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歯医者さんが麻酔の場所を間違える!?

こんにちは!

千葉県船橋市東船橋にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

 

むし歯の治療をしたことがある人は、一度は経験したであろう歯医者さんでの麻酔。先日患者様から麻酔についていくつかご質問を受けたのでブログに書きました。

麻酔の秘密がわかると、歯医者さんでの治療の“謎”が解けるかもしれません。ぜひ最後までご覧くださいね!

 

麻酔には局所麻酔と全身麻酔がある

局所麻酔はその名の通り、治療する部位に痛み止めの薬を注射しその部分だけの感覚を麻痺させます。そのため、意識があるので周囲の声や音も聞こえます。それに対して全身麻酔は患者様の意識をなくして眠った状態にします。患者様の痛みや不安、恐怖を取り除くことはもちろんですが、反射で体を動かないようにし手術を安全に進める環境をつくるのです。ちなみに歯医者さんでの治療はほとんどが先述の局所麻酔です。

 

歯医者さんで使う麻酔の種類

代表的な歯科麻酔は以下の3つです。

浸潤麻酔・・・効き目の時間2~3時間

むし歯の治療や親知らずの抜歯などに用い、歯科治療で幅広く使われます。治療を行う部位すなわち痛みを取り除きたい部位の歯ぐきや粘膜にダイレクトに注射します。そこから骨に薬をしみこませ骨の中の神経に薬が作用するようになるのです。更にこの浸潤麻酔自体の痛みを軽減させるために、細めの注射針を使ったり、表面麻酔を行ったりするなど患者様が快適に治療を行えるようにします。

 

伝達麻酔・・・効き目の時間4~6時間

浸潤麻酔が効きづらい場合やより広範囲に麻酔を効かせたい場合に使われます。浸潤麻酔が治療を行う部位にダイレクトに打つことに対して、この伝達麻酔は下の奥歯の更に奥、頬の内側に打つのが特徴です。

なお伝達麻酔は神経が枝分かれする前のおおもとの太い神経の途中に打つので、それより先の部位の感覚は全てブロックされます。そのため、治療でこの伝達麻酔を行うと「アレ?先生場所が違いますよ!!」と驚かれる患者様も多いです。(これについては後程詳しく書きます)伝達麻酔は骨が厚く麻酔薬がしみこみにくい下顎の奥歯の治療の際には欠かせません。なお伝達麻酔は麻酔が効き始めるまでは時間がかかりますが、麻酔が効く範囲は広く持続時間は長くなります。

 

 

表面麻酔・・・効き目の時間10~20分

“麻酔のための麻酔”です。浸潤麻酔や伝達麻酔などの注射の痛みを和らげるためや、抜けそうな乳歯の抜歯などをする際に使われます。またその他にも歯石のクリーニングなど、注射での麻酔をするほどではないものの、わずかな痛みでも苦手という患者様に使用しています。表面麻酔の特徴は注射針を使わない点です。針を刺すのではなく、歯ぐきに麻酔薬を塗ったり貼ったりするのみですので痛みはありません。また歯ぐきの表面のみ感覚が麻痺するので持続時間はそれほど長くありません。

 

 

歯医者さんが麻酔の“場所”を間違える!?

先日当院の患者様から治療中にこんなお声を掛けられました。

 

「院長先生、注射の場所違いますよ!下の歯ですよ!」

 

こちらの患者様は下の6番目(第一大臼歯)の抜髄の治療を予定していたため、よりしっかりと麻酔が効くように伝達麻酔を打ちました。先ほどご説明した通りこの伝達麻酔は下の奥歯の更に奥付近に打つものです。しかしこの患者様は「上に注射をされた」と思ったようで先程のようなお言葉を頂きました。

実は、このように『伝達麻酔をしたときに上下を逆に感じる』といった声はとてもよく聞かれます。そしてこれは“患者様の勘違い”というよりも“脳の勘違い”が原因なのです。

 

これを説明するためには以前のブログでご紹介した「三叉神経」について知る必要があります。脳に歯の痛みを伝達するのは「三叉神経」(さんさしんけい)と呼ばれる脳神経です。これは脳から3本に大きく枝分かれしていて、以下のイラストのように顔面全体を覆っています。上から「眼神経」「上顎神経」「下顎神経」です。各領域に広がった神経は末端で痛みを察知し脳に伝達します。

しかし、この三叉神経は脳に近づくにつれて1本の神経になるため、どこの末端から情報がきているのかわからなくなってしまうことがあるのです。これが先ほどの“脳の勘違い”です。本来であれば下顎の頬の内側に注射をしているのでそこに痛みを感じるはずが、下顎の周囲の感覚は三叉神経の一つの枝である、下顎神経により脳に伝えられるのでそこで“脳の勘違い”が起こるのです。この脳の勘違いによって、患者様は「(下顎に注射されているはずなのに)上側が痛い。」となるのです。

ちなみに三叉神経は左右1対になっていて顔面の感覚は左右別々に支配されているため、左右で痛みを勘違いすることはありません。実際今回の患者さんも上下の歯で錯覚していました。

歯医者さんが麻酔の“量”を間違える!?

