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歯にツノが生えた!~中心結節

こんにちは。千葉県船橋市東船橋にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

今日はまずこちらの曲を聴いて下さい。

『つのつの1本 赤鬼どん♪つのつの2本 青鬼どん♪』

赤鬼と青鬼のタンゴという曲です。子どもの頃一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。今日はこの“ツノ”にまつわる歯のお話です。ぜひ最後までご覧くださいね。

ツノが生えた男の子

先日親子でご来院された患者さん。開口一番にお母さんがこう仰いました。

 

「院長先生!うちの子、歯にツノが生えているんです」

 

一般の方であれば“ツノが生えた”なんて聞いたらポカーンとしてしまうかもしれません。でもビバ歯科は歯医者さん。歯にツノが生えたと聞いてすぐにピンときました。そして院長のセキモトが男の子の口をチェック。その時のお写真がこちらです。歯の中央部にニョキニョキっと生えている“ツノ”が見えますね。

10歳男児(左下の第二大臼歯)

実はこれ中心結節(ちゅうしんけっせつ)という歯の形態異常です。こちらのお写真のように歯の咬む部分の真ん中に飛び出るようにできる突起です。

 

中心結節の発生部位

中心結節は10代前半頃のお子さまに一番多くあらわれます。この頃は上下の奥歯が生えてくる時期とも重なりますね。発生部位は上下全ての臼歯(犬歯より後ろの歯)で考えられますが、その中でも下顎第二小臼歯(下の前から5番目の歯)で最も多く見られます。その発生率は1~4%です。この数字の大きい小さいはさておき、この中心結節は治療をしないで放置してしまうと少々厄介なことになるので注意が必要です。

永久歯列 (  )内は生え変わり時期

 

それでは厄介なこととは何なのか?それは『中心結節は折れる』ということです。折れるというと“転んでどこかに顔面を強打した”というような外傷を思い浮かべますが、中心結節が折れる原因は外傷とは少し異なります。中心結節はこのまま歯が伸びて上(もしくは下)の歯と噛みあうと折れてしまうことがあるのです。しかし通常の歯の場合には少し歯が折れたり欠けたりする程度であればそれほど影響はありません。ところが中心結節の内部には歯髄と呼ばれる歯の神経があります。そのため中心結節が折れると“露髄”と呼ばれる神経がむき出しの状態になったり、“歯髄炎”と呼ばれる神経の炎症が引き起こされた状態になったります。そして最終的には神経が死に神経をとる処置(抜髄)が必要になるのです。

 

ちなみに、聞いたことがある方も多いかもしれませんが、神経の炎症が起こる歯髄炎の1番多い原因は重篤なむし歯です。治療をしないで放置してしまった結果、むし歯の細菌が歯の内部組織である神経にまで感染が広がりあのズキンズキンといった激痛を起こすのです。これは大変なように思えますが、実際には定期的に歯医者さんに通院していればむし歯が小さいうちに治療ができるのでここまで進行することはありません。しかし繰り返しになりますが、中心結節では通常の歯とは違い神経が歯の表面近くまで伸びているので少しでも歯が欠けてしまうと神経にダメージを負うことがあり、歯髄炎のリスクがあるのです。

中心結節の予防法

中心結節自体は悪さをするものではないため、存在自体は全く問題ありません。しかしその形態の特徴から折れやすく折れた後のリスクが大きいのが問題です。そこで中心結節が折れることを未然に防ぐための治療が必要です。当院では主に以下の予防をおこなっています。

周りを補強する

中心結節はその部位だけ出っ張っている形状のため、その周囲を補強して均してあげます。そうすることで出っ張り部分がなくなり平らになるため折れるリスクがなくなるのです。補強には“シーラント”や“コンポジットレジン(CR)”と呼ばれる歯科用プラスチックを使用します。最もオーソドックスな予防法です。

シーラントは以前のブログ『12歳児の平均むし歯等数は0.63本!』でご紹介したようにお子様のむし歯予防にしばしば使われます。永久歯と比べると乳歯の奥歯は溝が深くプラークが溜まりやすい形状です。そのためその溝をシーラントで埋めることによりプラークの蓄積を防ぐのです。またコンポジットレジンは小さなむし歯の治療によく使われます。いわゆる白い詰め物、あれがコンポジットレジンです。

少しずつ削る

数ヶ月から半年に一度を目安に突起部分を削ってあげます。しかし中心結節の突起部分のすぐ下にまで歯の神経がせまっているため神経が露出しない程度に少しずつ削っていくことがポイントです。こうしていくと歯の表面にまで伸びてきている神経の空洞が徐々に第二象牙質に置き換わるのです。第二象牙質は歯の神経を囲むようにできる壁です。これがあることで歯の表面から神経までの距離が遠ざかり外部からの刺激を受けにくくなるのです。

=もうすこし詳しく=

実は第二象牙質ができる原理はむし歯治療後の経過と似ています。

ビバ歯科ではできる限り削らない治療を目指していますが、象牙質まで達するような大きなむし歯(図1)の場合には深く大きく削らざるをえません。そのため歯の神経の近くまで削る(図2)ことになり削った後の詰め物はどうしても神経の近くになってしまいます(図3)。すると特に銀歯などの金属の場合熱伝導率が良い為、暑い冷たいなどの刺激が神経に伝わりやすくなるのです。

ここでむし歯治療の経験がある方は少し思い出してみてください。治療が終わったにもかかわらず「治療したところが痛い。」「しみる…」といったご経験はありませんか?これは 詰め物と神経の距離が一時的に近くなったことが原因です。またむし歯治療の中で削るときの振動など外部からの刺激で神経が過敏になっていることも原因の1つです。しかし個人差はありますが数週間経過すると削った部位の神経を保護するために自然と第二象牙質と呼ばれる壁ができてきます。これにより痛みやしみるなどの症状も少しずつおさまるのです。

さて、話を中心結節に戻します。中心結節が折れるのを予防するために突起部分を削った時も同じです。第二象牙質ができることにより神経が歯の表面から遠ざかり外部からのダイレクトな刺激を受けにくくなるのです。

終わりに

中心結節は10代前半頃のお子さまに一番多くあらわれる症状です。この頃になると仕上げ磨きも卒業し、なかなか保護者の方がお子様のお口の中をじっくりと見る機会がないかもしれません。しかし奥歯が永久歯に生え変わる大切な時期です。子育て中のお父さん、お母さんはぜひこの時期にもう一度お子様のお口の中をチェックしてあげてください。

中心結節は早期発見早期治療で歯を守ることができます。もしお子様の歯に「ツノ」があったらすぐにかかりつけ歯医者さんに相談に行きましょう。

医院概要

医院名 ビバ歯科・矯正小児歯科
住所 〒273-0002
千葉県船橋市東船橋1-37-10
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電話番号 047-421-0118
最寄り駅 JR総武線「東船橋駅」南口 徒歩30秒
アクセスの詳細はこちら
駐車場 敷地内に5台分の駐車場があります
休診日 水曜(第1週)・木曜(第2週以降)・日曜・祝日