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毎年恒例?お餅で詰め物が取れる正月

こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

いよいよ2024年も残すところあと1週間ですね。年末は大掃除をして、お正月は美味しいものを食べてゆっくりと過ごす。なんて至福の時間でしょう!ところでお正月と言えば、お雑煮ですよね。地域やご家庭によっても様々ですが、人参・大根・里芋などたくさんの野菜を一度に食べられる何とも贅沢な1品です。そして何より、お餅です!柔らかくて、もっちもっちでお出汁の味がしみ込んでいるお餅は絶品ですよね。しかし心配なことが1つ…。そう、「お餅と歯医者は因縁の仲」と言っては語弊があるかもしれませんが、この時期はお餅と歯のトラブルが特に急増します。そこで今日は、『お餅を食べる際に注意が必要な人』そして、『お餅を安全に食べるための方法』についてお話します。ぜひ最後までご覧いただき安心して新年をお迎えくださいね。

 

注意が必要な人

次のような人は粘着力のあるお餅を食べる際には細心の注意が必要です。

 

  • 嚥下能力に不安がある人

嚥下(えんげ)とは食べ物や飲み物をゴックンと飲み込み、お口から胃へ運ぶ一連の動作のことを指します。粘り気の強いお餅は「噛み切りにくい」かつ「喉に張り付きやすい」ため、大きなままのお餅がそのまま喉に運ばれてしまうと窒息の危険があります。また飲み込む際に誤って水分や唾液が気管に入ると誤嚥性肺炎の原因にもなります。ゆえに、飲み込む能力の低下した人にとってお餅は注意が必要な食品です。なお嚥下能力が低下する原因は脳卒中などの病気、加齢に伴う筋肉の衰えなど様々です。詳しくは以前のブログ『食べることができない~摂食嚥下障害』をご覧ください。

 

  • 入れ歯を装着している人

お餅は粘着力が強い食品です。そのため取り外しができる入れ歯は噛んだ際に外れてしまう可能性があります。特に部分入れ歯の場合には小さいため誤飲(誤って飲み込んでしまう)の恐れもあります。また外れた入れ歯の一部が歯茎に刺さり粘膜を傷つけてしまうことも考えられます。もしお餅を食べるのであれば、「お餅を小さく切る」、「汁物に混ぜて食べる」などお餅の粘着力を抑える対策が必要です。なお揚げ餅にすれば粘着力がなくなるので、こちらもおすすめです。

  • 治療途中の歯がある人

治療途中の穴が空いた歯には仮蓋(かりぶた)*をします。これは“一時的に”歯を保護するためのカバーです。つまり最終的には取り外すものであるため、仮蓋はお餅などの歯にくっつきやすい食べ物で簡単に外れてしまいます。同様の理由からキャラメルなどの粘着力のある食べ物も注意が必要です。なお万が一、仮蓋が外れてしまった場合には、かかりつけの歯科医院にすぐに連絡をしましょう。なぜなら、神経がある歯の場合には飲食の際にシミて辛い思いをしますし、神経がない歯の場合にはシミることはありませんが細菌が浸入して再感染の恐れがあるからです。特に根管治療中に細菌に再感染をしてしまうと今迄の治療が水の泡になり再度洗浄・消毒を繰り返すことにもなりかねません。

*仮蓋は、仮封(かふう)や仮詰め(かりづめ)などとも呼びます。

 

  • 詰め物・被せ物がある人

歯の詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)は歯科用接着剤で頑丈にくっつけています。しかし治療から年月が経過すると詰め物・被せ物本体や接着剤が劣化し弱くなってしまいます。いわゆる経年劣化です。すると自身の歯と被せ物などの間に隙間ができます。また歯ぎしりや食いしばりがある人もすり減った歯と詰め物の間に隙間ができることがあります。その結果、粘着力のあるお餅などを食べると緩んだ詰め物や被せ物が取れてしまうことがあるのです。気が付けば吐き出せますが、誤って飲み込んでしまう場合もあるので注意が必要です。ただし誤飲してしまっても数日以内に便と一緒に排出されるため特に心配はいりません。しかし万が一詰め物や被せ物が取れてしまった場合には速やかにかかりつけ歯科医院に連絡をしましょう。なぜなら「歯並びや咬み合わせが変わってしまう」、「残った歯が割れる」、「むき出しになった部分の歯がむし歯になる」などの二次被害があるからです。なお、状態にもよりますが取れた詰め物や被せ物は再装着できることもあります。よって、袋やケースなどの容器に保管し歯科受診の際に持参しましょう。

