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異常がないのに歯が痛い…それ非歯原性歯痛かも

こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

みなさんはどんな時に歯医者さんに行きますか?おそらく理由として最も多いのは「歯に痛みがあるとき」だと思います。重度のむし歯では眠れないほどの痛みを伴いますから一刻も早く痛みから解放されたいものですよね。
ところが次のようなご経験はありませんか?

このように歯や歯周組織に異常がないにも関わらず、歯に痛みを感じる状態非歯原性歯痛と言います。「そんなことある~?」と思われるかもしれませんが本当です。これを知っていれば「歯が痛くて歯医者に行ったのに、治療をしてくれない!」といったストレスから解放されるかもしれません。そして歯ではない別の原因(病気)を早期発見することになるかもしれません。ぜひ知識を1つ蓄えるという意味で本ブログをご覧くださいね。

 

非歯原性歯痛

歯科の疾患の中で最も一般的ともいえる歯痛。その原因のほとんどがむし歯や歯周組織の炎症によります。このように歯や歯周組織の異常による歯の痛みは「歯原性歯痛(しげんせいしつう)」と呼びます。これに対し、歯や歯周組織に異常がないのに歯が痛む、つまり歯には原因がない歯痛のことを「非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)」と呼びます。今日はこの非歯原性歯痛について詳しくお話します。

 

非歯原性歯痛の分類

日本口腔顔面痛学会では非歯原性歯痛をその原因ごとに次の8つに分類しています。

 

筋・筋膜痛による歯痛

非歯原性歯痛の中でも最も多くみられる歯痛です。食べ物を噛むときに使う咀嚼筋の疲労が原因で歯に痛みを感じます。いわば「筋肉痛からくる歯痛」です。このように痛みの原因のある部位から離れたところに感じる痛みのことを関連痛*と言います。

◆原因

顎を動かす筋肉である咀嚼筋(咬筋,側頭筋など)の疲労が原因です。噛みしめの癖があるなど咀嚼筋に慢性的に力を加えているような場合、その筋肉は常に活動し収縮した状態になります。すると筋線維が収縮したまま固まり「しこり」ができます。この時点では「凝り」を感じる程度でまだ痛みを感じません。しかし、しこりは血管を圧迫し血行不良を起こすためそこから痛みが発生します。これがいわゆるトリガーポイント(痛みの発生源)です。

ちなみに咀嚼筋は、歯と歯が少し触れるだけでも活動する筋肉です。以前のブログ『隠されたチカラ』でお話した通り、上下の歯が接触するのは食事中や会話中のみで1日に20分程度しかなく、それ以外の時間は歯と歯は離れているのが正常です。しかし、寝ているときに歯ぎしりをする人、ストレスを感じやすい人、そして長時間スマートフォンやパソコンで集中する時間がある人などは無意識のうちに歯を噛みしめている可能性があります。これらは咀嚼筋に慢性的な負担をかけるため注意が必要です。

なお、筋・筋膜痛による歯痛の多くが上下の臼歯部に発生し、うずくような鈍い痛みが特徴的です。

 

◆治療法

歯科で治療ができます。

  • トリガーポイントの筋肉を安静にする
    硬い食べ物の摂取やガムの咀嚼を控え、痛みの原因部位を休ませます。

 

  • マッサージやストレッチ
    筋肉の疲労で生じる痛みは温めることで軽減されます。よって患者様ご自身で咀嚼筋のマッサージをするのも有効です。筋肉の血流を促進し凝り固まった筋肉をほぐします。

 

  • マウスピースの装着
    上下の歯の接触を制限するためマウスピースやナイトガードを付けて筋肉をリラックスさせます。

 

  • 薬物療法
    持続性のある痛みや強い痛みがある場合には鎮痛薬や筋弛緩剤を処方します。

 

  • トリガーポイントブロック
    痛みの原因部位に局所麻酔薬を注射して痛みや凝りを取ります。

 

  • ボツリヌス注射
    ボツリヌス注射で筋肉の力を減弱します。

 

発作性神経障害性疼痛による歯痛(発作性のチックンとした痛み)

神経障害性疼痛とは、抹消神経または中枢神経そのものに障害が生じて感じる痛みのことです。俗に神経痛とも呼ばれ、瞬間的に鋭い激痛が起こる「発作性神経痛」と継続的にヒリヒリ焼けるような痛みを伴う「持続性神経痛」(詳細は次項参照)に分かれます。
発作性神経症はいつもは痛みを起こさないような小さな刺激で強い歯痛を感じる症状です。しかも歯を刺激しなくてもお顔やお口の中の一部を刺激することで歯痛が生じることあります。そのため、食事・会話・歯みがき・ひげ剃り・洗顔などで痛みを感じ日常生活に支障をきたすことがあります。また痛みの多くは上顎の犬歯や下顎の奥歯付近に感じ、「ビリっと電気が走り抜ける」ような電撃痛が特徴です。そして寛解期(かんかいき)と言われる全く痛みが出ない時期があります。

 

