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歯の王様~最大最強の6歳臼歯

こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

前回のブログ『なんで歯って生えかわるの?』で乳歯から永久歯の生えかわりのお話をしました。私たちヒトは多くの場合6歳頃から永久歯への生えかわりが始まります。そして永久歯の中で最も早くに生えてくるのが第1大臼歯、中央から数えて6番目の歯です。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、6歳頃に生えてくるということでこの歯は“6歳臼歯”とも呼ばれています。本人はもちろんのこと、親御さんからすれば初めて生えてくる永久歯はドキドキ胸が高鳴りますよね。しかし、わくわくしているだけではいけません。実はこの6歳臼歯、気を付けなければすぐに“むし歯”になってしまいます。

今日は子育て中のお父さんお母さんにぜひとも読んでいただきたい内容です。ぜひ最後までお付き合いくださいね。

6歳臼歯の特徴と役割

永久歯の中で一番はじめに生えてくる6歳臼歯。実はお口の中で大黒柱の働きをしています。

1.大きくて噛む力が強い

永久歯の中で最も大きい歯です。またこちらのお写真をみるとわかるように臼(うす)の形をしていて、噛む力もとても強い歯です。そのため固い食べ物のかたまりを噛んで擦りつぶし消化を助ける働きもしています。特に6歳臼歯(第1大臼歯)を失うと咀嚼率が2/3以下になってしまうとも言われており、生涯を通して私たちの「食」を支える歯と言えます。

*歯は正常に咬み合っていれば奥にいくほど“噛む力”が強いです。そのため、7番歯(第2大臼歯)や8番歯(親不知)が生えてくる前は、この6歳臼歯が最強の噛む力をもっています。

2.歯並び・咬み合わせの基準になる

乳歯は6歳頃から生えかわり中学校卒業までの間にほぼ永久歯に生えかわります。このとき、最も早くに生える6歳臼歯の位置を目安として残りの永久歯が生えてきます。つまり6歳臼歯を基準にして全体の歯列が決まるということです。逆に言えば、6歳臼歯が正しい場所に生えてこないと次に生えてくる歯の並びや咬み合わせにも影響してしまい、ゆくゆくは顔立ちにも影響しかねません。

乳歯(アルファベット表記) 永久歯(数字表記)

3.顎や顔の成長、歯並びに影響する

6歳臼歯を含む奥歯でしっかり噛んで食事をすることは、顎骨やお口周辺の筋肉の発達を促します。そして顎骨が大きくなることは次の永久歯が生えてくるスペースを確保することにつながります。もしそのスペースがなければ、狭いところに歯がギュウギュウに生えてくるため、歯が重なってしまったり(叢生)、上の前歯が前方に飛び出してしまったり(上顎前突;俗にいう出っ歯)するなど様々な不正咬合の原因になってしまいます。

4.舌を正しい位置に導く

6歳臼歯が垂直方向にまっすぐと生えてくることが大切です。垂直方向とは上顎の歯であれば真下方向、下顎の歯であれば真上方向を意味します。正しい方向にまっすぐ生えてくることはお口の中の容積を確保することにつながるのです。例えば6歳臼歯が傾斜して生えていたり、もしくは半分までしか生えてこなかったり(半埋伏歯)するとお口の中が狭くなります。
少し極端な例ですが、以下のお写真をご覧ください。左は歯が正常に生えた状態、右は歯が全くない状態です。左は歯が噛みあうためお口の中に空間が確保できます。しかし右は噛みあう歯がないため歯肉同士がくっつく形になりお口の中の空間がぐっと狭くなっていますね。このように歯が垂直方向にまっすぐそして全体が生えてくることはお口の中の容積確保に関わるのです。

 

ではもしこの容積が狭いとどんなことが起こるのか。ズバリ“舌”の居場所がなくなってしまいます。以前のブログ『ベロ(舌)は宝物!』でお話したとおり、舌の正しい位置は上顎にあるスポットに舌先があたり、舌全体が上顎に吸い付いている状態をいいます。

