ブログ・予防歯科
ドライマウスは命にかかわります
こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
すっかり秋らしい気候になり、朝晩はコートが欠かせない季節になってきましたね。そして秋が深まり冬に近づくにつれて湿度が下がるので空気の乾燥が気になる季節でもあります。ノドや肌の乾燥対策として加湿器をご用意される方も多いのではないでしょうか。実際に当院でも待合室には加湿器を稼働させています。
ところで、先ほどノドの乾燥と言いましたが、その手前のお口の中はどうですか?多くの方がノドや唇の乾燥は水分を摂取したり、リップクリームを塗ったりして対策されていると思いますが、案外“お口の中”は盲点ではないでしょうか?そこで本日はお口の中の乾燥、いわゆる“ドライマウス”についてお話していきます。お口の中とりわけ舌をみると全身の健康状態がわかるとも言われています。ぜひ最後までご覧くださいね!
目次
ドライマウスって何?
ドライマウス(口腔乾燥症)とは、様々な原因により唾液の分泌量が少なくなり、お口の中が乾いてしまう状態をいいます。ドライマウスそのものは病気というわけではないですが、放っておいてよいというわけでもありません。なぜならドライマウスが原因で口臭がひどくなったり、むし歯リスクが高まったりするからです。
ちなみに唾液には以下のような様々な働きがあります。これだけでもお口の中でとても大切な役割なのがわかりますね。
唾液の主な働き
- 抗菌作用…お口の中の細菌の増殖を防ぐ
- 浄化作用…歯や歯間に付着した食べかすを洗い流す
- 緩衝作用…食後酸性に傾いたお口の中を中性に戻し、酸が歯を溶かすのを防ぐ
- 消化作用…酵素アミラーゼがでんぶんを分解し、消化しやすくする
- 保護作用…お口の中の粘膜を保護し、傷を修復する
- 潤滑作用…お口の中を湿らせ咀嚼・嚥下・発生などの運動を助ける
ドライマウスが引き起こす症状
健康なお口の中は唾液で潤っています。しかし唾液が減少し乾いたお口の中では様々なトラブルが引き起こされます。次のような症状がある方はドライマウスの可能性があるので要注意です。
☑口臭が気になる
唾液の浄化・抗菌作用の低下により、お口の中に食べかすが残り、細菌の繁殖が活発になります。更にこれらが原因でむし歯や歯周病にもなりやすくなります。
☑口内炎ができやすい
唾液の保護作用が低下し、舌や頬などの粘膜が傷つきやすくなっています
☑お口の中や舌が激しく乾きヒリヒリと痛い
唾液の保護作用が低下し、舌のひび割れなどが起こっています
☑お口の中がネバネバする
唾液の抗菌・自浄作用が低下しお口の中の細菌が活発になり、粘りがでています。本来であれば唾液はサラサラしているのが理想です
☑食べ物が飲み込みにくい
特にパンやビスケットなどの乾いた食べ物が食べづらくなります
☑食べ物の味が感じにくい
お口の中の乾燥や舌のひび割れにより味蕾(みらい)の感覚が鈍ります。味蕾は舌などに存在するつぼみ状の器官で味覚をキャッチします。
☑舌がもつれて話しにくい
お口の中が乾燥するので話しづらくなり発音障害につながることもあります
☑夜中に口の渇きで目が覚める
重症化すると夜中に度々目が覚めてしまい不眠を引き起こすこともあります
☑風邪などの感染症にかかりやすい
抗菌作用が低下するので感染症にかかりやすいです。特に口呼吸の方はウイルスをダイレクトに取り込んでしまうので注意が必要です。
ドライマウスが怖いのは“食事”や“会話”などの日常生活にもトラブルを引き起こす点です。食事を楽しめなかったり口臭が気になり集中できなかったりするなど生活の質を低下させストレスの原因になります。さらに、重症化すると食事が満足にできなくなり栄養状態の悪化、会話がスムーズにできないことによる社会からの孤立などにつながることも考えられます。特に免疫力や全身の機能が低下しているご高齢の方の場合には感染症や誤嚥性肺炎*のリスクも高まります。さてあなたは何個当てはまりましたか?