◆原因

頭部の神経を支配する三叉神経(さんさしんけい)や、舌咽神経による神経痛です。血管がこれらの神経を圧迫することで、神経が刺激されて強い痛みを生じます。また腫瘍による圧迫が原因になることもあります。


補足

・三叉神経…脳幹から出ており途中で3本(眼神経・上顎神経・下顎神経)に枝分かれしています。そして各領域に広がった神経は末端で痛みを察知すると脳に伝達します。上顎や下顎に繋がっているのでいわば歯の痛みを伝える神経です

・舌咽神経…脳神経の1つで舌や咽の感覚、唾液の分泌、味覚に関係しています。


 

◆治療法

全身疾患による神経障害が原因のため、歯科治療では治りません。よって医科の領域になります。

  • 薬物療法…てんかんの治療薬であるカルバマゼピンを服用します。副作用には眠気、ふらつき、めまいなどの他、発疹、肝機能障害などがあるため鎮痛効果と副作用に応じて服用量を決定します。

 

  • 外科療法…三叉神経もしくは舌咽神経を圧迫している血管を神経から引き離す手術をします。脳神経外科の領域です。また腫瘍が原因の場合には腫瘍の摘出を行います。

 

  • 放射線治療…三叉神経根の部分に放射線(ガンマ線)を集中照射し病変部分を灼く方法です。侵襲が少なく体への負担も抑えられるため高齢者や外科療法を望まない方向けです。

 

持続性神経障害性疼痛による歯痛(常にジワジワとした痛み)

神経痛の中でも持続的に痛みが出る歯痛です。歯そのものに異常がないにも関わらず痛みが増していき、数日間継続します。またピーク時には激痛となり眠れないほどの痛みが出ることも多くあります。また持続性神経障害性疼痛による歯痛は、その原因により2つに大別されます。

 

◆原因

  • 帯状疱疹や帯状疱疹の後遺症による歯痛

帯状疱疹の原因は幼少期に感染した水ぼうそうのウイルスです。実はこのウイルスは水ぼうそうが治っても死んでいるわけではなく、何十年も体内に残っています。しかもウイルスは神経節と呼ばれる神経が集まった部分に潜んでおり、加齢・病気・ストレスなど体の免疫力が低くなると再び活動を始め、神経と皮膚を攻撃して痛みを引き起こします。これが帯状疱疹です。そして三叉神経がこのウイルスによって破壊され炎症を起こすとむし歯のない歯にズキズキとした痛みが感じられ数日の間に痛みが強くなります。またウイルスは神経に沿いながら末端に移動するため歯痛の部位が奥歯から前歯に変化することもあります。

 

  • 歯科治療時の外傷による歯痛

歯の神経を抜いたあとは通常1週間程度で痛みや違和感はなくなりますが、場合により痛みが長引くことがあります。そしてこの間は正常な痛みの情報を脳に伝えることができず、歯や歯ぐきに軽く触れただけでも「ピリピリ」「ジンジン」とした痛みを誘発します。このような異常な痛みは、親知らずの抜歯やインプラント治療などの手術で歯や顎に走っている神経が傷ついた時に生じます。

◆治療法

いずれの場合も薬物療法が中心です。

  • 帯状疱疹性歯痛はウイルス由来の神経の炎症の為、抗ウイルス薬を用いて治療します。また痛みが強い場合にはカロナールやロキソニンなどの鎮痛薬の服用、神経の周りに麻酔をする神経ブロック注射などをします。

 

  • 歯科治療後の神経障害性疼痛には線維筋痛症などに対する疼痛治療剤(プレガバリン)と抗うつ薬の一部が第一選択薬とされています。

 

神経血管性頭痛による歯痛

「片頭痛」や「群発頭痛」の症状の1つとして起こる歯痛です。特に上顎大臼歯部にズキズキとした痛みや焼けるような痛みを訴えることが多く、これは歯髄炎(神経の炎症)の症状と似ています。そのため診断は慎重に行う必要があります。なお患者様によっては嘔吐や流涙、鼻漏などの症状を伴うこともあります。

◆原因

脳の血管が一時的な炎症を起こすことにより頭痛(片頭痛や群発頭痛)が生じます。そして脳の血管に分布する神経は、顔面の痛みを感じる神経と合流するため、頭痛と同時に歯痛が生じることがあります。いわゆる関連痛の一種です。

 

◆治療法

歯科ではなく頭痛外来での治療になります。特に群発頭痛は痛みが強いためそれを抑えるための薬物療法が主になります。

 

上顎洞疾患による歯痛

鼻の周辺には鼻腔につながるたくさんの空洞がありそれらをまとめて副鼻腔と呼びます。上顎洞は副鼻腔の1つで、鼻の左右両側、主に上顎奥歯の上にある骨の中の空洞です。この上顎洞にできた病気が原因で起こる歯痛を上顎洞性歯痛と言います。

▲副鼻腔

 

