ブログ・口腔外科
抜歯後のドライソケットに注意!
こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。
過去に歯を抜いたご経験がある方はわかるかもしれませんが、抜歯後は患部が炎症を起こし痛みや腫れなどの症状が出ることがあります(個人差有)。とは言え、通常であれば数日間で痛みも腫れも収まります。しかし、継続して強い痛みがあったり、腫れが悪化したり、発熱したりなどがあればそれはドライソケットを発症しているかもしれません。強烈な痛みを伴うため発症した場合には速やかに歯科受診をすると共に、まずはドライソケットにならないように予防することが大切です。このブログでは、「ドライソケットとは何なのか」、「ドライソケットの原因」、「ドライソケットの治療法」などについてお話していきます。ぜひ最後までご覧くださいね。
目次
ドライソケットとは?
ドライソケットとは、親知らずなどの大きな歯を抜いた際に、カサブタ(正式には血餅)が形成されず骨が露出してしまう状態をいいます。
歯を抜いたあとは患部に穴が空いた状態になります。通常はその穴の部分に血液が溜まり血餅(けっぺい)と呼ばれる血の塊ができます。ブヨブヨしたゼリー状のあれです。血餅は抜歯後の傷口を保護し、細菌による感染症を予防する役割があります。
しかし、何らかの原因で血餅が形成されないと骨がむき出しの状態になりドライソケットを発症します。すると抜歯直後よりもさらに激しい疼痛が出現し、中には数週間続く方もいらっしゃいます。特にドライソケットを発症しやすいのは下顎の親知らずです。なぜなら上顎に比べて下顎は骨の中を走る血管が少なく、出血が少ない傾向にあるからです。
ドライソケットの主な症状
次のような症状があればドライソケットの可能性を疑いましょう。
- 抜歯直後よりも日が経つにつれて痛みが強くなっている
- 抜歯後、1週間経過しても痛みが引かない
- 抜歯後の患部に血餅がなく大きな穴が空いている
- 悪臭がする
- 膿の味がする
- 顎や耳にまで痛みが広がる
ドライソケットの原因
先述の通り、ドライソケットの原因は「本来できるはずの血餅ができないこと」です。手や足のケガを想像していただけるとわかりやすいのですが、出血を伴うようなケガをした直後は傷口がまだジュクジュクしており空気に触れると痛いですよね。しかしカサブタができれば傷口がふさがっておりほとんど痛みはありません。ドライソケットはこのカサブタの役割が果たされないため、発症するのです。では、大切な血餅ができない原因は何なのか。主な原因は次の通りです。
うがいのし過ぎ
抜歯後にうがいを頻繁にしてしまうと、血が固まりにくくなり、血餅が剥がれ落ちてしまいます。お口の中に血の味がするのでどうしても気になってしまうと思いますが、抜歯当日のうがいは極力控えましょう。もしどうしても気になるということであれば、血を唾液と一緒に吐き出す程度に抑えるようにしましょう。
抜歯部分を触る
抜歯した穴の部分を舌や指で必要以上に触っていませんか?これも物理的に血餅が剝がされてしまう原因です。また抜歯後の患部は細菌感染のリスクも高いため、患部に触れるのはやめましょう。なお歯みがきの際にも注意が必要です。汚れを溜めないことは確かに大切ですが、抜歯部位をゴシゴシ磨いてしまうと血餅が剝がれる原因になります。当日は抜歯部位のブラッシングは避けて、それ以外の箇所のみ通常通り磨くようにしてください。
喫煙習慣
普段からタバコを吸っている方はドライソケットのリスクが高まります。以前のブログ『知っていますか?喫煙と歯周病の関係』でもお話しましたが、ニコチンには血管収縮作用があるため、傷口への血流供給が滞ります。すなわち血餅の形成が阻害されてしまうのです。またタバコを吸うと唾液の分泌量が減少します。つまりドライマウスです。これは唾液の殺菌作用や抗菌作用が減弱するため傷口からの細菌感染リスクも高まります。これは余談ですが、通常ドライソケットのような強烈な痛みがある場合には鎮痛剤を服用します。しかしタバコを吸っていると薬の効きが悪くなります。なぜならニコチンの血管収縮作用により、体に薬が行き渡らないからです。喫煙者の方はご注意ください。
入浴・飲酒・運動
これらは体の血流を良くするため、血が止まりにくくなってしまいます。出血が長引くと血が固まらないため血餅ができずドライソケットを生じてしまいます。飲酒や運動は抜歯後2~3日は控え、また入浴はシャワーにとどめておきましょう。
