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【歯のケガどうする?】抜けた!欠けた!グラグラする!

こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

当院では通常の診療以外に、外傷を伴う患者様を診ることがあります。外傷とはケガのことで歯に関して言えば、何らかの原因により「抜けた」・「欠けた」・「ずれた」・「割れた」など様々です。成長と共に活動が活発になってくるお子様が多い歯のケガですが、中には転倒や事故により歯にケガを負う大人の方も少なくありません。そしてその多くが唇やお口周りの出血もあるため、「どうしよう!」とパニックになりがちです。

そんな時、『何をしたら良いか』、逆に『何をしてはいけないのか』を知っていればきっと役に立つでしょう。そこで今日は歯やお口周りをケガしたときの応急処置についてお話します。ぜひ最後までご覧ください。

歯のケガの原因で多いのは?

転んだ

室内室外問わず「転んでお顔を打ってしまった」というケースが多いです。そして意外にも、自宅内で滑って転倒したり階段を踏み外して落下したりといったケースもあります。特につかまり立ちが始まった赤ちゃんは好奇心旺盛で活発です。しかし何かにつかまったつもりが運動機能の未熟さからバランスを崩し倒れてしまうことも。

ぶつけた

お子様の場合には鉄棒や滑り台などの遊具にぶつけて歯を負傷する子が多いです。またこれは子ども・大人問わずですが、競技者間の接触を伴うようなスポーツ(ラグビー・アメフト・サッカー等)では相手の肘が歯に当たって負傷するといったこともあります。

事故

交通事故による顔のケガという場合もありますが、中には自転車から落ちて顔を強打し歯が折れた、という自損事故のケースもあります。不慮の事故は防ぐのは難しいですが、社会問題にもなっている「ながらスマホ」による事故は防げる事故です。

歯やお口をケガした時の応急処置

歯やお口周りにケガをした時、まずは頭部の外傷を確認しましょう。意識がなければ心臓マッサージやAEDの使用、救急車の手配が必要です。また、意識があってもめまいや嘔吐が見られた場合には、歯科よりも医科の専門診療科を優先します。続いて、以下を参考に歯やお口周りのケガの状況に応じて対応してください。

唇や歯ぐきから出血している

速やかに止血をしましょう。清潔なガーゼやハンカチを出血部位に直接押し当てて圧迫しながら止血をします。その際、感染防止のため血液に直接触れないように注意してください。できればビニール手袋(なければビニール袋等)を装着しましょう。

▲転倒して口元を強打。出血がひどく歯の先端が欠けている。
▲保育園で転んでベッドの角に強打。歯肉より出血。

歯が抜けた

歯が根っこから完全に抜け落ちた場合には、お口に戻せる(再植)ことがあります。後ほど詳しく説明しますが、そのためには歯を乾燥させないことが必須です。抜けた歯は牛乳や生理食塩水*に入れて保存し、速やかにかかりつけの歯科医院に行くようにしてください。なお、再植ができるかどうかは歯の保存状態によります。例えば、乾燥以外にも「抜けた歯をキレイに洗ってしまった」としたら再植できる可能性は低くなります。これについても次の項で詳しくお話します。
*生理食塩水:0.9%の食塩水(1Lの水に9gの食塩を溶かしたもの)

▲階段から転落。上顎前歯が抜け落ちた。

歯が欠けた

歯が部分的に欠けてしまった場合、破片を元の位置に戻すことは難しいことが多いです。ただ、もし見つかるのであれば先ほどと同様に牛乳や生理食塩水に浸し保存して歯科医院に持参しましょう。なお少し歯が欠けた程度であれば様子を見てからの歯科受診でも問題ありませんが、大きく欠けた場合にはすぐに歯科を受診しましょう。ケガの衝撃により歯の神経が損傷したり、死んだりしていることもあるからです。放っておくと歯が変色したり歯ぐきが腫れたり、もしくは強い痛みが出たりする場合もあります。