*誤嚥性肺炎についてはこちら⇒『お口の老化進んでいませんか?』
ドライマウスの原因
ではドライマウスになってしまう原因は何なのでしょうか。ドライマウスは年を重ねるにつれて起こることが多いことから、加齢現象と思われがちですが実は“生活習慣”が原因になっていることも多いと言われています。
過剰なストレス
ストレスを感じたり緊張をしたりすると交感神経が刺激され唾液の分泌量が低下します。そのためドライマウスになりやすくなります。ストレスを感じた時には頭を休ませリフレッシュさせる時間も大切にしましょう。ストレッチや深呼吸をおこなうだけでも血行が良くなり、ストレス解消にも繋がるのでおすすめです。
アルコール・カフェイン・ニコチンの過剰摂取
これらの物質は高い利尿作用があり脱水状態をきたすため、唾液の分泌量低下につながることがあります。特に飲酒は全身の脱水症状を招くため口の中が乾きやすくなります。喫煙は交感神経に影響を与え、唾液の分泌を低下させます。さらに喫煙は歯の健康にも悪影響を与えます。以前のブログ『知っていますか?喫煙と歯周病の関係』でも書いたとおり喫煙者の歯周病リスクは非喫煙者の4倍以上とも言われています。ドライマウスへの懸念だけではなく、歯そのものも失う原因になるのです。飲酒や喫煙の習慣がある方は、摂取量を減らすとドライマウスの症状を緩和させることができます。またこれを機に全身の健康のためにも、禁酒・喫煙に挑戦するのもおすすめです。
口呼吸
アレルギー性鼻炎で鼻がつまっていたり、扁桃肥大により鼻呼吸がしづらかったり、口周りの筋肉が未発達もしくは弱っていたりすると口呼吸になりがちです。口呼吸になると息が出入りする時にお口の中の唾液が蒸発してしまいドライマウスの原因となります。
不健康なダイエット
「とにかく痩せたい」という気持ちから無理なダイエットをおこなう方が少なくありません。食生活の改善や運動の日課であればまだしも、単純に“食事の量を減らす”という方は要注意です。食事量を減らす=咀嚼回数が減る=唾液の分泌量の減少、すなわちドライマウスにつながるからです。
不十分な咀嚼
咀嚼をするときに顎の筋肉を使いますが、現代人は噛む力が弱くなっているといわれています。というのも、現代は柔らかく食べやすいものが多かったり、孤食により食事時間が短縮されていたりと咀嚼時間自体が減少しているからです。
みなさんも昔、「しっかり噛んで食べなさい」と言われたことはありませんか?よく噛んで食べることにより唾液の分泌が促され口の乾燥を防ぐことができるのです。しかし、柔らかいものばかり食べていたり、早食いをしていたりなどで咀嚼の回数が減ると唾液の分泌も減り、自ずとドライマウスになりやすい口内環境になってしまうのです。
薬の副作用
花粉症の薬、アレルギー薬、抗うつ剤、鎮痛剤、血圧降下剤、抗パーキソン剤など多くの薬の副作用として唾液分泌の低下があり、口の渇きを感じることがあります。これらの薬を服用されている場合は、薬の服薬量について担当医と相談することをおすすめします。
全身疾患
全身的な病気が原因でドライマウスが引き起こされていることもあります。例えば糖尿病です。糖尿病は膵臓でつくられるインスリンの分泌や作用が低下し、血糖値が慢性的に高い状態になる生活習慣病です。血糖コントロールができない高血糖状態では、糖を含んだ尿が大量に排出されるため体内が脱水状態になります。そのため口の渇きを感じるのです。もし慢性的なお口の渇きに悩まされている方がいれば 「ただ口が乾燥しているだけ」と考えずにぜひ一度かかりつけ医を受診しましょう。
放射線治療
口腔や咽頭などの悪性腫瘍に対する放射線治療により、唾液腺の機能に障害を生じ、唾液の分泌量が少なくなることがあります。
シェーグレン症候群
自己免疫疾患が原因で唾液腺・涙腺が破壊され唾液や涙の分泌量が減少する病気です。お口の中の乾燥であるドライマウスに加えて、目の乾燥であるドライアイが主な症状です。患者数は圧倒的に女性が多いとされていますが、男性にもみられる疾患です。
加齢現象
年齢を重ねるにつれて口周辺、顎などの筋力の低下が起こり、唾液の分泌量が低下します。また女性の場合は閉経前後およそ10年間の更年期を迎えると、女性ホルモンのバランスが急激に変化し心身ともに様々なトラブルが起こります。特に唾液の分泌は女性ホルモンのコントロールをうけているため、更年期時期のホルモンバランスの乱れから唾液の分泌量が減少し、口の渇きを感じることがあるのです。
このように原因は様々あり、これらが複雑に絡み合い唾液が極端に出にくくなるのがドライマウスという病気です。