他にこんなことを言われたこともありました。

 

「院長先生、麻酔の量間違えました?この前なかなか麻酔がきれなくて・・・」

 

答えは「NO」です。もちろん適正量で麻酔しています。こちらの患者様は伝達麻酔をしたあと、なかなか麻酔の効果がきれなくて不安になったようです。伝達麻酔は浸潤麻酔より麻酔の持続時間が長いのです。一般的に伝達麻酔は4~6時間、浸潤麻酔は2~3時間と言われています。ただこちらは代謝能力により個人差があります。

例えば、お酒です。お酒に強い人・弱い人というのはアルコール分解能力に左右されます。これと同様に麻酔についてもその代謝能力により持続時間が変わるのです。

ビバ歯科・矯正小児歯科では麻酔をする前、そして後に麻酔の効果や持続時間、注意事項等をご案内しております。患者様がご帰宅後に快適に過ごせるよう、引き続き丁寧な説明を心掛けてまいります。麻酔は感覚の麻痺を一時的に伴うものですのでご不安もありますよね。その際にはどんな小さなことでも結構ですので、スタッフまでお声掛け下さいね。

 

治療の痛みや麻酔に不安がある方はご相談下さい

ビバ歯科・矯正小児歯科では麻酔が十分効いたタイミングで治療を開始します。しかし、同じ量を麻酔していても患者様によって効き方には個人差があります。中には骨が厚かったり、神経の炎症が重篤であったりなどして麻酔が効きにくい人もいらっしゃいます。その時には我慢せず、どうぞ一声お声掛け下さい。追加の麻酔などをして少しでも治療の痛みを取り除いて進めてまいります。

なお切開や抜歯などへの恐怖心が強い方には“笑気麻酔”も有効です。これは睡眠・鎮静・鎮痛作用を持つ笑気を吸入することでリラックスした状態になり痛みを感じにくくなる吸入麻酔薬の一種です。注射針を刺すことなく、横になった状態でゆっくりと呼吸しながら吸入するのみですので、患者様へのご負担はほとんどありません。笑気麻酔は吸入後数分で効果があらわれ、体がぽかぽかしたり、少し頭がボーとしたりしてきますがこれは鎮静状態になったサインです。また呼吸器や循環器への影響もほとんどないため基礎疾患のある患者様も安心安全に使用できます。

ビバ歯科・矯正小児歯科でも治療への不安感が強い患者様には積極的にご利用いただいておりますのでぜひご相談下さいね。

 

**最後に

繰り返しになりますが麻酔の持続時間は個人差があります。歯医者さんで「〇時間は食事を控えて下さいね」と言われますが、こちらは一般的な目安です。痺れが残っている段階では食事は控えるようにして下さい。口元の感覚がないまま食事をすると、口腔内を噛んだり、火傷をしても気が付かなかったりしてお口の中を傷つけてしまう恐れがあるからです。

ぜひ覚えておいてくださいね。

監修者情報

所属

  • 日本口腔インプラント学会 専門医・専修医
  • 日本顎咬合学会認定医
  • 厚生省認可日本歯科先端技術研究会認定医
  • RAMRA研究会登録医
  • 日本床矯正研究会会員
  • 日本小児矯正研究会会員
  • 日本全身咬合学会会員
  • 日本老年歯科医学会会員
  • 国際歯周内科学研究会会員

院長

Hirotaka Sekimoto

略歴

  • 1982年

    明海大学歯学部卒業
    明海大学PDI歯科臨床研修所入所

  • 1985年

    明海大学PDI歯科臨床研究所研修課程終了
    開業医勤務

  • 1991年

    ビバ・ファミリー歯科開設

  • 2000~2003年

    市川市在宅寝たきり老人等歯科診療特別委員会委員長
    市川市歯科医師会歯科介護支援センター運営委員長

  • 2003~2006年

    市川市歯科医師会学術担当理事
    千葉県歯科医師会生涯研修委員会委員

  • 2011年~

    市川市歯科医師会会計担当理事

  • 2017年~

    市川市歯科医師会監事

所属

  • 日本口腔インプラント学会 専門医・専修医
  • 日本顎咬合学会認定医
  • 厚生省認可日本歯科先端技術研究会認定医
  • RAMRA研究会登録医
  • 日本床矯正研究会会員
  • 日本小児矯正研究会会員
  • 日本全身咬合学会会員
  • 日本老年歯科医学会会員
  • 国際歯周内科学研究会会員

院長の今までとこれから

文学少年から歯科医へ転身

学生時代は三島由紀夫に夢中で、小説家を目指していたことも。父の一言をきっかけに歯科医の道へ進みました。

歯科医は情熱を注げる仕事

仕事が生活の中心。常に学び続け、より良い医療の提供を目指しています。

今後の展望

予防や噛み合わせに加え、呼吸の問題にも対応できる歯科医院を目指します。