歯された歯を専門用語では抜去歯(ばっきょし)と呼びます。
この抜去歯、一見するともう使い物にならないと思われがちです。ただ、この抜去歯こそが先ほどのタイムカプセルになるのです。しかし、例えば重度のむし歯や重篤な歯周病などで歯の組織(歯肉や顎骨など)がダメージを受けている場合には対象となりません。健康な歯根膜が残っていることが条件となります。
◉主に対象となる歯
永久歯:親知らず(下図8番)/小臼歯(下図4~5番)
乳歯 :歯髄と呼ばれる歯の神経がある歯
保存可能な抜去歯はマイナス196℃の液体窒素中で生きたまま冷凍保存されます。これらは将来ご自身の歯を失った場所に移植して歯を再生するために使うことができるのです。言ってみれば“歯のリサイクル”ですね。このように患者様ご自身の歯を活かした歯の移植は「自家歯牙移植」(じがしがいしょく)と呼ばれています。一般的に、失われた歯を補うための治療の選択肢は以下3つと言われていますが、条件さえクリアすればこの自家歯牙移植も選択肢になるのです。
- ブリッジ
- インプラント
- 入れ歯
移植する歯は自身の天然の歯のため、人工歯を埋入するインプラントや義歯などと比べると噛み応え、歯ざわりがあることが特長です。また永久歯の歯髄(歯の神経)や歯根膜には様々な体の組織になる幹細胞が含まれており将来再生医療に使用できる可能性があります。例えばアルツハイマー病やパーキンソン病などの脳神経難病、筋ジストロフィーなどの筋疾患などの難治性疾患、骨折や関節症などの骨の疾患、火傷のなどの皮膚疾患などを、幹細胞を用いた再生医療で治療できるようになると期待されています。更に患者様からのご希望があればDNA鑑定に利用することもできます。抜いた歯を捨ててしまったら二度と戻りません。将来何かあった時の選択肢として、「歯の冷凍保存」をぜひ覚えておいてくださいね。
◉自家歯牙移植~自身の歯で治療ができる安心感
(メリット)
歯根膜がある
食事の際に歯への刺激を伝えるため噛み応えや歯ざわりを感じられます。
更に歯根膜がクッションの役割をするので歯への圧力を軽減できます。
手術負担が少ない
インプラントと比較すると大がかりな手術は必要なく費用も安価です。
矯正治療ができる
自家歯牙移植した歯は、天然歯(自分の歯)同様に矯正治療で動かすことができます。
(デメリット)
むし歯リスクが残る
自家歯牙移植した歯は、天然歯のため、他の歯と同様にむし歯になるリスクが残ります。
治療にあたり条件がある
自家歯牙移植するためには一定の条件を満たさなければなりません。
なお残念ながら移植した歯が永久にお口の中で機能できるか、と言われると絶対ではありません。移植しても満足に噛めなかったり、痛みや歯の動揺が収まらなかったりするケースもあるからです。そしてその場合には再度抜歯をせざるを得ないこともあります。そして先述の通りメリット・デメリットもあります。
こう言ってしまうと「なんだ・・・、せっかく保存しておいても100%ではないのね・・」と思わるかもしれません。
しかし、歯を失った時の治療方法の4つ目として『歯の冷凍保存』による自家歯牙移植の選択肢が増えること自体は患者様ご自身治療の選択が広がるのでそれ自体が最大のメリットでもありますよね。もし今“抜歯が必要な歯がある”、“親知らずを抜きたい”などと考えている方がいらっしゃれば、ぜひ『歯の冷凍保存』についても考えてみてはいかがでしょうか。
よくある質問Q&A
最後に、冷凍保存についてよく聞かれる質問についてまとめます。
Q.昔抜いた親知らずは保存できますか?
A.できません。抜歯直後の“歯根膜”が残されている歯であることが条件です
Q.健康保険は適用ですか?
A.適用外です。冷凍保存に関わる全ての費用は患者様のご負担となります。詳しい費用につきましては当院受付までお問い合わせ下さい。
Q.何年預けられますか?
A.半永久的に可能です。患者様より保存期間の延長お申し出がありましたら10年ごとに延長できます。
Q.移植治療・再生治療は本人以外にもできますか?
A.できません。対象はご本人のみです。
Q.冷凍保存はビバ歯科でしているのですか?
A.いいえ、しておりません。当院では事前の診査・抜歯までをしております。
抜歯後は提携先である株式会社再生医療研究所(神奈川県)に速やかに輸送し、そちらの施設で保存をしております。
いかがでしたか?どんなに科学技術が発展した現代でも永久歯の天然歯は一度抜けて失ってしまえば、適切な処置をしない限り二度と手に入りません。ゆえに、もしかしたら「抜去歯は冷凍保存して当たり前」となる日がくるかもしれませんね。
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