ドライマウスの対策法
それではどのようにしてドライマウスを予防・対策していけばよいのでしょうか。いくつか方法がありますが簡単にできる代表的なものをご紹介します。
こまめな水分補給
唾液には様々な水分が含まれていますが、その大半が水分です。つまり水分不足=唾液の減少につながります。普段からマイボトルを持ち歩きこまめな水分補給を心がけましょう。なおカフェインが含まれていると利尿作用があるため、できる限りノンカフェインのお水や麦茶がおすすめです。同じ味ばかりで物足りないという場合にはルイボスティーやハーブティも取り入れると飽きる心配もなくおすすめです。
ガムを噛む
ガムを噛むと唾液腺が刺激され、唾液の分泌促進につながります。しかし糖類が含まれるガムの場合むし歯のリスクがあるため心配です。よって “キシリトール100%配合”のものがおすすめです。ビバ歯科・矯正小児歯科ではシュガーレスガムを多数取り扱っておりますのでぜひお求めくださいね。
パタカラ体操を取り入れる
「パ」「タ」「カ」「ラ」を、それぞれ5回ずつ3セット発音します。
「パパパパパ、タタタタタ、カカカカカ、ラララララ」を3回繰り返し発声すればOKです。大きな声で、1文字1文字ハッキリと発音することがポイントです。唾液腺を刺激し唾液の分泌を促進するのに効果的です。またこのパタカラ体操は口腔筋機能訓練にもなり、顔・口・舌の筋肉を鍛えるのにも効果的です。そのため嚥下機能の回復、いびきや歯ぎしりの改善、顔のたるみなどのアンチエイジングとしてもおすすめです。
唾液腺マッサージをする
お口の中には唾液腺と呼ばれる唾液の出やすいポイントが3つあります。【耳下腺・顎下腺・舌下腺】です。そして唾液の分泌を促すために、唾液腺を刺激することを“唾液腺マッサージ”といいます。食事の際に「よくむせる」、「食べ物を噛みにくい」という方はお食事の前におこなうことで唾液の分泌が促進されるのでおすすめです。リラックス効果も期待できるため、以下を参考に1か所につき10~20回程度行いましょう。
耳下腺(じかせん)
耳の前あたりに存在します。例えば、梅干しなどのスッパイ食べ物を想像してみてください。すると唾液がジワっと出ますよね。その唾液が出る部分が耳下腺です。親指以外の4本の指を頬にあて、上の奥歯付近を後ろから前に向かって優しく円を描くように押しましょう。
顎下腺(がっかせん)
顎の下あたりに存在します。エラより少し前方の顎の内側に柔らかい部分があるので、その部分を指で押します。顎下腺は押すと唾液が出るので、唾液腺の場所が簡単に探せます。
舌下腺(ぜっかせん)
顎の内側あたりに存在します。顎の骨の内側を、顎の真下から舌を押し上げるようにグーっと両手の親指で押します。舌下腺は他の唾液腺と違い少し深い部分にあるので少し強く押しましょう。
ただし、口や喉のガンの治療中の方や血管の病気がある方は、耳下腺のマッサージを行うことで病気の症状が悪化する可能性があります。主治医の先生に相談の上行うようにしましょう。
いかがでしたか。今までお口が乾いていても「たかが口の乾燥じゃん」と思ってはいませんでしたか?でも実はそれ、『たかが』では済まないのです。重大な病気の予兆や体からのSOSかもしれないのです。今回のブログを読んで少しでも心当たりがある方はぜひドライマウスの予防法を日々の生活に取り入れてみてくださいね。
おまけ
ロイテリ菌で口腔内環境を整える
ロイテリ菌とは、ヒトの母乳・口腔由来の乳酸菌です。ビフィズス菌などの善玉菌に対しては影響を与えず、悪玉菌を感知したときに働くという性質があります。当院でも歯周病治療やむし歯治療の一助として、患者様にロイテリ菌の服用を推奨しております。実際にロイテリ菌を服用することにより、当院の患者様も唾液の分泌量が増え、しかもサラサラになることが認められました。これは口腔内の微生物の量が減り、菌質が改善されたということです。以前のブログ『ロイテリ菌の底力~歯周病治療に大きな効果』では実際の症例も掲載しておりますのでぜひご覧くださいね。
医院概要
医院名 | ビバ歯科・矯正小児歯科 |
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住所 | 〒273-0002 千葉県船橋市東船橋1-37-10 (タップでGoogleマップが開きます) |
電話番号 | 047-421-0118 |
最寄り駅 | JR総武線「東船橋駅」南口 徒歩30秒 アクセスの詳細はこちら |
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