新着情報

妊婦さん必見!最先端のむし歯予防は“生まれる前から”です!

こんにちは。千葉県船橋市JR東船橋駅南口にあるビバ歯科・矯正小児歯科です。

先日のブログ『子どもを歯医者に通わせるメリットとは?』はもう読んでいただけましたか。幼少期から歯医者に行くと、歯や顎が正常に成長しているかを診てもらえたり、その子に必要な仕上げ磨きの仕方を知れたりなど、お子様はもちろん保護者の方にも多くの良いことがあるというお話をしました。ちなみに明確な基準があるわけではありませんが、ビバ歯科としては生後6ヶ月からの歯医者さんデビューをおすすめしています。なぜならその頃になると下の2本の前歯が生えてくるからです。お父さんお母さんとしても、小さく生えた乳歯を見て、「大切なわが子の歯をむし歯から守りたい!」と強く願う時期でもありますよね。しかし、むし歯予防の最先端の話をするのであればもっと早くから予防に取り組んでいただきたい、というのが私たち歯科スタッフの本音です。ではもっと早くと言うといつか?実は、生まれる前なのです。つまりお母さんのお腹の中にいる時からむし歯予防をするということです。でもどうやって、って思いますよね。それは妊婦さん(お母さん)、お父さん、そして一緒に住むご家族全員が対象になります。詳しくはこのあとお話しますのでぜひ最後までご覧くださいね。

 

むし歯の母子感染を抑えるために

プライマリー・プライマリー・プリベンションという言葉があります。これは一世代前からのむし歯予防と言われ、「母から子へのむし歯感染を防ぐために、妊娠中の母親の口腔ケアを徹底していくこと」を意味します。

むし歯はミュータンスレンサ球菌(以下MS菌)の感染によっておこる感染症です。MS菌は歯の表面に残った食べカスに含まれる糖をエサにしてプラークを作ります。またそれと同時に強力な酸を作り、歯の表面のエナメル質を溶かしてしまうのです。そして放っておけばむし歯が進行し、やがて歯に穴が空きどんどんと蝕まれていきます。しかし、生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中にむし歯菌はいません。では、いつどのようにして赤ちゃんのお口の中にMS菌が住み着いて(感染して)しまうのでしょうか?

乳幼児の場合、もっとも可能性として考えられるのは親から子への母子感染です。例えば、「食べ物を噛んでから子どもに与える」、「キスなどのスキンシップをする」などの際に唾液を介しての感染が考えられます。つまり母親のお口の中のMS菌が多いほど、その子どももむし歯に感染しやすいということです。なおむし歯の原因菌はMS菌類以外にも多数存在し、もっと言うなら数百種類もの細菌がお口の中に棲息しています。よって子どもへのむし歯感染を予防するには、妊娠中(できれば妊娠前)からお母さんのお口の環境を整えることが大切です。つまりプライマリー・プライマリー・プリベンション(一世代前からのむし歯予防)ですね。赤ちゃんにとってはマイナス1歳からのむし歯予防です。

 

妊婦さんは何をすれば良いのか?

むし歯を全て治しておく

基本中の基本です。妊娠中にむし歯が見つかった場合、体調や妊娠時期に配慮しながらできる限り早めに治療しむし歯を治しましょう。なお以前のブログ『妊娠中・産後~ママのお口のケア』でお話した通り、妊娠中や出産後には歯を含むお口の中のトラブルが増えます。そのことは体調や女性ホルモンの変化により致し方ないことです。だからこそ理想としては、お母さんになる前すなわち妊娠前からむし歯を治療しておくことです。これは生まれてくる赤ちゃんのためだけでなく、お母さんご自身の健康にも関わることです。

 

定期検診を受ける

むし歯をすべて治したとしても一度むし歯に罹患している以上、再発のリスクはゼロではありません。この再発むし歯のことは歯科用語で二次う蝕(二次カリエス)などと呼びます。特に詰め物や被せ物がある人や神経を取った歯がある人はハイリスクです。また妊娠中はつわりで思うように歯磨きができないなど、お口の環境が悪化しやすい時期でもあります。逆にどんなにセルフケアが上手な人でも3ヶ月程するとバイオフィルムが成熟します。バイオフィルムとはプラークがお口の中に長時間留まって膜のようになったものです。プラークであれば柔らかいので歯磨きで取り除くことができますが、バイオフィルムになると歯科医院の専門的なケアでないと取り除くことは困難です。ゆえに、歯に痛みがない場合にも、体調が許せば定期検診を受けるようにしましょう。

なお船橋市では妊婦歯科健康診査を実施しており、ビバ歯科も協力歯科医療機関です。これは無料で歯科検診を1回受けられます。船橋市民の妊婦さんはぜひご利用ください。

 

キシリトールを摂取する

むし歯になりにくい甘味料といえばいくつかありますが、その中でも有名なのがキシリトールです。糖アルコールの一種で、甘味は砂糖と同じくらいあります。しかし嬉しいことに、キシリトールのカロリーは砂糖の75%しかありません。(砂糖4kcal/g キシリトール2.8kcal/g)またキシリトールには次のような効果があるためむし歯予防に最適です。

 