▲自転車で転倒し上顎の前歯2本が欠けた

歯がグラグラしている・ずれた

気になるとは思いますが、該当の歯には触れず速やかに歯科医院に行きましょう。その際強く口を閉じると負傷した歯に負担がかかるため、注意してください。なお揺れ具合が軽微であっても、歯を支える骨(歯槽骨)がダメージを受けていたり、歯の根っこ(歯根)が折れていたりすることも考えられます。また乳歯のケガの場合「いずれ抜けるから」と放置する方がいますが、それはおすすめできません。なぜなら、乳歯が負傷した場合、永久歯の生えかわりにも影響することがあるからです。必ず歯科医院を受診しましょう。

▲自宅の階段から転落し口元を強打。下顎の前歯がずれた。

*歯やお口の外傷により歯科医院に行く際には、あらかじめ連絡をしてから行きましょうビバ歯科は基本的に完全予約制ですが、歯が抜けたなど一刻も早い処置が必要な患者様がいらっしゃった際には急患として優先的に診ています。なぜなら早めに処置するほど歯の戻せる再植確率があがり予後も良いからです。当院は医療倫理に則り医療機関の使命として外傷の患者様を受け入れております。ご予約の患者様には大変ご迷惑をお掛けいたしますが、ご理解ご協力いただければ幸いです。

(重要)抜けた歯・欠けた歯の保存方法

100%ではありませんが、抜けた歯や欠けた歯は元に戻せることがあります。外傷後、該当の歯が見つかれば必ず保存し歯科医院に持参してください。ただし、歯を元に戻せるか否かは、歯の保存状態の良さに大きく影響されます。特に大切なのが歯根膜(しこんまく)の存在です。歯根膜は歯の根元部分に付いており、歯と歯槽骨をつなぐとても大切な組織です。この歯根膜がなくなってしまうと歯を歯槽骨に戻せなくなってしまいます。そのため以下3つの「ない」を厳守し歯を保存してください。

洗わない

地面に落ちて土や砂で汚れると思わず、水で洗い流したくなりますよね。しかしこれはNG行動です。絶対に洗ってはいけません。なぜなら再植治療の要とも言える歯根膜(しこんまく)を傷つけてしまうからです。

触らない

厚さが0.2㎜程しかない歯根膜はとてもデリケートです。そのため、歯の根元部分(歯根:しこん)を触ってしまうと歯根膜が傷つきます。よって、落ちた歯を拾う際には歯の頭の部分(歯冠:しかん)を摘まむようにしてください。

乾燥させない

歯根膜は乾燥にとても弱い組織です。もし乾燥してその細胞が死んでしまえば歯が歯槽骨にくっつかず戻せなくなってしまいます。よって歯根膜を乾燥させないことが大切です。拾った歯は乾燥を防ぐために、「牛乳」や「生理食塩水*」に浸して保存してください。なお学校や幼稚園などの教育機関には「歯牙保存液」という歯を保存するための専用の液が備えられていることもあります。また万が一すぐにこれらが手に入らない場合には、本人のお口の中で唾液に触れる状態で保存します。頬の内側や舌の下に置き、飲み込まないようにだけ注意してください。とにかく歯根膜を乾燥させない状態で速やかに歯科医院を受診しましょう。
*生理食塩水:0.9%の食塩水(1Lの水に9gの食塩を溶かしたもの)

さて今回は歯の外傷に見舞われたときの応急処置についてのお話でした。予期せぬ事態に患者様ご本人はもちろん周囲の人も動揺することと思います。しかし、「歯が抜けてしまった」ときは緊急事態です。いかに適切な方法で歯を保存し、さらにいかに早く歯科医院に到着できるかで治療の選択肢が変わります。もしものときに備えてぜひこのブログの内容を覚えておいてくださいね。

なお、外傷に対する症例及び治療については過去のブログ『「歯が折れた!歯がずれた!」急患ご相談下さい』をご覧ください。歯が欠けた部位に対する処置や脱臼してグラグラした歯に対する処置などを写真付きでご紹介しています。

最後に

「〇〇についてブログに書いてほしい」などのリクエストや「△△って何?」などのご質問も随時受け付けております。以下いずれかよりぜひご連絡いただければ嬉しいです!

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