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歯が足りない~先天性欠如歯

こんにちは。千葉県船橋市東船橋にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

皆様、いつもブログをご覧いただきありがとうございます。今日は私たちヒトが持つ歯の本数についてのお話です。ぜひ最後までお付き合い下さいね。

さて早速ですが、私たちヒトには歯が何本あるかご存知でしょうか?乳歯は全部で20本、永久歯は親知らずまで入れて全32本です。しかし生まれながらに(先天的)に歯の本数が足りない人がいます。これを専門用語で先天性欠損歯もしくは先天性欠如歯と言います。(現在学術的には先天性欠如歯の表記が用いられているため、以下「先天性欠如歯」で統一します)

ところで、みなさんはご友人との会話の中で「親知らずがある・ない」と話題にしたことはありませんか。人によって、“真っすぐ生えている人(ある)”、“むし歯になったので近々抜歯するという人(ある)”、“すでに4本抜歯済みの人(ない)”などがいますよね。しかし、少しややこしいのですが、この「親知らずが“ない”」という場合には以下3つの解釈ができると思います。

親知らずがない3つの場合

 

抜歯をしたので“ない”

むし歯になったり、横向きに生えて隣の歯を押したりしている場合には、親知らずを抜歯することがあります。

歯肉の中に完全に埋まっているため“ない”

こちらは、本当は存在するけれども歯肉の中に隠れているため肉眼では“ない”状態をいいます。このように歯肉の中もしくは骨の中に埋まったまま出てこない歯のことを埋伏歯といいます。埋伏歯については以前のブログ『お子様の永久歯、全部そろっていますか?~埋伏歯の存在』で詳しくお話していますので参考にして下さい。

存在自体が“ない”

こちらはそもそも親知らずという歯が“ない”状態です。歯は歯の元になる歯胚(しはい)という種が成長して作られます。しかしこの歯胚がないと該当部分の歯は成長できません。すなわちその部分は歯が“ない”ということになります。この先天的に歯が欠如している状態が先ほどご紹介した先天性欠如歯です。これは病気ではなく、形成異常の1つです。

 

少し話が逸れましたが、このように先天性欠如歯の中でよく見られるのが親知らずの欠如です。しかし親知らず以外の歯にも先天性欠如歯は見られます。以下で詳しくご紹介していきますね。

 

先天性欠如歯の発生頻度と部位

日本小児歯科学会の調査によると一本でも先天性欠如歯がみられる人の割合は10.1%(親不知を除く)、つまり10人に1人の割合で歯が欠如しているとうことです。また上顎では4.37%,下顎では7.58%ということで、下顎の方が欠如の割合が高くなっています。しかし、左右の頻度の差はそれほどありません。また欠如が発生する主な部位は以下のように言われています。

乳歯:上下顎乳側切歯(前から2番目の歯)
永久歯:上下顎第三大臼歯(親知らず)、上顎側切歯(前から2番目の歯)、上下顎第二小臼歯(前から5番目の歯)、下顎側切歯(前から2番目の歯)、下顎中切歯(前から1番目の歯)

 

なお1本だけのケースが多いですが、中には複数本の欠如がみられる患者様もいらっしゃいます。また7歳の時点でレントゲン写真において永久歯の歯胚(歯の種)が乳歯の根っこの下に確認できない場合、およそ9割の確率で永久歯が欠如するとも言われています。当院ブログ内で繰り返しお伝えしていることにはなりますが、やはり幼いうちからの定期健診がいかに重要かがわかりますね。つづいて、実際の症例写真をご紹介します。

 

実際の症例

※写真は左右逆に写ります

症例1:【14歳 女児】

左上側切歯(前から2番目)が先天性欠如歯

症例2:【15歳 女児】

右上第二小臼歯(前から5番目)が先天性欠如歯

症例3:【12歳 女児】

右下側切歯(前から2番目)が先天性欠如歯

 

先天性欠如歯の原因

永久歯の元となる歯胚(歯の種)が何らかの理由で作られず欠如が起こります。一説にはやわらかい食べ物が多い現代の食生活による退化現象が理由とも言われていますが実のところハッキリしたことはわかっていません。しかし遺伝的な傾向があることは顕著で、ご両親やご兄弟に先天性欠如歯が見られる場合、それが出現する確率は高いと言われています。

 

どんな影響があるのか

まずは審美面すなわち見た目に影響があります。もし左右いずれかだけに欠如があったとしたら左右非対称の歯列になり見た目が不自然です。次に機能面です。以前のブログ『歯は全部で何本?』で少し紹介しましたが、歯には1本1本にその役割があります。そのため、単に「1本、2本歯が少ないだけだから」とはならないのです。また永久歯の欠如の場合、乳歯が脱落後はそこに隙間ができることになります。このスペースを長期間放置するとお隣の歯が傾いたり、上下の噛み合う歯が伸びてきたりしてこの隙間に移動してくることになります。すると咬み合わせが悪くなり安定した咬合状態を維持する事が困難になるのです。ちなみに歯が上に向かって移動することを “挺出”(ていしゅつ)と言います。以前のブログ『嗚呼、かんちがい~歯のお引越し』で詳しく説明しておりますのでぜひご覧ください。