なお余談ですが。歯と被せ物の間の隙間が怖いのは、被せ物が外れることだけではありません。この隙間に汚れが溜まり、むし歯が再発してしまうこともあるのです。いわゆる二次う蝕(二次カリエス)です。またむし歯が進行すれば歯は溶かされますからますます隙間がスカスカに広がるという悪循環にもなります。

  • グラグラしている歯がある人

「生えかわり時期で乳歯がグラグラしているお子様」や「歯周病で歯がグラグラしている人」はお餅を食べるときに注意が必要です。なぜなら粘着力のあるお餅を食べた際に歯が抜けてしまうことがあるからです。乳歯の場合にはいつか抜けるものではありますが、誤飲してしまう恐れがあります。またお餅はその粘着性から歯に長時間付着しやすく、上手に歯磨きができていないと歯垢が蓄積しやすい食べ物です。その結果、細菌が繁殖⇒歯茎が炎症、すなわち歯周病が更に進行する原因にもなりえます。

 

  • ドライマウスの人

ドライマウス(口腔乾燥症)とは、様々な原因により唾液の分泌量が少なくなり、お口の中が乾いてしまう状態を言います。本来、食事の際には食べ物を飲み込みやすくするために唾液とよく絡めて食塊の形にします。しかし唾液の分泌量が少ない人の場合、これが十分ではありません。その状態でお餅のような粘着力のある食品を食べると、喉に詰まって窒息する可能性があるのです。特に年末の忘年会シーズンはアルコールの摂取量が増える人も多いでしょう。アルコールには高い利尿作用があり脱水状態になるため唾液の分泌量低下すなわちドライマウスに繋がることがあります。アルコールの摂取量を調整したり、こまめにお水を飲んだりするなどを心掛けましょう。

お餅を安全に食べるための一工夫

先にあげたようなお口の中のトラブルや、毎年のように報道される窒息事故を予防するための方法をご紹介します。

  • お餅を小さく切り食べやすい大きさにする

小さい方が唾液と混ざりやすく、また万が一丸呑みしてしまっても喉に詰まりにくいです。

 

  • お口や喉を潤す

お餅を食べる前や食べている最中には水や汁物などを飲み、常にお口の中や喉を潤した状態にしましょう。そうすることでお餅の粘着力を軽減することができます。特に嚥下能力が落ちている人やドライマウスの人は心掛けてください。

 

  • ゆっくりとしっかりと噛んでから飲み込む

一口の量に注意しながらよく噛んで飲み込むようにしましょう。

 

  • お餅のお供を工夫する

お餅単体で食べるのではなく、お雑煮やお汁粉など汁物に入れたり、大根おろしや納豆を添えたりして粘着力をなくすようにしましょう。お雑煮はお餅をトロトロになるまで煮込むと飲み込みやすくなります。また硬さは出てしまいますが、揚げ餅にすると噛みやすいのでこちらもおすすめです。

 

  • 1人で食べない

万が一窒息をした際に備えて、お餅を食べるときには家族や友人など複数人で食べるようにしましょう。特にお子様や高齢者と一緒にお餅を食べる際には、口元や様子を見守るなどを心掛けましょう。

今回は年末年始に多いお餅と歯のトラブル、そしてその予防法についてお話しました。実際にこの時期はビバ歯科にも「被せ物が取れた!!」というお問合せが急増します。できる限り受け入れをしておりますが、下記期間で当院も休診のためご注意ください。

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2024年12月29日(日)~2025年1月5日(日)
※新年は1月6日(月)朝9時より通常診療です。
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年末のご挨拶

最後までブログをご覧いただきありがとうございました。2024年のブログは今回で最後の回となります。近年YouTube、TikTok、そしてInstagramなどの動画や写真の投稿が主流とも思える中、「ブログを見て問合せました」「ブログの〇〇と似た症状があって…」などブログ経由で新規の患者様と繋がる機会も多くあった1年でした。数ある歯科医院の中から当院に目をとめていただけたこと本当にありがとうございます。

私がブログを執筆するうえで大切にしていることは「伝える」ではなく「伝わる」ように書くということです。つまりお口に悩みを抱える1人でも多くの方にその解決となるきっかけを作りたいと考えています。来年もコツコツと更新してまいりますのでぜひ楽しみにしていただければ幸いです。

最後になりましたが、かかりつけの患者様やご家族様をはじめ、地域の皆様のご支援、ご協力により本年の診療を無事に終えることができました。本当にありがとうございます。
来年も患者様のお悩みを解決できるようビバ歯科スタッフ一同誠心誠意努めてまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
皆様どうぞよいお年をお迎えください。