◆原因

主な原因は上顎洞炎です。これは上顎洞の粘膜が炎症を起こしそこに膿や鼻水が溜まる病気です。俗に蓄膿症とも呼ばれています。上顎洞は「上顎の奥歯」との距離が近いため、上顎洞の粘膜に炎症が起こると奥歯の歯根に波及し痛みが出ることがあります。特に上顎の奥歯(小臼歯・大臼歯)に痛みが出やすく、圧迫感や持続的な鈍痛を感じます。ちなみに上顎洞炎の主な原因は細菌やインフルエンザウイルスへの感染の繰り返し・アレルギー鼻炎などです。しかし、実はむし歯や歯周病などお口の中の疾患が原因で上顎洞炎が引き起こされるケースもありこれを歯性上顎洞炎と呼びます。これは歯科領域の疾患で主な原因は下記です。

 

(歯性上顎洞炎の原因)

  • むし歯が神経まで広がり、細菌が歯根の先から上顎洞にまで及んだ場合
  • 歯周病が進行し、細菌が歯周ポケットから上顎洞に侵入した場合
  • 歯根のヒビや亀裂など外傷により上顎洞が細菌に感染した場合
  • 根管治療の際に上顎洞の粘膜に傷がつき、細菌感染をおこした場合
  • インプラント治療の際に上顎洞粘膜に傷がつき、細菌感染をおこした場合 等

 

◆治療法

耳鼻咽喉科にて治療を行います。まずは抗生物質による薬物療法を行い、それでも改善がみられない場合には内視鏡手術で鼻通りをよくする場合もあります。

 

心臓疾患による歯痛

狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患の関連痛で起こる歯痛です。胸の痛みと同時に強い歯痛が生じ、両側の歯や下顎に圧迫痛や灼熱痛を感じます。なお痛みは発作的で、運動時、食事時、興奮時に生じやすく安静にしていると痛みは軽減する傾向があります。なお痛みの持続時間は数分から20分程度で、それ以上持続する場合はかなり深刻な状態です。

 

◆原因

奥歯につながる神経と心臓の神経は分布が同じため、心臓の病気により奥歯に痛みが生じることがあると考えられていますが、そのメカニズムの詳細はまだ不明です。

 

◆治療法

早急に循環器内科・心臓血管外科などで診察を受ける必要があります。心疾患と診断された場合には抗狭心症薬や抗血栓役などの薬物療法やバイパス術などの外科的手術が行われます。

 

精神疾患または心理社会的要因による歯痛

うつ病や総合失調症などの精神疾患やストレスなどの心理社会的要因がトリガーとなって起こる歯痛です。また歯科治療への恐怖や不安の記憶から歯痛を生じることもあります。

◆原因

ストレスや疲労などにより免疫が落ちると、痛みを伝える神経系統のバランスが崩れ、血液中のホルモン量が変化します。例えばストレスがかかるとカテコールアミンという神経ホルモンが血液中に増大し、歯や歯ぐきの周りにある血管が充血することで歯に痛みが生じます。またSocial Pain(ソーシャルペイン)と呼ばれる「心の痛み」を感じると怪我などの「体の痛み」と同様に脳も痛みを感じるということが分かっています。つまり心の痛みと体の痛みは連動している、ということです。Social Painの例としては社会的疎外感・死別・理不尽で不公平な待遇などがですが、特にうつ病患者さんで歯の痛みを併発することが多いです。

 

◆治療法

精神疾患による歯痛は医科(精神科)での治療が必要です。主に薬物療法や認知行動療法がおこなわれます。時間がかかる場合も多いため「痛みをゼロにする」というよりは「まずは痛みと上手く付き合う」を目先の目標にするとよいでしょう。

 

特発性歯痛

歯や歯周組織には異常がなく、さらに上記の非歯原性歯痛のいずれにも当てはまらない歯痛です。いわゆる原因不明の痛みともいえます。

 

◆原因

現在のところ、脳の神経ネットワークの異常と考えられていますが明確にはわかっていません。

◆治療法

歯や歯周組織に原因がないため歯科治療は有効ではありません。抗うつ剤による薬物療法や認知療法による精神治療が効果的なため医科(特に精神科)と連携をしながら治療を進めます。

 

さて今回は「歯に異常がないにも関わらず歯に痛みを感じる」という非歯原性歯痛についてお話しました。今後あなたが歯医者さんに行ったときに『異常はないですよ』と言われてしまったら…もしかしたらソレ非歯原性歯痛かもしれません。

ビバ歯科では患者様からの問診はもちろん、視診、触診、レントゲン等を通じて1つひとつ「痛みの原因」を探っていきます。むやみに歯を抜いたり神経を取ったりは絶対にしません。なぜならそれをしてしまえばもう元通りの歯には戻らないからです。だからまず痛みの交通整理が大事です。もし原因不明の痛みにお困りでしたらぜひ一度ビバ歯科にご相談くださいね。

 

最後に

 

「〇〇についてブログに書いてほしい」などのリクエストや「△△って何?」などのご質問も随時受け付けております。以下いずれかよりぜひご連絡いただければ嬉しいです!

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医院概要

医院名 ビバ歯科・矯正小児歯科
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千葉県船橋市東船橋1-37-10
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