 

(参考)様々な歯の移動

・挺出:上下の歯が咬み合う咬合面に向かって歯が移動すること

・圧下移動(あっかいどう):歯が根っこの方向に移動すること。挺出とは真逆の移動

・歯体移動(したいいどう):歯が様々な方向に平行移動すること

・傾斜移動:歯が傾斜すること

・捻転:歯が軸を中心に回転すること

 

先天性欠如歯の治療方法

乳歯に先天性欠如歯が認められた場合、そこに生える永久歯があるのかないのかでその治療は大きくかわります。もし永久歯があるのであれば大半がスペース不足すなわち永久歯が生えるスペースが足りないため矯正治療が必要です。また、永久歯に先天性欠如歯が認められる場合には欠如歯の本数や欠如部位、そして全体の咬み合わせによってその治療方法も変わってきます。以下に主な治療法を記しますので参考までに。

 

1.矯正治療をする

歯が欠如している隙間部分が目立たないように、全体の歯並びを整えます。当院の矯正治療についてはこちらのページをご覧ください。

2.乳歯を大切につかう

正常であれば成長に伴い乳歯がグラグラしてきてやがて抜け落ち、その真下から永久歯が生えて

きます。この時歯の根っこ部分(歯根)では乳歯の歯根に永久歯が触れその刺激で乳歯の歯根が溶けて短くなるという歯根吸収という現象が起きています。歯を支えている歯根が溶けてなくなるので乳歯が抜け落ちるのです。しかし永久歯が欠如している場合にはこの歯根吸収が起きないため乳歯はそのまま残ります。そのため、毎日大切にケアをすれば30代、場合によっては40代まで乳歯が使えることもあるのです。

しかし乳歯は永久歯に比べてむし歯にかかりやすく一度むし歯になると進行も早いです。なぜなら、乳歯は永久歯よりも歯質が弱くその厚みも2分の1程度のため、むし歯になって歯が溶け始めると早い段階でむし歯が歯の神経にまで達してしまうからです。また乳歯の奥歯の場合溝が細かくそこに汚れが溜まりやすい形をしています。これらのことから少しでも乳歯を長く使い続けるためには永久歯以上にむし歯予防が大切です。

 

3.入れ歯をいれる

先天性欠如歯の部分に入れ歯を装着します。取り外しができお子様でも使用可能です。なお入れ歯は保険適応ですが、素材によっては自費(保険外)です。患者様に費用面のご負担はありますが、素材を変えることで違和感・不快感の少ない耐久性に優れた自分だけの入れ歯を作製できます。こちらのページで入れ歯について詳しく説明しておりますので参考にしてください。

4.ブリッジをいれる

先天性欠如歯の両隣の歯を土台にして橋渡しのように人工歯を固定する治療です。入れ歯と違い簡単に取り外すことはできませんがその分安定し違和感なくものを噛むことができます。しかし両隣の健康な歯を削り支柱として利用するため、削られる両隣の歯の寿命を早めるリスクが伴います。とはいえ、後述のインプラントのように外科的処置は必要なく、更には短期間に治療ができるので患者様の身体的ご負担は少ないです。

5.インプラントをいれる

顎骨の中に人工の歯根を埋め込み、その上に人工歯を被せる治療です。入れ歯などに比べると見た目の自然さと天然歯(自分の歯)のようにしっかりと噛める機能性が魅力的です。ただし発育途中にある場合にはインプラント治療をうけられません。学会的にはインプラントの対象年齢は18歳以上とされています。また保険適用外のため完全に自費です。インプラントについては以前のブログ『インプラントって何だろう?』で詳しくご紹介しておりますのでぜひこちらもご覧ください。

6.何もしない

咬み合わせに問題がなく、かつ見た目が気にならないようでしたら「何もしない」というのも選択の1つです。

 

*最後に*

残念ながらこの先天性欠如歯はその名前の通り先天的な疾患であるため予防をすることはできません。そのため早い段階で先天性欠如歯の存在について把握するとともに、将来に向けてかかりつけの歯医者さんと治療方法を相談しておくことが大切です。そして早期発見により治療の選択肢を増やすことが可能です。先天性欠如歯は5~6歳頃からレントゲンで確認することができますので、ご両親やご兄弟を含め家系に先天性欠如歯の患者様がいらっしゃる場合にはぜひ一度歯医者さんでご相談されることをお勧めします。

 

医院概要

医院名 ビバ歯科・矯正小児歯科
住所 〒273-0002
千葉県船橋市東船橋1-37-10
(タップでGoogleマップが開きます)
電話番号 047-421-0118
最寄り駅 JR総武線「東船橋駅」南口 徒歩30秒
アクセスの詳細はこちら
駐車場 敷地内に5台分の駐車場があります
休診日 水曜(第1週)・木曜(第2週以降)・日曜・祝日