しかしお口の中の容積が狭いと舌がこのスポットに収まらず下顎の方にだらりと低く下がってしまいます。いわゆる低位舌(ていいぜつ)です。低位舌になると、歯並びが悪くなったり、口呼吸をしがちで感染症になりやすくなったり、滑舌が悪くなったり、更にはイビキや睡眠時無呼吸症候群などの症状を引き起こす恐れがあります。

【補足】スポットポジションがわかりにくい方は試しに唾(つば)を飲み込んでみてください。唾を飲み込む時に舌先があたる部分がスポットです。もしこの時に舌先がスポットから離れ歯に当たってしまうという人は舌癖があるといえます。舌癖とは嚥下の際に舌を上下の歯の間に挟んだり、舌で上もしくは下の歯を押したりする癖を指します。いずれも舌の力が歯に伝わり歯並びが乱れる原因になります。

このように永久歯全体が正常に機能するかを左右する6歳臼歯は“歯の王様”とも呼ばれています。なんかカッコイイですね!

6歳臼歯の弱点

さて、大きくて強い“歯の王様”6歳臼歯ですが、実は最大の弱点があります。それはとてもむし歯になりやすいということです。一説によると6歳臼歯は生えてから1年のうちにおよそ50%のお子様がむし歯にかかっているとも言われています。

 

『歯の王様と呼ばれているのに、むし歯になりやすい?なにそれ、ダメじゃん』

 

と思う方も多いかもしれません。はい、そうなのです。ダメなのです。しかしそれは6歳臼歯がダメなのではなく、6歳臼歯が歯の王様として活躍できるように私たちがケアをしなくてはダメ、ということです。ではまず正しいケアのやり方をお話する前に6歳臼歯がむし歯になりやすい主な原因についてみていきましょう。

むし歯になりやすい原因①:生えてきていることに気が付かない

6歳臼歯は乳歯の奥歯の“さらに奥”に生えること、そして背が低い状態が1年ほども続くことから、なかなか生えてきていることに気が付きにくいのが特徴です。そのため歯ブラシで磨くことをしなかったり、もしくは磨こうとしても歯ブラシが届きにくかったりするので磨き残しが発生します。またすべて生えきるまでは歯肉が6歳臼歯の上にかぶさっていているので歯と歯肉との間に汚れがたまりやすく、しかも除去しにくいです。このことも清掃状態が悪くなる一因です。

むし歯になりやすい原因②:溝が深い上に複雑

こちらの写真は6歳臼歯の咬合面、すなわち上下の歯が咬みあう面です。ご覧の通り、溝が深く複雑な形をしています。そのため、溝に食べかすが溜まりやすく、歯磨きが届きにくいことから磨き残しが多くなります。また上下の歯が生えそろいしっかりと咬みあうまでに1年~1年半ほどかかるため、その間も歯垢がたまりやすい状態が続いてしまいます。

さらにこちらのお写真もご覧ください。普段通り歯磨きをしていただいた後に歯垢染色液で染め出した様子です。歯垢染色液とはその名の通り“歯垢が残っている箇所を赤く着色する液”です。幼少期に一度は経験したことがある方も多いかもしれませんね。一見綺麗に磨けているように見えますが、歯と歯肉の際部分や咬合面の溝部分に磨き残しが多いのがわかりますね。これら歯垢は細菌の塊ですから蓄積していくとむし歯や歯周病の原因になります。

 

むし歯になりやすい原因③:生えたては未熟な歯

歯の主な構造は外側からエナメル質、象牙質、歯髄(神経)です。完成された歯の場合、エナメル質は人体の中で最も硬い組織です。しかし、生えたての永久歯は未完成でエナメル質が柔らかいため酸に溶けやすいです。そのため簡単にむし歯になりやすく、むし歯の進行が早いのです。ちなみに歯の根っこが完成するまでには生えてから2~3年ほどかかります。

これらが、6歳臼歯がむし歯になりやすい原因です。ではどのようにして“歯の王様“をケアしていけばよいのでしょうか?