抜歯時に麻酔を多く使用した
下顎の骨は上顎も骨と比べて骨の密度が高く分厚いです。また歯の神経は顎骨の中を通っています。ゆえに下顎の場合麻酔が効きにくい傾向があります。特に下顎の奥歯付近はもっとも骨が硬く麻酔が効きにくいため、下顎の親知らずの抜歯の際には多めに麻酔を使用することがあります。ところが麻酔には血管を収縮する成分が含まれており、抜歯時に麻酔を多く使用した場合には出血が抑制され血餅が上手に形成されずドライソケットになることがあります。
参考:ブログ『麻酔が効きにくいのには理由があります』
なお当院院長の経験によると、ドライソケットになりやすいのは「残根状態の歯」を抜歯したときが顕著だということです。残根(ざんこん)とはむし歯になった歯を放置した結果、歯の頭部分が溶けてなくなり、根っこだけになった状態の歯を指します。歯科界ではC4(シーフォー)とも呼びます。むし歯菌に感染した歯をずっと保存しておいた場合、体の防衛反応で歯根周囲の歯槽骨の毛細血管が少なくなり骨が硬くなります。その結果、抜歯時の出血量が乏しく、血餅ができないすなわちドライソケットになってしまうのです。よって、残根状態の歯はムリに保存しないほうがよいと言えます。(もちろん、残根にまでなる前に治療をするのが1番大切です!)なお次の写真は当院で残根の歯を抜歯した経過を辿ったものです。2本同時の抜歯でしたが、抜歯翌日には血餅を確認することができました。
ちなみに、ドライソケットが起きた際に医療過誤を疑いたくなるかもしれませんが、そうではありません。ドライソケットは代表的な偶発症の1つです。親知らずの抜歯の際には数パーセントの確率で誰でもなる可能性があります。まずは上記であげた原因となる行動を控え予防すると共に、万が一ドライソケットの症状があれば速やかに歯科医院に相談をしましょう。
ドライソケットの予防方法
先ほどお話した「原因になることをしないこと」が1番の予防です。また抜歯後に抗生物質が処方される場合があります。抗生物質は歯周組織の回復を助けると共に感染症のリスクを抑えることができます。必ずすべて飲み切るようにしましょう。
参考:ブログ『抗生物質と耐性菌』
ドライソケットの治療方法
万が一ドライソケットを発症した際には、ビバ歯科では以下のような治療をおこないます。
- 人工の補填剤を併用する
抜歯窩(ばっしか)と呼ばれる歯を抜いた後にできる穴に、アテロコラーゲン等の人工の補填剤を詰めます。すなわち血餅の代わりに補填剤で“蓋”をしてあげるのです。これにより上皮が形成され傷口の治癒が促進されます。なお当院では、抜歯時の出血が少なくドライソケットの心配がある患者様の場合、抜歯直後に人工の補填剤を詰めてドライソケットの予防をしています。
- 抗菌剤や鎮痛剤を投与する
ドライソケットは細菌感染により炎症や痛みを伴います。ゆえに抗菌剤や鎮痛剤を処方します。なお抗菌剤はその種類によって作用する菌が異なります。ゆえに効果を見ながら複数の抗菌剤を処方することもあります。
- 患部を再掻爬(さいそうは)する
抜歯窩の汚れを除去・清掃した後、抜歯窩を再び出血させて血餅をつくる処置です。
当院の対応
抜歯手術をする際には事前に精密検査を行います。具体的にはパノラマレントゲン、デンタルレントゲン、そしてケースによりCTの撮影です。そしてリスクの高い低いは問わず、必ず術後のリスクのお話もさせていただき、患者様の同意を得て抜歯を行います。また難症例で当院での抜歯が難しい場合や持病のため術後感染などの偶発症リスクが高い場合には基幹病院などと連携、紹介をしております。
最後に
「〇〇についてブログに書いてほしい」などのリクエストや「△△って何?」などのご質問も随時受け付けております。以下いずれかよりぜひご連絡いただければ嬉しいです!
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医院概要
医院名 | ビバ歯科・矯正小児歯科 |
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電話番号 | 047-421-0118 |
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