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舌が黒い?それ、黒毛舌かもしれません 

こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

ゴールデンウィークが終わりいよいよ初夏ですね。日によっては動くと汗ばむ日も増えてきました。そうなると冷たい麦茶やアイス、さらにはかき氷が食べたくなる頃ですよね。筆者は先日ついに今年初のかき氷を食べました。自宅にあるシロップの中から特に好きなブルーハワイをたっぷりかけて!・・とまぁここまでは「美味しい・楽しい」でテンションがあがるのですが、食べ終わった後が大変なことになっていました。

ブルーハワイを食べたことがある方なら察していただけるかもしれません。そうです、舌が真っ青に染まっていました(笑)みなさんもご経験はないですか?いわゆる合成着色料ですね。水を飲んでもなかなか取れず、その日は何となくマスクを外せずに過ごしていました。

さて前置きが長くなりましたが、普段みなさんの舌は何色をしていますか?健康的な舌は淡いピンク色をしています。ところが、トラブルが起きると舌が変色することがあるのです。その中でも今日は舌が黒くなる病気、その名も黒毛舌についてお話します。

 

黒毛舌って?

黒毛舌は“こくもうぜつ”と読みます。その名の通り、舌に黒い毛が生えているように見えます。黒毛舌がよく発症するのは舌の真ん中ですが、そこから後方に広がって変色していることもあります。

▲黒毛舌

 

黒毛舌の症状

痛みなどはなく、多くが舌の変色です。ただし、患者様によっては口臭や、味覚障害、舌の不快感を訴えることもあります。

 

 

黒毛舌の原因

腸内フローラという言葉がありますよね。これは細菌叢のことで、腸内の細菌バランスを整えることで食べ物を上手に消化吸収したり、腸内の免疫細胞を活性化したりして病原菌などから体を守ることをいいます。そして同様に口腔内フローラという言葉があります。お口のなかの細菌バランスを整え、全体の菌質を良くすることでお口の健康を維持するということです。ちなみにどんなに健康な人のお口の中でも常在菌と呼ばれる体に悪さをしない程度の細菌は一定数存在します。しかし、その細菌のバランスが崩れ悪玉菌が優勢になったときに、黒毛舌が発症します。

 

もう少し詳しく説明しましょう。舌が黒色になるのは“硫化”が原因です。硫化とはある物質が硫黄と結びついて別の物質に変化する現象のことです。よく聞くのが硫黄成分の含まれた温泉でシルバーアクセサリーが変色して黒くなってしまったという話です。これはアクセサリーの銀と温泉の硫黄成分が反応して硫化銀という黒い物質に変化したからです。これと同じことが舌の表面でおこります。カンジダ菌というカビの一種が増えることで硫黄化合物(硫黄を含む物質)がつくられます。これと血液中のヘモグロビンが結び付き黒くなると考えられています。カンジダ菌は普段はおとなしく目立たない存在ですが、細菌叢のバランスが崩れて異常な増殖をしたときに黒毛舌の原因となるのです。

 

具体例を以下にあげます。

抗生剤やうがい薬の利用

長期にわたり、抗生剤の服用や殺菌効果の強いうがい薬の使用を続けた場合に、その副作用で舌が黒くなることがあります。これはお口の中の常在菌のバランスが崩れ抗生剤に耐性がある細菌が増殖することが原因です。

 

過度のストレス/免疫力の低下

体調不良や寝不足などにより、体力や抵抗力が下がると、お口の中に存在するカンジダ菌が増え、その結果舌が黒くなることがあります。

 

嗜好品の影響

喫煙によるタールの沈着や着色性の強いコーヒーなどを長い期間摂取することで舌が黒くなる場合があります。

 

ドライマウス

ドライマウスとはお口の中の唾液の分泌量が減り、口腔内が乾燥することです。殺菌作用がある唾液の分泌が減るということはその分口腔内の環境が悪化し、細菌の増殖につながります。

 

洗口液の影響

むし歯や歯周病ケアのために取り入れている洗口液が黒毛舌を引き起こすことがあります。なぜなら洗口液は悪玉菌だけではなく、善玉菌や中立な立場の日和見菌でさえも殺菌してしまうからです。そうすると洗口液が原因でお口の中の常在菌バランスが崩れ黒毛舌を引き起こします。