 

生えかわり時期に注意すること

まず大前提として「乳歯のむし歯もきちんと治療しておくこと」です。前回のブログ『なんで歯って生えかわるの?』でも触れましたが乳歯にむし歯があると永久歯がむし歯になるリスクも高まります。その上で次のような「予防」を積極的に行うことが大切です。

歯医者さんでフッ化物を塗布

フッ化物には歯質自体を強くしたり、溶け出した歯を修復(再石灰化)したりする効果があります。また歯垢の中にフッ化物がとどまることでむし歯の原因菌の活動を抑え、酸を作らせないように働きかけるので、むし歯予防に大変効果的です。そして毎日使う歯磨き粉もフッ化物成分が含まれたものがおすすめです。ドラッグストアなどの市販の歯磨き粉にも『薬用成分NaF950ppm』などフッ化物成分が含まれたものが多く売られていますよね。ぜひフッ化物成分ありのものを積極的に使用しむし歯予防に努めましょう。ただし、お子様の年齢によって適切なフッ化物濃度の使用量があります。以前のブログ『嗚呼、かんちがい~フッ素は猛毒?』でも書きましたが、詳しくは当院スタッフにお声掛け下さい。

歯医者さんでシーラント

シーラントはレジンなどのプラスチック樹脂で歯の溝を埋める処置です。先ほどご説明したように生えたての6歳臼歯は歯の溝が複雑かつ深いためどうしても歯垢(プラーク)が溜まってしまいます。それを防ぐために溝を埋めてあげるのです。なおシーラントにはフッ素が含まれているため副次的な効果で歯の表面を強化することにも期待できます。さらに健康保険が適用です。

適切な歯ブラシと正しいブラッシング

6歳臼歯は、生え始めは乳歯より背が低くまた一番奥に生えるため、通常の奥歯の磨き方では歯ブラシが届きません。イラストのように歯ブラシをお口の斜め横から入れ、毛先を噛み合わせの部分(溝)に押し付けるようにしてみがきましょう。その時歯ブラシを小刻みに動かすこともポイントです。

歯と健康を考えたおやつの選択

『歯を十分に磨いているのにむし歯が多い』という場合には、糖分を摂り過ぎている可能性があります。むし歯の原因菌たちは糖分を餌にして酸を作り、その酸が歯を溶かします。これがむし歯です。美味しいおやつはお子様の楽しみの1つでもありますが、おやつの量やメニューに十分気を付けましょう。

ちなみに甘さを感じる食べ物ならフルーツを取り入れるのもベターです。例えばいちごやプラムなどは天然の甘味料キシリトールを含む食品で、むし歯予防にも効果的です。しかし果糖が含まれるのと酸蝕症のリスクがゼロではありません。(酸蝕症については以前のブログ『ダイエットで歯がボロボロに』で詳しく説明しております。ぜひご覧ください。)そこで私たちビバ歯科のおすすめはこちらのお菓子です!

これらは甘味料にキシリトールを100%使用しているためむし歯の心配が「ゼロ」です。キシリトールはむし歯の予防や、むし歯になりかけた歯を修復してくれる働きがあります。しかも普通のお砂糖と比べても同じくらいの甘さがある上、カロリーは25%ほどオフです。これはもう今日からのおやつはこれに決まりですね(笑)当院受付にて販売しておりますのでぜひお試しください。6歳頃になると遊び友達が増え、お子様の行動範囲も広くなる頃です。お父さんお母さんの知らないところで甘いお菓子ばかり食べてしまうことも考えられます。十分注意してお子様の様子を見守っていきましょう。

さて、今日は“歯の王様”6歳臼歯についてお話しました。歯は一度失ったら二度と生えてきません。ぜひ毎日のセルフケアと定期的な歯医者さんでのプロフェッショナルケアで大切にしていきましょう!

医院概要

医院名 ビバ歯科・矯正小児歯科
住所 〒273-0002
千葉県船橋市東船橋1-37-10
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電話番号 047-421-0118
最寄り駅 JR総武線「東船橋駅」南口 徒歩30秒
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