  1. ミュータンスレンサ球菌(MS菌)の数を減らす

MS菌は糖類をエサに酸を放出します。しかし、キシリトールはMS菌のエサになりません。ところがMS菌はエネルギーを使ってなんとかキシリトールを菌体内に取り込もうとします。ただキシリトールを分解することはできないため結局は菌体外にキシリトールを捨てることに…。MS菌はこれらを繰り返すことでどんどんエネルギーを消耗し、エサとなる糖がなければ死んでしまうのです。

  1. 歯の再石灰化を助ける

お口の中は食事の度に酸性に傾きます。そして酸性の環境では歯の表面からミネラルが溶け出す脱灰(だっかい)が起こります。つまり歯が溶け始めるということです。しかし、歯磨きや唾液の中和作用によりミネラルがふたたび歯に取り込まれる再石灰化が起こるため、ケアを怠らなければ進行することはありません。このようにお口の中は脱灰と再石灰化を繰り返し、バランスをとっています。キシリトールには歯にミネラルを補給し再石灰化を促し歯質を丈夫にする働きがあります。

 

  1. 唾液の分泌量を増やして自浄作用を促進する

キシリトールは砂糖と同じくらいの甘さがあるためお口に入ると味覚が刺激され唾液の分泌が促進されます。唾液には、「殺菌・抗菌作用」(お口の中の細菌の増殖を防ぐ)や「緩衝作用」(お口の中を中性に戻し脱灰を防ぐ)があるため、むし歯予防に効果的です。

 

ちなみにビバ歯科では歯科専用の100%キシリトールガムを販売しています。 受付でお買い求めになれますので、スタッフにお声掛けくださいね。

さて今日は最先端のむし歯予防“プライマリー・プライマリー・プリベンション”についてお話しました。感染時期が早いほど子どものお口の中に棲みつくむし歯菌の数は多くなると言われています。つまり逆に感染時期を遅らせることができれば、むし歯菌の数を少なくし、むし歯になりにくい口腔内環境を作れるということです。よって、「歯が生えたら仕上げ磨きを頑張らなきゃ!」と意気込むよりも、まずはお母さんご自身のお口のケアをしておくことがとても大切です。なお、これはお母さん(妊婦さん)だけのことではありません。赤ちゃんのお父さんや同居しているご家族全員が自身のお口のケアを徹底する必要があります。なぜなら先にお話した通り、赤ちゃんと接する時間が長くスキンシップも多いご家族からも感染の恐れがあるからです。さらにもっと言えば子どもは成長と共に活動範囲が広がります。赤ちゃんの時は家族とだけ接していたのが、幼稚園・保育園などに通園するようになると、周囲のお子さんとおもちゃを共有し舐めることもあるでしょう。またおやつの時間には食べ物を分け与えるなんてこともあるかもしれません。むし歯菌は唾液を介して感染します。よって、子どもたちのお口の健康を守るためには、家族単位だけではなく社会単位でむし歯予防に取り組むことが大切と言えます。

今出産を控えているお母さん、お父さん。親から子どもへの初めてのプレゼントはその子のお名前とも言いますが、生まれてくる赤ちゃんへのかけがえのない贈り物は“むし歯予防”にしませんか?ぜひ綺麗なお口の環境で赤ちゃんを迎えてあげましょう。

 

おまけ

親子間での食器共有について

以前から、親子間でのむし歯の感染については食器の共有が指摘されていました。恐らく聞いたことがある方も多いことでしょう。しかし令和5年8月に一般社団法人日本口腔衛生学会が次のような声明文を発表しました。

 

親からの口腔細菌感染は食器の共有の前から起こっている

最近の研究で、生後 4 か月に母親の口腔細菌が子どもに伝播していることが確認されています[2]。食器の共有は離乳食開始時期の生後 5~6 か月頃から始まりますが、それ以前から親から子どもに口腔細菌は感染しているのです。日々の親子のスキンシップを通して子どもは親の唾液に接触しますので、食器の共有を避けるなどの方法で口腔細菌の感染を防ぐことを気にしすぎる必要はありません。

出典)乳幼児期における親との食器共有について (一般社団法人日本口腔衛生学会が令和5年8月31日に発表)

 

さらに、

食器の共有をしないことでう蝕予防できるということの科学的根拠は必ずしも強いものではありません。

とも述べていました。
そのため食器の共有に関しては必要以上に神経質になることはないでしょう。むしろ今回のブログでお話したとおり、赤ちゃんにとって身近な人たちのお口環境を整えてあげることの方が大切と言えます。

妊婦さんの歯周病ついて

妊婦さんや赤ちゃんにとって怖いのはむし歯だけではありません。歯周病も母子の健康を脅かすことがあります。なぜなら、歯周病に罹患している妊婦さんはそうでない妊婦さんの7倍以上もの確率で早産・低体重児出産が起こるリスクがあると言われているからです。特に歯周病の場合、むし歯と違って初期段階では自覚症状がありません。むしろ痛みなどの自覚症状を感じるようになったときには時すでに遅し。かなり進行しているケースもあります。よってむし歯・歯周病両方を予防するために、3ヶ月に一度の定期検診を習慣にしましょう。そしてこちらも妊婦さんだけではなく、そのパートナーやご家族全員が対象です。