 

このように、何か舌にダメージを与えたわけではなく、一見無関係なことが実は黒毛舌の原因になっていたということがあります。特に洗口液については口腔内環境を整えるためにやっていたのに実は・・・という点で患者さまも驚かれます。まさしく、『風が吹けば桶屋が儲かる』ですね。

 

実際の症例

  • 患者:70代男性
  • 経緯:舌がピリピリするということで来院
  • 診断: “吸入ステロイド薬”の副作用。

こちらの方は喘息の持病があるため、吸入ステロイド薬を常用していました。この薬はその一部がお口に残ったままだとお口の中にカビが生えること(カンジダ症)があります。そのため、その予防のために吸入後は毎回ぶくぶくうがいをすることになっています。しかし、お話を伺っていると『うがいができていなかった』とのことでした。吸入後にうがいを忘れがちな方は食事の前の吸入や、歯磨き前の吸入をするとお口の中に吸入ステロイド薬が残留するのを予防できます。ただしこちらは内科医の先生とよく相談しましょう。

なおこの方は黒毛舌の初期のため橙色をしています。症状が進むにつれて、褐色、黒褐色、そして黒色に変色します。

 

黒毛舌の対処法・治療法

黒毛舌は「舌が黒い」という見た目のインパクトから、慌てて相談にくる患者さまも少なくありません。しかしその治療自体はそれほど特別なことをするわけではありません。先述のように黒毛舌を引き起こす原因となったものを取り除くという至ってシンプルな治療です。

 

薬剤・うがい薬が原因

薬剤やうがい薬が原因の場合にはそれを処方している主治医に相談をしましょう。薬の変更や中断で黒毛舌が改善することもあります。ただし、元々の疾患の治療が優先です。患者さまご自身で薬を勝手に中断することは絶対にしてはいけません。

 

お口の中のケア

口腔内を清潔に保つことで自然に元の色に戻ることも多いです。通常のフロス、歯ブラシはもちろんのこと、舌ブラシの併用や舌ケア用のタブレットを舐めるのもおすすめです。

なおここで注意したいのが舌ブラシの使い方です。通常の歯ブラシではなく必ず舌専用のものをつかって優しく磨きましょう。その際は奥から手前になぞるようにし、細菌をかき出すイメージでケアをしましょう。

(参考)舌ブラシの使い方はこちらから

 

抗真菌剤の使用

先の症例の患者さまのようにお口の中にカビが生える口腔カンジダ症が原因の場合には抗真菌剤のはいった軟膏、内服薬、もしくはうがい薬を処方します。

 

唾液の分泌を促進

唾液が少ない環境すなわちドライマウスではカンジダ(カビの一種)が繁殖しやすい環境です。こまめな水分補給や唾液腺マッサージなどで唾液の分泌を促しましょう。詳しくは以前のブログ『ドライマウスは命にかかわります』をご覧ください。

 

体調管理

風邪をひいていたり、疲労がたまっていたりして免疫力が低下しているときにも注意が必要です。睡眠や栄養をしっかとり、体調を万全にしましょう。

 

さて今日は舌が黒く変色する黒毛舌についてご紹介しました。例にあげたように薬剤による副作用であればそれほど心配する必要はありません、しかし、舌の変色は胃腸障害、糖尿病、腎障害など他の疾患が原因の場合もあります。そのため気が付いた時点で早めに医療機関への受診をすることが安心です。

なお当院ではこれまでにも“舌”に関するブログを公開しています。以下のリンク先にございますのでぜひ合わせてご覧くださいね。

ブログ『ベロ(舌)は宝物!

ブログ『舌にぷっくりとデキモノ?~舌線維腫

 

最後に

「〇〇についてブログに書いてほしい」などのリクエストや「△△って何?」などのご質問も随時受け付けております。以下いずれかよりぜひご連絡いただければ嬉しいです!

(問い合わせ方法)

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医院概要

医院名 ビバ歯科・矯正小児歯科
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