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歯磨き中に歯茎から出血!この血出した方が良いの?
こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
前回のブログ『歯茎から出血、その原因は?~全身疾患の可能性も』で歯茎の出血の原因についてお話しました。ところでもし歯茎から出血があったら、みなさんはどうしていますか?
「出血部分は磨くのをやめている」
それとも
「とにかくゴシゴシ磨いて血が出るだけ出している」
どちらでしょうか?
少し判断に迷いますよね。でも実はコレ、どちらも正しい対処法です。ただし、出血の原因によってベストな対処法が異なるため注意が必要です。なお今回のブログは前回のブログの続編のため、ぜひそちらも併せてお読みいただければ参考になるかとおもいます。
血を出した方がよい場合
歯茎から出血する原因の多くが歯周病です。お口の中の清掃が不十分でプラークや歯石が溜まると、歯茎が炎症を起こし出血します。この場合には適切に歯みがきをして血を出してしまったほうが良いと言われています。なぜなら出血部位には磨き残しによる細菌が溜まっているからです。もしその部位を避けて歯みがきしないとなれば、汚れを放置することになり、ますます細菌が増殖し歯周病が悪化することになります。つまり出血はいつになっても収まりません。
ところが多くの人が血を見ると「あまり触れないようにしよう」と歯ブラシをあてるのを避けてしまいます。しかし、ここで手加減をしてはいけません。むしろ「悪い血を全て出してやろう!」というくらいの感覚で念入りにケアをするべきです。なぜなら炎症の原因となる細菌をしっかりと取り除くことで歯茎の炎症が収まるからです。また適度な歯茎の刺激は新陳代謝と血行促進になり歯茎を引き締めることに繋がります。
ちなみに歯周病になると歯茎が赤く腫れてブヨブヨしてきます。とは言え、自身での判断は難しいため、少しでも出血を確認したらできるだけ早くかかりつけ歯医者さんにいって診てもらうことをおすすめします。
ケアグッズの選び方
歯周病(プラーク)が原因の場合には次の3つに留意し、ケアグッズを選ぶと良いでしょう。
- 柔らかめの歯ブラシを使う
炎症が起きている歯茎はとても敏感です。よって普段より柔らかめの歯ブラシを使って優しく磨いてあげましょう。特に歯と歯茎の境目はプラークが溜まりがちなので念入りに磨きましょう。個人差はありますが、1週間程度丁寧なブラッシングを続ければ炎症・出血は収まり歯茎が引き締まります。ただしそれ以上経過しても出血が収まらない場合は、縁下歯石が付着するなど歯周病が進行している可能性があります。早急に歯医者さんに相談しましょう。
- 殺菌作用のある歯みがき粉を使う
歯周病の場合、殺菌作用のある成分が含まれる歯みがき粉がオススメです。例えばこちらのConCoolジェルコートFです。殺菌作用のある塩酸クロルヘキシジンの他、抗炎症作用のあるβ-グリチルレチン酸が配合されています。またジェル状のため研磨剤・発泡剤が含まれておらず低刺激で弱った歯茎を優しくケアすることができます。
※歯磨き粉の成分について詳しくはこちらのブログ『歯磨き粉の選び方~迷ったときに読んでください』をご覧ください。
- いつものケアにプラスする
フロスや洗口液を普段のケアにプラスしてあげましょう。特にデンタルフロスは歯ブラシが届かない歯と歯の間の汚れを絡めとることができます。プラスのケアというよりは、日常的に使用してほしいアイテムです。(みなさんは使えていますか?)また歯と歯の間の隙間が広い方は歯間ブラシを使うと良いでしょう。
★ちなみに…
患者様の中には「フロスをしているんだけど歯茎に食い込むのが怖くて(もしくは痛くて)歯茎のところまでやっていない」という方がいらっしゃいます。そしてこのような方に正しくフロスをすると大抵の場合出血します。すると「ホラ、やっぱりね…」と言われます。ただこれは歯茎の中に細菌が溜まっていて歯周病になりかけているのが原因です。フロスは歯肉溝(しにくこう)と呼ばれる溝の部分までおろし、その中の汚れを擦り取るのが正しい使い方です。もちろん「痛い」と感じるまで深くは入れる必要はありません。それは逆に歯肉退縮の原因になってしまうからです。優しい力でもフロスが入る“溝”がありますので、そこに沿うようにフロスをあててあげましょう。
血を出さない方が良い場合
歯茎から出血が起きた時、それ以上血が出ないようにした方が良い場合があります。それは出血の原因がプラーク以外の場合です。例えば火傷などの外傷や口内炎などの粘膜疾患がそれにあたります。歯ブラシで擦って皮膜を破ってしまうと出血が続く他、傷口から細菌に感染する恐れがあるからです。このような場合はその部位に歯ブラシの毛先が触れないように歯を磨きましょう。
また歯ブラシで過度に力を加えすぎた場合も同様です。少しの出血であれば放っておけば血は止まりますが、ひどく出血している場合には速やかに止血の処置をする必要があります。特に血友病⁽*⁾の方や血液をサラサラにするお薬を服用している方は血が止まりにくい状態です。放置していればどんどん血液を失います。清潔なガーゼ等で患部を圧迫し応急処置を行うと共に、もし出血が長引くようであれば早急にかかりつけ医に連絡を取りましょう。
⁽*⁾血友病…血液中の血を固めるタンパク質の一部が不足または上手く働かないために出血が止まりにくくなる病気
さて今回のブログでは、歯茎から出血があった際の対処法についてお話しました。恐らく多くの方が経験し、そして多くの方が「歯茎からの出血くらいで大げさな!」と感じていたこととおもいます。しかし、時にそれは体からの重大なSOSかもしれません。よって少しでも気になることがあればかかりつけの歯医者さんに相談をしましょう!